見出し画像

『三体Ⅱ』黒暗森林の書評。ウォールフェイサー・プロジェクト発動

中国発信のSF小説『三体』の日本語版は、2019年7月4日に出版。
それから約1年経過した2020年6月18日、『三体Ⅱ』の日本語版が上下巻2冊で出版されました。

第1弾の『三体』は、少し取っつきにくさもありましたが、最終的には沼にハマるほどの面白さ。
中国の小説なので、漢字の多さが難しさを助長しているのかもしれませんけど、掛け値なしにメッチャ面白かったです。

第2弾となる『三体Ⅱ』はどうなんでしょうか?

結論からいうと『三体Ⅱ』は、最初から物語にハマってしまう仕上がりでした。『三体』で難しさに慣れてしまったのかもしれませんけど、すんなり入り込めました。第3弾の『三体Ⅲ』も既刊しているんですが、『三体Ⅱ』で完結してもいいくらい『三体Ⅱ』の完成度は高いです。

物語は、面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)を中心に展開していきます。さっそく書評を書いていきましょう。


面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)

圧倒的な科学力を持つ「三体星人」の前になす術もない地球人。どうやって対処していくんでしょうか?

地球侵略を狙う「三体艦隊」は400年後にやってきます。結構な時間があるので、どうにかなりそうかな…

無敵に思える「三体星人」にも、ある弱点があることが発覚します。その弱点はネタバレになるので本編でどうぞ!

その弱点を突くために考え出された作戦は、「面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)」
全世界から4人の面壁者(ウォールフェイサー)が選ばれます。

1人目:フレデリック・タイラー(アメリカの元国防長官)
2人目:マニュエル・レイ・ディアス(前ベネズエラ大統領)
3人目:ビル・ハインズ(イギリス人科学者、欧州委員会委員長)
4人目:羅輯(ルオ・ジー)(元天文学者、社会学の大学教授)

この4人がそれぞれ独自の作戦を立て、「三体星人」に勝利するために動き始める。
ところが「三体星人」は、面壁計画(ウォールフェイサー・プロジェクト)に対抗するため、破壁人(ウォールブレイカー)を立てて対抗します。

この破壁人(ウォールブレイカー)は、地球人でありながら「三体星人」に協力する「地球三体協会」の人間です。
なんだか複雑に絡み合って物語を盛り上げてくれますが、破壁人(ウォールブレイカー)は感じ悪いですよね。

フェルミのパラドックスの答えは黒暗森林!?

フェルミのパラドックスって聞いたことありますか?

簡単に説明すると、宇宙には地球人以外にも知性を持った宇宙人がいてもおかしくない。なのになぜ、地球人に存在が知られていないんでしょうか?

いるにはいると思いますが、地球に到達するほどの科学力を持っていない。すでに地球人に接触しているが、友好的宇宙人なので侵略などは考えない。いろいろな考えが存在していますよね。

それらをひっくるめて、フェルミのパラドックスといいます。

コトバンクで分かりやすくフェルミのパラドックスを説明していました。

フェルミのパラドックスとは

『三体Ⅱ』黒暗森林を読んで思ったんですが、フェルミのパラドックスの答えは『三体Ⅱ』に近いんじゃないですかね。そう考えてしまうほど、納得の仕上がりの小説でした。

三体星人の探査機「水滴」の脅威

面壁者(ウォールフェイサー)のうちの一人、羅輯(ルオ・ジー)が冬眠(コールドスリープ)から目覚めたとき、地球人の雰囲気は一変。

科学力の進化で地球は、宇宙大艦隊を擁するまで発達します。なので、地球人の考え方は

・三体星人なんて楽勝。負けるはずがない
・なんなら早く攻めてくれば?返り討ちにしてやる

くらいの感じになっています。

これって小説にありがちなパターンの油断ですよね。ヤバい感じしかしません。

案の定、三体艦隊に先行した探査機「水滴」のようなものに、完膚なきまで叩きのめされます。
ネタバレ寸前ですので詳しくは書きませんが、読んでいて悲しくなってしまいました。

小説とはいえ、私も地球人ですから…

私が悲しくなったんですから、他の人の反応はどうだったんでしょうか?
気になりますので、X(旧Twitter)で調べてみます。

それぞれ感じ方は違うようですが、衝撃の大きさはみなさん同様だったようですね。

しばらく「水滴」の悪夢が続きそうです…

羅輯(ルオ・ジー)の呪文

ここで、4人の面壁者(ウォールフェイサー)の作戦を確認しておきましょう。

・フレデリック・タイラー「蚊群計画」
・マニュエル・レイ・ディアス「水星に水素爆弾の発射基地をつくる計画」
・ビル・ハインズ「精神印章を開発」
・羅輯「惑星に呪文を送る」

しかし、羅輯の「惑星に呪文を送る」は一定の成果を得ます。

その呪文とは…

宇宙には「三体星」以外にも高度な文明を持つ星があるはず。その中の一つくらいは、試しに一発撃ってみる星もあるだろう。このような呪文です。

で、本当に攻撃した星があったということです。

詳しくは本編の『三体Ⅱ』でどうぞ!

土壇場の逆転劇

羅輯(ルオ・ジー)の呪文で、「三体文明」以外の「高度な文明」が反応しました。
これが地球にとって大きな武器になるんです。

宇宙において、文明の位置関係が確定することは致命傷になります。実際に地球の位置が「三体星人」に分かってしまったことで、地球に危機が訪れたんです。

だから「三体星」の位置関係が他の文明に分かってしまうことは、「三体星人」の危機です。
羅輯(ルオ・ジー)は「三体星」の位置を宇宙に送信すると脅しました。

「三体星人」は怯んで、停戦に至ったのです。正に土壇場の大逆転だと思います。

まとめ

今回は『三体Ⅱ』の書評を書きました。

前作『三体』の面白さを超えられるのか、あるいは維持できるのか…そんな心配は全く必要ありませんでした。
今まで読んだSF作品の中でも1.2を争う面白さで、記憶に残り続けるでしょう。

書評を書いていて印象に残ったのは…

・全世界から4人の面壁者(ウォールフェイサー)が選ばれる
・探査機「水滴」のようなものに完膚なきまで叩きのめされる
・惑星に呪文を送る
・「三体星」の位置を宇宙に送信すると脅す

こんな感じです。中でも一番印象に残ったのは…

探査機「水滴」のようなものに完膚なきまで叩きのめされる

これは本当に衝撃でした。恐怖すら感じて悲しかったです。
『三体III』死神永生がメッチャ待ち遠しい!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?