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ブライトン・ビーチ回顧録 初日の回顧録

2021年9月18日(土)佐藤勝利主演、ブライトン・ビーチ回顧録の幕が上がった。

幸運なことに、私は初日に観劇することができた。舞台のレポ…。書いたことはないし、そもそもレポするほど舞台を知らない。と、思っていたので、書かないのではないか?と思ってたのだが、『佐藤勝利の初のストレートプレイ』はニ度と訪れないわけで、ずっと忘れたくない事だと思った。

なのでこれは、私の回顧録。ブライトンビーチ回顧録初日の私の回顧録だ。いつ読み返しても、その日に戻れるように、ここに書き留めておくことにする。

尚、このnoteは多少のネタバレを含む、ネタバレなしで観劇したい方は、そっとここで引き返すことをお勧めする。また観劇後、ここに戻ってきてくれたら嬉しい。

最後に、観劇の際役立つかもしれないことをまとめた。そこだけ見たい方は、目次からタップして【番外編】のパートだけ参考にしてみてほしい。

〜前日

「ブライトン・ビーチ回顧録」初日の幕開けは想像以上に奇跡的だったように思う。

そもそも今回の舞台はコロナウイルスの影響で無事幕が上がるのか誰しもが不安な気持ちを抱えていた。膨れ上がる感染者、次々と耳に入ってくる舞台の中止のお知らせ。毎日毎日佐藤や共演者の健康を祈った。それは佐藤の舞台だけではない。同じく別の舞台に出ていた松島や菊池の無事もファンは願い続けた。今だってそうだ。そんな緊張感のある中で舞台の幕開けは少しずつ近づいていった。

公演まで1週間を切り、マスクを外しての稽古が始まったとの知らせも入ってきた。このままいけば、きっと無事に幕が上がるのではないか?そう少し安堵していた矢先、全く違う方向から、まさかのニュースが入ってきた。

それは舞台初日の2日前、台風14号が異例のルートで初日の18日に関東に直撃するかもしれないというニュースだ。しかも、一度温帯低気圧になりかけた台風が、再び勢力を増したというではないか。そんな異例な動き、よりにもよってこのタイミングでしなくても…。ともどかしい気持ちでいっぱいなった。

前日の17日はおそらく1時間おきくらいに気象情報を見て、台風の進路と睨めっこした。早く通り過ぎてほしいと思うのに、なかなか前に進まない。だったら温帯低気圧になってくれと念じた。何度も念じた。

この翌日の18日はブライトン・ビーチ回顧録の初日だけじゃない。DREAM BOYSも赤シャツも2公演控えていた。たくさんのファンのチケットが、たった一回かもしれないチャンスが雨に、風に流されてしまうかもしれないと思うと、神様でも仏様でも月も、星だって、もうなんでもいいから願えるものには願いたかったし、願っていたし、ジャニーさんにも御加護を祈らずにはいられなかった。きっとたくさんの人が同じ気持ちだったのではないだろうか。

不安を抱えたまま迎えた夜は、激しい雨風が時おり吹き付け、舞台本番を待つ落ち着かない気持ちと天候が皮肉にもシンクロしているようだった。そのまま深い眠りにつくこともできないまま、本番の日を迎えた。

〜開演

朝を迎えても雨は降ったり止んだりを繰り返していた。しかし思ったより世界は静かで、このままことなきを得るのか、嵐の前の静かさなのか、不安な気持ちは消えないまま、会場へと向かった。

開場時間の1時間前の15時、奇跡が起きた。台風が消滅し、温帯低気圧に変わったのだ。1時間前…、「もしかして、ジャニーさん…?」と思わずにはいられなかった。鳥肌が立った。

会場に着くと、雨は止んでいた。(そのあとすぐまた雨は降っていたようだが)、佐藤のファンだろうか、可愛い相棒のちょっこりと会場の写真を撮る姿が微笑ましかった。

開場と同時に中に入った私は、人の流れるままに、パンフレットを買った。舞台に行った記録が、記憶がここから何度でも蘇るんだなと思い、嬉しい気持ちでいっぱいになった。それはパラパラとめくるたびにほのかに香るインクの匂いさえ愛しく感じてしまうほどだった。

私は友人1人と挨拶を交わしたが、コロナ禍であるため私語厳禁。はやる気持ちも程々に、コロナが終わったらたっぷり語り合おうと約束し自席についた。

そこから開演までは30分程だったと思う。パンフレットを読んでいる間にその時間はあっという間に過ぎていった…。

本番。ユージンとの出会い

開演を知らせる放送が終わると、ローリーがソロッと現れる。棚から少しワクワクした様子で本を選び、ソファのクッションを自分の定位置に置く。そしてパフっと寝転んで、お気に入りの本を読む。ここはまだ、幕が上がった!という部分ではなく、プロローグのような待ち時間のような不思議な時間で、まるでずっと前からそこにいたようなローリーの空気感が私たちを自然と物語の世界に誘っていった。

このローリー役の岩田華怜さん、元AKBの方らしい。初めて存在を認知したわけだが、あまりに物語に馴染んでいて、呆気に取られた。正直、「AKB舐めてました。ごめんなさい。」という気分になった。

野球帽をかぶって現れたユージンは、プロ野球選手のマネをして、一人試合を繰り広げる。玄関前で、ただボールを壁に打ち付けながら、ラジオの野球実況を快活に再現している。狭ーい空間で行われていても、ユージンには大きなスタジアムの世界が見えているんだろうなと思うと微笑ましかった。

末っ子のユージンはヤンチャで減らず口。母親のケイトに怒られては揚げ足を取って、さらに怒られるを繰り返す。そして時折こちらに目を向け、おもむろにナレーションを始める。その全てが無邪気で愛らしく、ものの数分で佐藤勝利というよりは、ユージンのファンになっていった。

そんなユージンは14歳のお年頃。年頃の従姉妹が女性らしくなっていく姿に胸をざわつかせている。

そのお相手はノーラ。ブロードウェイを夢見る16歳で、ローリーの姉だ。

ノーラは家に帰ってくると、上機嫌にユージンにただいまのハグをする。

『わ、ハグ!』っと思ったのも束の間…、「胸が触った…!胸が触ったよ!(うろ覚え)」と大騒ぎしだすもんだから、『あー、よかったねぇ、よしよし。』と邪な気持ちは0.0001秒で引っ込んだ。

その後もあらゆる問題を抱える家族の中で、ユージンの最重要案件はとにかく『性の目覚め』の件であって、何かにつけては兄のスタンリーからセクシー有益情報を得ようとし、少しでもノーラの妄想を膨らませたくて家中で模索しているんだから、とにかく可愛い煩悩の塊。

あまりに無邪気すぎていやらしさは1ミリもない、ここまでくるとちょっと上品な程に思えてくる、全てが洒落の効いたニール・サイモンの世界観ということなのだろうか、はたまた佐藤が持ち合わせている純真無垢さなのか、スタンリーと繰り広げられる穢れの知らない会話劇はずっとただ愛らしかった。

どうかそのままでいてくれとユージンに願ってしまいそうになるのはまた、佐藤にファンが抱くそれと重なる部分もあるのかもしれない。個人的には大人になるにつれて心もオーラも大人になっていくのを楽しむのもまた生きる推しを愛すということだと思っているのだが。

ちなみに、私がユージンの台詞の中で一番好きだったのは、スタンリーが売春婦に5ドル使ったことがあるという衝撃の事実を知って、「クソったれだな!(うろ覚え)」と言い放つ所。テンポ感も感情の入り方も最高で、比較的静かだった初日でも笑いが起きていたし、潔さが気持ちよかった。

そんな、性に目覚めまくりのユージンであるが、もちろんそれだけではない。末っ子として家族みんなをよく見ていて、一人一人の言動に様々な感情を抱いている。その様子がセリフだけでなく、ほんの一瞬の表情や仕草、スポットライトの当たっていない瞬間からも感じ取れる。

そんな揺れ動く感情に引き込まれて、どんどんユージンに感情移入していく。そうしているうちにストーリーに没入していき、更に自分の感情も豊に揺れ動いていった。

この求心力は本当に圧巻で、ユージンはもちろん、全てのキャストの皆さんの演技に共感し、テンポのいい会話劇が作り出す温度感が堪らなく気持ちよく、とにかく私はすごいものに出会ってしまったなと、震えた。

カーテンコール

夢中になってストーリーを追いかけ、ユージンを想っているうちに、あっという間に舞台は幕をお下ろした。

カーテンコールの時、真ん中に立つ佐藤は、その時初めて『佐藤勝利』の顔をしていた。さっきまで可愛らしく幼なげに家族の中に入り込んでいたのに、舞台の真ん中に立って礼をする姿は、とても頼もしく、凛々しい顔をしていた。それは充実感や手応えが感じられたような、そんな顔に思った。私は遠く2階から見ていたため、拍手に一生懸命でその顔をマジマジとオペラグラスで解析することはできなかったが、涙もろい彼のことだから、あの顔は少し涙を堪えていた顔なのかもしれない。

そして、キャストの皆に真ん中に迎え入れられる姿は温かい愛情に満ちていて、本当に家族のような素敵なカンパニーなんだなと胸が熱くなった。

これから千穐楽に向けてどんな作品になっていくのだろう。きっともっと笑顔に溢れて、熱い舞台になっていくに違いない。どうか千穐楽まで無事に辿り着けますよう。これからもあらゆる神様に、ジャニーさんに願い続ける。

佐藤勝利の、ユージンの最高の笑顔が毎日咲き誇りますように。

【番外編】お役立ち情報

最後に、せっかく初日に入ったのだから、これから入る方が気になっていそうな情報をまとめて置く。

原作は読んだ方がいい?
ラジオで本人も言っていたが、どっちでもいいと思う。読まずに行けばストーリー性にハラハラしたり、オチが純粋に面白かったりするだろうし、読んでいけば、この戯曲がどんな風に仕上がっているのだろうとそんなワクワクで見られるはずだ。ちなみに私は読んでから行った。

せっかく読むなら、戯曲集「ニールサイモン戯曲集Ⅳ」に入っている三部作「思い出のブライトン・ビーチ」「ビロクシー・ブルース」「ブロードウェイ・バウンド」全部読んでいった方が面白いと思う。今回の舞台は「思い出のブライトン・ビーチ」の内容であるが、三部通して成長していくユージンや変化していく家族の形に思いを馳せてみるとまた違った見方ができるはずだ。

ちなみに予習に関してはパンフレットもかなり詳細だ。あらすじや時代背景も載ってる。パンフレットを読んでみるだけでもだいぶ楽しめると思う。

原作が手に入らない…
たしかに。もう出版されてないし、
高値でしか売っていない。私も持ってない。ではどうしたか、図書館で借りたのだ。なかなか最近足が遠のいている人が多いと思うが、無料だし最近の図書館はなかなか便利だ。地域によってはネットで在庫が調べられたりするケースも多い。最寄りの図書館を検索してみるところから始めてみるのもいいかもしれない。

ロッカーやクローク、傘はどうする?
クロークは感染症対策のため閉じている。ロッカーも劇場内には無さそうなので駅のロッカーに預けるのが得策だ。JR内であれば、JRのアプリでロッカーの空き状況が見られる。Suicaでロックできるタイプなので鍵の保管も心配ない。

傘に関しては鍵付きの傘立てが玄関とプレイハウスの入り口前にあった。中まで持ってきてしまっている人も多かったが、ああやって備え付けてあるならそこに置くのがマナーなのだろう。尚、鍵をかけるのに100円が必要。(戻ってくる)席は決して広くない。隣もしっかり人がいるため荷物は最小限がセクシーな対応だろう。

フライヤーやグッズは?
フライヤーに関しては舞台のフライヤーはないが、「青野くんの触りたいから死にたい」のフライヤーが帰りしなに貰える。出口の絶対通るところに置いてあるから、取り損ねることはまずないだろう。グッズはパンフレットのみ。入場するとすぐ右側で売っている。これもまず迷うことはないだろう。尚、コンサートみたいにビニールに入ってないので気になる人は保護できそうな袋やファイルがあった方がいいだろう。ちなみに厚さは5ミリくらいで大きさはA4より少し小さいくらいだった。

トイレは?
月並みに混んでると思う。2階は席が少ないので比較的落ち着いている。私は二階席だったので一階のトイレ事情がわかりかねるが、休憩時は結構混んでいたらしい。

と、言った感じだろうか。少しでもお役に立てたら幸いだ。


長々と、私のブライトンビーチ回顧録、初日観劇の回顧録をご覧いただき、誠にありがとうございました。

次はどんなSexy Zoneのレポを書くんだろう。きっとまた素晴らしいエンターテイメントに出会えることを期待して、締めの挨拶とさせていただく。



ダイジェスト動画


SZ10THのレポも書いてます。良かったら。

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