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季節の野菜や果物を材料に使うふわふわしっとりパン。あたたかな食事と会話をみんなで楽しむパン教室【修了生インタビュー】

「子育て中のお母さんに心も身体も安らげるようなパン教室を開きたい」。こう話すのは「MyWorkわたしの仕事プロジェクト」に参加して、MyWork実現への一歩を踏み出した長谷川さんです。

忙しいお母さんに気負わず焼けるパンの作り方を伝え、みんなであたたかな食卓を囲む空間「パン教室 レモンの木」を始めた長谷川さん。プロジェクトを通じて「食べること」を大切にしながら、パン教室でかなえたい目標も見えてきました。長谷川さんの強く、あたたかな想いをお伝えします。

きっかけは自分の経験。子育て中のお母さんに寄り添ったパン教室を!

__長谷川さんのMyWork、形にしたいと思っている事業を教えてください。

私のMyWorkは、子育て中のお母さんもお子さんと一緒に安心して楽しめるパン教室です。
「低温長時間発酵」のパン作りをお伝えします。この製法は、パン作りの工程を、発酵を調整して、2日に分けておこないます。前日に生地を仕込み、冷蔵庫の中でゆっくり8~12時間をかけ発酵させ、翌日に成形しパンを焼きます。工程を2日に分けてパンを作ることで、お仕事や子育てでまとまった時間をなかなか持てない方でも、ご自身のライフスタイルに合わせて、焼きたてのパンを味わっていただけます。

一晩寝かせた生地は、小麦の香りやうまみが引き立ち、粉の芯まで水分がいきわたります。2~3日経ってもしっとりとし、リベイクすると外はカリカリ、中はふわふわが戻ってきます。日が経つほどに、この製法の美味しさを感じていただけます。

教室では、前日から発酵させて用意しておいた生地を使いパンを焼き上げます。小さなお子さんの様子に合わせながらパン作りをして、2次発酵時間には、スープやサラダを作ります。ご都合の許す方は、一緒にお昼を食べられたらと思います。

__手軽にパンが作れるのは良いですね!長谷川さんがパン教室をMyWorkにしようと思った理由を教えていただけますか?

私は小さなころから、お菓子作りをする母を見ていること、一緒につくることが好きでした。母や祖母・叔母が家族を思い作る食卓を、みんなで囲み、いただくことが喜びでした。

結婚をし子どもを授かり、子育てをしていると、一人でずっと子どものお世話や相手をしているうちに、かわいいはずの我が子なのに、つらくなってしまうことがありました。
長男が6ヶ月の頃、「子どもも一緒に出かけておいで。何もできなくてもいるだけでいいから」と誘ってくださった「あったかご飯会」。松尾さんご夫婦との出会い、そこでの経験がMyWorkの原点です。

「あったかご飯の会」では、色んな立場の女性、同年代のお母さん、子育てをひと段落したお母さんが集い、みんなで丁寧に食事を作り和やかな食卓をかこみ、私たち親子は救われました。

いろいろな人に出会い、我が子を抱っこをしてもらったり優しい言葉であやしてもらったりしました。最初は戸惑っていましたが、次第に嬉しそうに過ごす我が子を少し離れてみることができると、子どもをさらに大切に思えて、そしてまた、家事に子育てに頑張ることができました。食べることを整えるよう過ごすことで、子どもたちの体も心も落ち着いて育つことを教わり、みなさんのやさしさが嬉しかったです。

私もいつか、がんばるお母さんが安心して子どもを連れて出掛けられ、気分転換や何かひとつでも喜びや学びを得られる場所を作りたいと思いました。

プロジェクトの受講は必然!さらに熱い夢を持った仲間との出会い

__今回、この「MyWorkわたしの仕事プロジェクト」に応募されたきっかけは何ですか?

夫は転勤が多く、何度も引っ越しを経験する中で、私たち親子はたくさんのやさしさに助けられて、ここまで過ごしてこられました。知り合えたご家族とパンやご飯をつくり食事をする機会を持ちながら、子どもたちも作ること食べることが好きになりました。楽しい食の思い出は、子どもたちを励まし前向きに生きていく力になると感じています。

現在は、夫の転勤も落ち着き、子どもたちも大きくなり少しゆとりもできました。パン教室に向けて準備をしようと、体にやさしいスープをもとめて調べものをしていて、スペースソラさんのこのプロジェクトに出会い、迷わず応募しました。普段、携帯電話をあまりさわらない私が、応募のフォームを記入するために携帯に集中していることに、子どもたちは驚いていました。

__実際に「MyWorkわたしの仕事プロジェクト」に参加してみてどうでしたか?

起業を目指す仲間と出会えて嬉しかったです。「自分のもてる良さで少しでも社会をよくしたい。ひとときでも誰かのお役に立ちたい。疲れた心や体を癒やしたい。喜ばせたい」何かしら不自由さや困難な経験をしたからこそ、誰かの力になりたいと思う志の似た仲間。一緒に学び励まし合えることが力になりました。

プロジェクトでの出会いから生まれた変化

__プロジェクトの中で、印象に残っている講座はありますか?

佐々木 よしみさん(プロジェクトの企画運営を担う「合同会社cocoto」と「一般社団法人スペースソラ」を運営)と中江 康人さん(AOI TYO Holdings株式会社 代表取締役 グループCEO)の「自分のやりたいを見つける・言葉にする」の「軸を立てる」という講座です。今までの経験から強みや弱みを洗いだし、軸を立てるというお話でした。考えを言葉にして表現することは、努力のいることですが、自分を掘り下げる作業は、とても面白かったです。自分らしく生きることと、人々に届ける共感が重なる事業になるといいなという言葉が印象的でした。

__MyWorkを前進させる上で課題だと感じたことはありますか?

お母さんと子どもが集まる場所と考えると、パン作りを安心して楽しんでもらうことと、子どもたちが安全に楽しく過ごせることと、どちらも大切です。私ひとりで行うには限界があり、保育士さんなどの協力が必要と感じました。ボランティアでお手伝いを申し出てしてくださる方もありますので、お話をしてみたいと思いました。

__プロジェクトを通じて、ご自身のMyWorkに変化がありましたか?

受講生には、介護を経験された方もいらっしゃいました。幅広い年齢層の方の楽しみや息抜き、肩の荷を少しおろせるような場所に成長していけたらいいなと思いました。

プロジェクトに参加をする前は、事業は全て整えてから始められるものと思っていました。そうではなく、歩き始める中で失敗や悩みが生じ、その都度考えて、良いものに育てていけたらいいんだと思えるようになりました。

おいしいパンで身体と心が休まる場所を提供したい!これが私のライフワーク

__MyWorkについて、ご家族の反応はどうですか?

私には子どもが3人います。長男は下の子のお世話や遊び相手をしてくれたり、パソコンを使う作業をサポートして「需要があるといいね」と冷静に応援してくれています。長女は、以前通っていた料理教室のことを覚えています。食卓をみんなで囲んだあたたかくやさしい記憶を思い出し「そんな場所をつくれたらいいね」と言ってくれます。まだ小学生の末っ子は、私にもっと遊んでほしそうにしています。でも、おやつにパンを焼くと喜んで食べてくれます。

夫は、このプロジェクトの受講についても「挑戦してみたら」と背中を押してくれました。夜中や早朝にバタバタとパンを作る私の姿を見守り、家事も子育ても快く協力してくれてます。

__ご家族が応援してくれて、心強いですね。長谷川さんの今後の目標を教えてください

夫は、退職後には、パン教室を一緒に運営したいと話しています。低温長時間発酵を使ったパン教室では、シンプルな食パン生地、ミルクを使うパンオレ生地、卵を使うブリオッシュ生地、ポテトを混ぜ込むフォカッチャ生地、4種類の生地をもとに、基本の丸パンから野菜や果物を使い3つずつアレンジするパン作りを紹介していきます。

夫もよくキッチンに立ち料理をするので、体と心を大切に夫婦でいろいろな世代のお客様を迎えることが、今後の楽しみです。そのためには、いろいろなお客様を迎える場所を育てていく土台を作ることが大切だと考えています。

皆さんが焼いたパンは、お家へ持ち帰り、大切なご家族やお友達と一緒に、おやつやお食事に食べていただきたいです。子どもたちには、幼い頃から食べることに関心を持って、家族が揃って食卓につけるありがたさ、楽しい食の記憶と共に成長してほしいです。

私自身のライフステージがかわるにつれて、子育て中の方だけでなく、孫のお世話や介護をする方、幅広い年齢層の方に来て楽しんでいただきたいです。食を通じてゆるやかにつながり、異世代が交わり生かし合える場所で、私自身も学ばせてもらいながらパン教室を長く続けていきたいと思います。

子育て中に出会った料理教室で、料理や会話から元気をもらったという長谷川さん。そのような場所を、今度は自分が提供したいという強い決意を感じました。「食べること」を大切にすることで、身体の健康のみならず、心も元気にしていく。あたたかな癒しのパン教室になりそうです。

長谷川さんの言葉を慎重に選びながら話す姿からは、物事に真摯に向き合う誠実さがにじみ出ています。「ずっと長くこの事業を続けていきたい」。長谷川さんのMyWorkは、プロジェクトに参加して芽生えた変化や気づきを糧に、将来にわたって地域に根差していきそうです。

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