札幌銭湯スタンプラリー2023のこと(その4・川沿湯)
スタンプラリーに参加している29軒の銭湯で、難関といえるのは藤の湯、真駒内湯、川沿湯だ。
難関といっても、門番を倒さないと入れないとか、番台の出すナゾナゾに正解しないと通してもらえないとか、そういうことではない。単純に遠いのである。
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仕事のある日に難関湯へ行くのはまず無理なので、休日を利用するしかないが、休みとて私は忙しい。
溜まっているテレビ・ラジオ番組の消化、ドラクエウォーク、飲酒、喫煙などタスクが多すぎる。
ほかにスポーツ観戦というのもある。スポーツといってもサッカーとフットサルだけだが、地域柄、いろいろな大会やリーグが今の季節にギュッと開催されている。
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「日曜、エスポラーダの試合だよな」
エスポラーダ北海道(フットサルな)のホームゲームを週末に控え、会場と時間を確認。
「13時キックオフ 真駒内セキスイハイムアイスアリーナ」とある。
エスポラーダが札幌で試合を行う場合、その会場は北海きたえーるか北ガスアリーナ札幌46であることがほとんどだ。
このタイミングで真駒内とは。約10年ぶりの開催らしい。これがスピっているというやつか。
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スタンプのためだけに真駒内というのは、正直なところしんどい。
ただフットサル観戦からの真駒内湯となれば、一転して「お楽しみ!真駒内ツアー2023サマー」となる。
そんなわけで真駒内セキスイハイムアイスアリーナ。初めて入った。
試合終了。エスポラーダは負けた。
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さて真駒内湯へ向かおうか。改めて地図を眺めてみる。
あれ?川沿湯も近くない?
真駒内だから真駒内湯と思っていたが、選択肢はもうひとつあった。
真駒内湯は最寄駅から徒歩圏内である。難関とはいったが、そこまでではない。難関校(夜間部)みたいな感じだ。いつでもとはいかないが、多少余裕のある休日なら訪問することはそう難しくない。
真駒内という名前に囚われていた。急きょ、ターゲットを川沿湯にチェンジ。
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真駒内湯と川沿湯をハシゴするというアイデアはあろうが、そうなると完全に「行くこと」が目的になってしまう。
スタンプラリーに参加している以上それはそうなのだが、愛と真心を込めて沸かした湯へ「ついで」に入ってよいものか。「銭湯は1日1軒」と高橋名人もいっていた。
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そんなわけで、はじめての川沿湯。
券売機システムでありながら番台スタイル。ギャップ萌えというやつなのだろう。あざといぜ川沿湯。
「ご苦労様です」という温かい一言とともにスタンプ。
♪テレレテレレテーレ テレレテレレテーレ テレレテレレテーテテテテー(マリオでステージクリアしたときの音)
俺はやった。
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決して広くはない浴場だが、テトリス名人がデザインしたのだろう、コンパクトにあれやこれやがまとめられている。
脱衣場のテレビでは野球中継。
瓶のコーラを一気するおじいさん。
…いや、コーラじゃないな。
よく見たらガラナじゃん。
北海道の2大ドリンクといえばカツゲンとガラナだ。そのガラナを、しかも瓶で。
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コーラ、ガラナに限らず人は瓶をありがたがる。
はじめて一緒に飲みへと行った人が
「瓶ビール…飲みます?じゃ、グラス2つで」
なんて注文したら、もっと仲良しになりたくなる。
グラスというよりはコップだなと思いつつ、ビールを注ぐ。大人なので、一応お互いにお酌。
「乾杯!」ではなく「いやいや、それじゃあどうも、お疲れさん」なんていいつつ、コップをコチンとぶつける。
あとは文字通り一息に飲み干してしまえば、大体のことはどうでもよくなる。2杯目以降はもちろん手酌だ。
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なぜ瓶はよいのか。味はたぶん変わらない。なのにどうして。
答えはおそらく「雰囲気」だろう。ボンカレーもインドで食えば、雰囲気のせいで本格的な味わいになるのと同じだ。(インドでボンカレーを食ったことはない)
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瓶ガラナも、それを飲んでいるおじいさんも、彼が通っている(であろう)川沿湯も、全てよい雰囲気だ。
私もよい雰囲気を漂わせたい。放ちたい。「よい雰囲気」と書いて「私」と読ませたい。
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スタンプラリーを終えるころには、よい雰囲気を纏っているだろう。そう信じたい。
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