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ミステリ解説集

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#ミステリ解説集

見立て殺人

最近は少し下火傾向な感じはありますが、まだまだ定期的に登場する"見立て殺人"についてお話してみようと思います。

まず、見立て殺人とは……あるものに見立てて事件が装飾された殺人のこと(Wikipediaより)です。
見立てる題材は、歌や詩(この二つは割と似たようなものですが)をよく見かけます。その次に本、他では過去の事件を擬えて、みたいなのも見たことがあります。
普通の事件と比べると、事件が連続し

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死因

古今東西の推理小説において、数多の死体が登場しました。死体が生み出される過程は作品によって様々ですが、死因自体はそれほどパターンがあるわけではありません。それぞれを場合分けして、この死体が出た時はこう、とか、書き手であれば、今回はこの流れでこういう死体を作るのが良いか、などといった基本的な考え方を考察していきましょう。

1.斬ったり刺したり殴ったり
斧や刀で斬る、ナイフで刺す、ハンマーで殴る、こ

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視点

トリックには直接関係なかったりすることもあったり、作品自体の根幹を成すこともあったりする”視点”について考えていきましょう。

視点整理の考え方を取り入れるメリットとしては、書き手にとっては、
・作中人物視点で持ち得る情報を管理しやすくなり、どこまでの情報を渡すかを整理できることになります。
副次的なこととして、作中探偵が解ける謎なのか、もしくは読者視点でないと解けない謎なのかを把握しやすくなるの

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ノックスの十戒 続き

後半戦いきます

6. 探偵は、偶然や第六感によって事件を解決してはならない
これは...解釈次第でかなり意見の分かれる部分ではないでしょうか
言葉通りに偶然に頼った推理では確かに論外だとは思いますが、可能性を追った結果というのは偶然と言えるのか?という部分であったり、推理の材料を集めて最終的にはピンと来た、というのは第六感に当たるのか?というのは...少し微妙なラインに入ってきそうではあります

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ノックスの十戒

まずは、推理小説の基本とも言われるこのノックスの十戒。これを一つずつ現代的な解釈なども合わせて考えていきましょう

1.犯人は物語の当初に登場していなければならない
まあこれは基本事項でいいと思います。犯人を指摘する段階であんた誰だでは話になりません
解釈を拡げるのであれば、「事件が起こる段階には登場していなければならない」、こんなところでしょうか
これだけですと、クローズドサークルもので外部犯の

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はじめに

ふと思い立って推理小説のセオリーなどを語りたくなったのはいいけども、そうすると色々と(主に自分向けに)注意事項を書かないといけない気がしてきたので、まずはそちらから

※全ては私個人の見解です
推理小説というものが世に出て1世紀以上になり、それに対する考え方が書かれたものなど無数にあります。もしかしたら推理小説そのものより多いかもしれません。私自身どれを読んだのか定かでないものも多数ありますし、読

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