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ムーミンのお話と仲間たち①

ムーミンって知ってる?

 一定以上の年齢のほとんどの方は、「ムーミン」を知っていると思う。白くて、丸くて、なんか平和そう。帽子を被ったスナフキンというイケてる友達がいて、彼はなんだか人間ぽい。小さくて生意気そうなミイというキャラが可愛い。のか?彼女は常に眉間にしわが寄っている。昭和か平成か令和かのアニメをみたことがあるかもしれない。

 北欧ブームに乗って、昨年ムーミンのテーマパークがオープンしたし(とても写真映えするらしい)、電車に乗れば同じ車両にムーミンのキャラクター商品を身につけている人が1人くらいいるのではないか。そのくらいにはメジャーなキャラクターかと思う。

【参考】ムーミントロール

画像3

引用元:ムーミン公式サイト(日本版)キャラクター紹介ページ

私とムーミン

 さて私はというと、昭和末期に生まれ、幼児期に平成版のアニメ『楽しいムーミン一家』を観ていた、と思う。正直言って覚えていない。だがテレビアニメの画像で描かれた「アニメ絵本」が家にあったので、おそらく観ていたのだろう。

【参考】アニメ『楽しいムーミン一家』公式サイト

 私がムーミンをはっきり認識したのは小学校3、4年生のころに図書室で読んだ児童文学である。私見だがムーミンの小説版は少々子どもを選ぶ。まず挿絵が可愛いと思うかどうか。見たことがある方はわかるだろうが微妙である。当時のムーミンのキャラクター商品は日本版アニメベースの絵柄で、大変にメルヘンだ。そのイメージでいくとおそらくギャップに戸惑う。あと言葉が古い。70年代に翻訳された文章なので、少々荒っぽく感じることもあろう。また、訳者が複数いるので、表現が揺れるのも特徴だ。「リトルミイ」は「ちびのミイ」「ミイ子」とも表記される。(なお、2020年現在、やや柔らかくかつ分かりやすく整えた新版が順次出版されている)後々詳しく述べようと思うが、原作からして設定が曖昧なのだ。ムーミンたちの姿かたちはどんどん変わる。そのうえ同じ名前の別人が出てくるのでお子様大混乱だ(種族の概念を飲み込めるかはムーミン小説を受け入れられるかの大きな要素であると思う。気にしないという方法もある)。

【参考】児童小説『たのしいムーミン一家』表紙絵

楽しいムーミン一家表紙

引用元:ムーミン公式サイト(日本版)

 アニメと小説の乖離で、何よりも大きい要因は、アニメは新聞に連載されていたコミックスをベースにしている点だ。同じ作家(コミックスはトーベ・ヤンソンの弟のラルス・ヤンソンとの共著)が描いているのだが、明らかに雰囲気が違う。トーベ・ヤンソンは芸術家だがビジネスの視点を持つクリエーターでもあった。新聞の夕刊にふさわしいノリを、編集者の指導のもと練り上げていった結果、子ども向けの小説と大人向けのコミックスで違いが生まれた。なので小説をアニメ化したと思い込んでアニメを観ると、違和感を覚えるのだ。

 高校時代、ローカル局の再放送で、平成版のアニメ「楽しいムーミン一家」をやっていた。なんとなく観て、衝撃だった。なにこれ超面白い。まず音楽が良い。オープニングがもう子ども向けじゃない。白鳥恵美子による超しっとりとしたワルツの歌声はオープニングにして子守唄のよう。(子ども向けらしいアップテンポの曲もある)2000年代に入って息をひそめていた、昭和の香りを残した平成初期のノスタルジイがそこにあった。

【参考】平成版アニメ『ムーミン・セレクション~ムーミン主題歌集~』 CDジャケット。当時のムーミン商品はこの優しい絵柄だった。

平成ムーミンサントラジャケット

引用元:Amazon商品ページ ※版元のキングレコードの商品ページは現存せず

ムーミンを研究しようと思う

 そんなわけで私はムーミンが好きである。子ども時代、学生時代、社会人、母親とライフステージが変わって読み返す度に、新たな発見が生まれる。「多様性」という言葉をよく耳にするようになったが、ムーミンのキャラクターは多様性のかたまりである。誰一人、根っから正しい人物はいないし、絶対悪もいない。誰一人として人間ではない何かしらの生き物なのだが、全員人間くさい。見た目がとっつきにくいかもしれないが、キャラクターを知ると愛すべき隣人だと分かるだろう。「かもめ食堂」から端を発した北欧ブーム、2019年のフィンランドとの国交100周年に乗って、ムーミン業界はかなり気合を入れているように見える。目にする機会が増えた今こそ、原作の本を読んでみてほしいと思い、この連載を始める。

 さて、このnoteでは、ムーミンについていろいろな切り口で、私なりの整理をしていこうと思う。日本のムーミン研究は、冨原眞弓先生が第一人者であると思う。作者のトーベ・ヤンソン氏にお会いになったこともあり、著書も何冊か出されていて、読んで参考にしている。都度出展も記していこうと思う。

 手始めは主人公のムーミントロールについて述べる予定だ。

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