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宝鐘マリンは ''分かっている''

表現手法の1つにパロディーというものがある。

基本的にはある一定の時期に流行したモノやコト、ワード、絵といった
表現を模倣しつつ、そこに作者が何かしらの手を加えるもので
そのちょっとした違いを楽しむものだと思っている。

日本においては漫画やアニメの表現方法として非常に上手く、かつ
日常的に使われていたりするので描いた本人もパロディーと
分からないレベルでの表現であったり、更にはもはや一般的な表現方法にまで落ち着いてしまったものまで定着化したものもあったりと多岐にわたる。

最近のネットミーム化にしても元ネタから最初のミームが流行ると、
そこからミーム自体が独り歩きして派生作品がどんどん生まれてく…
と言った現象もパロディー化と言ってもいいだろう。

このようなパロディーはやりすぎると冷めるし、誇張しすぎると
パロディー元のファンを傷つけてしまう事もある。

その為、必ずしも正解の手法とは言えず元ネタへの理解度や、パロディーを出すタイミングを間違えると途端に「こいつは分かっていない奴だ」「空気の読めない奴」といったレッテルを貰ってしまう事もあるし、ミームが冷める発端も過剰なパロディーの乱立の果てよるものも1つだと思っている。

そんな中、Vtuberの世界でこのパロディー表現を上手く使いこなす存在が
ホロライブ所属の3期生の一人である宝鐘マリンである。

例えば彼女の放送をよく見ていたり色々なインタビューや言動、
作品の好みを察すれば、中の人の年齢を推し量る事はそれほど難しくは無いが、それを踏まえた上で ''自称17歳'' と言い張る点。

これは声優の井上喜久子さんに発する絶対17歳では無いが
17歳であると宣言する所謂17歳教を模倣するものであり、漫画、アニメ、声優に詳しい彼女が知らないはずが無い。

そしてこの発言の裏にはVtuberとして、あるいはホロライブとしてのキャラ設定はありつつもソレはソレ、コレはコレといったような言われてみれば当たり前ではあるが、深堀はしない…と言ったメタな視点も持ち合わせた上での1歩踏み込んだ発言でもある。

そういえば昭和老人会♪宝鐘マリン3周年記念歌謡祭
これ自体も昭和歌謡番組をパロディー化したものだが、冒頭に彼女が歌ったセンチメンタル・ジャーニーの「伊代はまだ 16だから」を
「マリンはまだ17だから」と歌詞を変えたくだりはまさしく17歳教の一連の流れそのものだ。

その時のコメント欄を見れば分かるが元ネタとなる「井上喜久子 17歳です」の後にくる「おい、おい」といった乾いたツッコミ同様に
「ん?」「え?」「は?」と言ったツッコミであふれているし司会進行役である大神ミオ、白上フブキ両名からもコレについて触れられている。

つまりLIVEのコンセプトとして昭和歌謡番組をパロディー化し、その上で歌詞を変えて17歳教のくだりをパロディー化している…という事になるのだが、これが見事としか言いようがない位に彼女自身が想定していた反応がしっかりと帰ってきている。

これはパロディーとして出したモノの表現が、ある程度理解されたうえで
受け止められていると同時に、パロディーとして認識はしていないが面白い流れとして受け止められているからこそ生まれている現象で、パロディーとして成功している何よりの証拠だろう。


byスバ友












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