アラフィフ女の心のつぶやきーその5

以下は全てフィクションです。

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黒岩というのはうちの執事で、鍼灸師、整体師の仕事もできます。

黒岩、今日も首が痛いわ。ほんと、毎日、痛いところがたくさんありすぎて嫌になるのよっ。
首もこるし、頭も重いわ、腕もだるいし、使うと手首も痛いの、背中も辛いわ、腰も痛いのよっ。

また、施術をして差し上げましょうね。毎日、毎日痛むのはほんと、お辛いでしょう。私の腕をもってしても、カンタービレ様を癒すことはできないのでしょうか。

一瞬、一瞬、楽になるのよ。あなたの腕はいいと思うわ。黒岩の手は温かいもの。。。それにね、私、いろんな施術を受けてきたから、わかるのよ。その手がちゃんと身体と対話できるのかどうか。あなたの手は、暖かいし、ちゃんと身体の声を聞こうとしてくれているわ。
でも、、、

でも、、

そうね、私、いろいろ考えたの。この痛みは、だるさは、しんどさは、これまでのストレスの結果で、心がね、叫んでる気がするの、私の苦しみ、痛みはこんなもんじゃない、こんなもんじゃなかった、って、体を通して叫んでいる気がするのよ。

心の叫びが、体の症状としてあらわれていると。

そうなの。何をしても、そんなことじゃ、癒されるわけない、私の苦しみは、そんなことで癒されない！って。だから、だらだらと治らない気がするのよねえ。

なるほど。カンタービレ様のお身体は、とても素直なのですよ。施術させていただき、いつも思いますよ。ひねくれてはいないのです。だから、施術には、とてもよく反応されます。素直なお身体なのでしょうね。だから、お心の叫びを、代わりに体の痛みで表現されておられるのですかねえ。

結局ね、それは自分が作っている世界だと、スピリチュアルカウンセラーに言われたのよ。そうなのよねえ。でも、私は、私の心が、そんなことで癒される痛みじゃないって、怒り狂い、悲しみ、叫び、息ができなくなるくらい嘆いているのを、身体で表現したい、外に見せつけたいのかなあ、って思うのよ。それが、現実化しているだけなのよねえ。自分で作り出してる、それもイリュージョンらしいから、そう言われたらねえ。なんだかねえ。自分で新しい世界を作ることもできるわけで、、私は私のその気持ちをなだめて、元気になるには、どうしたらいいのか、わからないのよね。狂わないで、まっとうに生きるために、私は身体にその気持ちを背負わせちゃったのかしら。

深く深く傷ついたこと、お身体で、受けて、表現されてこられたのですね。お身体はかなり頑張ってくれたのですね。

そうかもしれないわね。
だからね、何かで病院に行くわよね。その度に、ドクターは体しか見ないでしょ、治るわけないって思っちゃうのよ。。困ったもんね。深い深い悲しみを抱えてしまうと、、あ、これも、イリュージョンなのよね。でも、ねえ、そんな夢を見るためにこの世にきたのかしらね。そんな悲しみを味わうために、、物好きよねえ。もう、そこにこだわらないで生きていきたい気持ちがあるのに、その片方では、この痛み苦しみを表現しきれてない、そんなもんじゃないって、叫ぶ自分がいるのよねー。どうせイリュージョンなら、楽しい幸せなイリュージョンを見れる方がいいのにね。悲しんだ苦しんだ自分が、可哀想で愛おしいのよ。なくしたくないの。矛盾しているわねえ。いったい、どのくらい、叫んだら、この痛みや悲しみを手放せるのかしら。

黒岩に半分でも預けてくださいましたら、お持ちいたしますのに。

そうね、黒岩は力持ちだから、半分くらい抱えられるわね、きっと。

怒って、泣いて、叫びたいのですよね。黒岩なら、カンタービレ様が、怒ろうと、泣こうと、叫ばれようとも、受け止めてみせますのに。残念ながら、カンタービレ様が、なさりたいお相手ではないのですよね。黒岩では役不足ですね。カンタービレ様、わかっておられるのですよね、そのお相手が、どなたかということを。

ええ。その相手には、どうやっても届かなかったの。何も返ってこなかった。返ってこないことがわかっていたのに、ずっとずっと、愛されることを願っていたの。こんなにこんなに、愛しているつもりだったのに、何も届かなかった。

届いていたんですよ。
そのお方には、でも、、、

わかってるわよ。
わかっているけど、ひどすぎるじゃない。されたことは。それも、どうしようもなかった、彼女にはああしかできなかったって、わかっているのよ。だから、怒っても、泣いても、どうにもならないのよ、私のないものねだりなの、わかっているから、余計に苦しいのよ。

責めたくても責められない、怒りたくても怒れない、やりきれなかったのですね、、、。それが、ご自身のお体にむかわれた、のですね。

そう。そうなの。ただ、それだけなの。
欲しかったのは、母の愛。この歳になっても、まだ、そこなのよ。ばかみたいでしょ。母親の愛が得られなくて悶え苦しんでる自分が、まだ、いる、なんて。

バカではありませんよ。カンタービレ様は、お優しいのです。愛があるからこその苦しみではありませんか。それと、カンタービレ様は暖かい手を知っておられる。黒岩には暖かい手しかありませんが、何度でも、何度でも、痛いところが少しでも和らぐよう努めて参りましょう。そして、少しでも和らいだら、身体を動かしましょうね。

黒岩、最後の一言は余計だわ。

つづく

#もし願いが叶うなら

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