見出し画像

【今週の日本酒#23】日本心_武田熟 純米大吟醸 熟成酒(武田酒造:愛媛)


なかなか時間が取れず、今月10日くらいに年が明けてようやくいつもの酒屋さんに行くことができました。

今回紹介する武田熟と、笹政宗のにごりを買いました。
笹政宗とよく似た名前で菊政宗というお酒がありますが、
パック酒の印象を軽く覆す美味さを誇ります。
そこらへんのスーパーにもよく置いてるので、見かけたらぜひ。


よくあるボトルの佇まいとは違って、新聞紙で包まれた特徴的な雰囲気を醸す1本。

媛一会を出してる蔵と同じなんですが、ラベルのデザイン等をとっぱらい(=お酒を貯蔵している姿のまま)、より美味いお酒をより手の届きやすいお値段で作られたのだそうです。

ラベルにたまに書かれてる、お酒作りのエピソード的なやつすきだ。


精米歩合40%の熟成酒です。
味わいの目安としてわかりやすい日本酒度が+2.6とご丁寧に記してもらっていますが、あんまり見かけない気がするんですよね。日本酒度を明記してるお酒って。

ちなみに数値が高くなるほど辛口淡麗なお酒で、その逆は甘い口当たりになります。

個人的に結構印象的だった熊本の花雪は-20でした。-20はかなり低い値で、味もゴリゴリに甘いお酒です。

新聞に包まれているため、開けるまでは精米歩合とか米の品種とか、味を想像する情報がなにもわからない"お楽しみ枠"みたいな感じでした。


ただ、酒屋さん曰く間違いなく美味いそうなので一升瓶で買いました。(一升しかなかった)

なにげに人生初の一升買いで、お店には雪漫々や洗心といった名高い一升瓶も置いてました。
一升瓶買うならこいつらも射程圏内だな…と脳が裂けるほど悩みましたが、お店イチオシ+新聞包みのミステリアスさには勝てませんでした。


今まで四合瓶を数本買って飲み比べするスタイルでしたが、日本酒の基礎知識は最低限身についてきたと思うので一升瓶を以てコレ!という1本とじっくり長く向き合うのも面白いと思うようになりました。

前置きが長くなりましたが、さっそく飲みます。

新聞紙の裏はどうなってるかなって思ったら、
ただの情報の羅列というどシンプル路線で逆にかっこいい。渋い。

熟成酒は過去わずかに飲んだ程度でしたが、どれもコテコテの純米酒のような厚みのある味わいだったので…純米大吟醸の熟成酒となると味の想像がつきません。

飴色ですが、武田熟はすっきり透明でした。



とりあえず冷酒から。
実際飲んでみると、純米大吟醸らしい華やかさを軸としつつ、ふっくらまろやかな米の旨みも兼ね備えていて非常にバランスの良い味。

開けたお酒が1~2晩経つと角が取れたような味わいに変化することがよくありますが、この武田熟はその状態がスタートラインのような印象。飲みやすいというか懐が広いというか。

先にも言いましたが、武田熟は純米大吟醸の華やかさや軽やかさ、飲みやすさを軸に米の旨み(穀物感)を本当にいい塩梅で表現しています。

僕的に米の旨味しっかり系の純米酒が1番の好みなんですが、そういうお酒を好きになってもらう架け橋となりうる1本です。

(何でもいいんですが)飲みやすい1本から入り、飲みやすさはそのままにこういう味の日本酒もあるよ?とお米しっかり系の雰囲気を知ってもらって無理がなければちょっと次飲んでみる?とか、人を沼にやさしく引きずり込める力を持った1本です。

純米大吟醸の熟成酒はだいたいこんな感じの素敵なハイブリッド日本酒(?)なのかな?僕自身初めて飲みましたので、単に軽やか華やかというわけではなく、味の懐の広さという意味での"飲みやすさ"もあるんだなと感心に浸っています。

人のこと偉そうに言えませんが、日本酒知りたてや初めての人には是非とも飲んで欲しいです。

ちなみに、日本心と書いて"やまとごころ"と読みます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?