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オンラインサロンで4ヶ月間毎週オススメしていた漫画16選

さいしょに

こちらは、「漫画好きの漫画好きによる漫画好きの為の」会員制のコミュニティ「東京マンガクラブ」(2020年12月末にて閉鎖)にて、2020年9月からおよそ3ヶ月間に渡り毎週オススメしていた漫画の記事を、再掲載にあたり今一度塩コショウで味を整えたものです。

最初は「きちんと書かねば!」という気負いのもと形式ばったオカタイ文ならびに内容でしたが、徐々にプシュッと気が抜けて、もとい余計な力が抜けて、竹谷のやりたい放題な様相を呈していく流れをお楽しみいただければと思います。

また、なにかご興味惹かれる漫画ございましたら、ぜひお手に取ってくださいませ。自分のオススメしたものが、誰かの好きなものになる。この喜びに勝るものはなかなかございません。

1.『ときめきトゥナイト』池野恋先生(2020年9月3日投稿)

9月より木曜日のオススメ担当となりました竹谷です!改めまして皆さんよろしくお願い致します!

竹谷は少女漫画に詳しいわけではないのですが、姉がいる関係で幼少期より親しんでいました。松山洋さん(※株式会社サイバーコネクトツー代表)小林琢磨さん(※株式会社ナンバーナイン代表)小禄卓也さん(※株式会社ナンバーナイン取締役、東京マンガビュアーズ編集長)のお歴々とはまた異なるものをオススメしていくためにも、しばらく少女漫画をオススメしていこうかなと考えています。

『ときめきトゥナイト』を読んだのは、それこそ”ときめき”も”トゥナイト”も何を指しているか知らない頃でしたが、「と」と「ト」で文字の頭で韻を踏む、つまり昨今あまり用いられなくなった頭韻を意識したタイトルかもしれないと今にしてようやく思い、その巧みさにひとり震えています。ちなみに「混沌の栗きんとん」みたいな感じで用いられる韻は脚韻と言います、たぶん。最近リマスターされたファイナルファンタジーシリーズの『クリスタルクロニクル』を声に出して読みたくなるのは、頭韻と脚韻の双方を踏んでいるからでしょう(Mickey MouseやDonald Duck、Peter Parker等、古き良きものは頭韻というイメージを勝手に持っています)。

さて、『ときめきトゥナイト』はド王道恋愛漫画です。

主人公の女子高生江藤蘭世(えとう・らんぜ)は、同級生の真壁俊(まかべ・しゅん)に恋をするのですが、同じく同級生の神谷曜子(かみや・ようこ)という恋敵がいます。ここまでなら直線から作られる三角形の恋愛となるのですが、実は江藤蘭世および江藤家にはある秘密があります。江藤蘭世という名前がフランス語のエトランゼ(etranger)に由来し「異邦人」を意味することから、なんとなくご推察いただけるかと思います。

物語は全部で三部構成となっており、それぞれ違った楽しみ方ができつつ、また終わり方もすてきです。絵やシナリオ含め、『ときめきトゥナイト』という恋愛漫画が後世に与えた影響は大きいのではないでしょうか。

色々とリメイクやスピンオフがあるようなのですが、どれから読めばいいのかわからなくて困っております。お詳しい方おりましたら、お教えください!

2.『天は赤い河のほとり』篠原千絵先生(2020年9月10日投稿)

先週の『ときめきトゥナイト』ではたくさんのコメントありがとうございました!

今日も引き続き少女漫画をオススメしていきます。篠原千絵先生の描かれる漫画は、雛形あきこ主演でドラマ化された『闇のパープル・アイ』や、OVAが作られた『海の闇、月の影』、また個人的に大好きな『蒼の封印』等、現実を舞台としたダークファンタジーというイメージが竹谷の中にはあるのですが、対照的に『天は赤い河のほとり』はカラっと晴れたド王道の大河ドラマと言えるのではないでしょうか。

主人公の夕梨(ゆうり)が古代ヒッタイト帝国へタイムスリップし、ユーリとして政治・軍事等で活躍していく、という話なのですが、作中で描かれる恋愛や戦争、そしてちょっとしたファンタジー感がもう最高です。

なぜだか当時小学生の竹谷は『天は赤い河のほとり』から絶妙なエロスを感じ取っており、ドキドキするシーンが多かったように覚えています。薄めでした、衣服の布が。今顧みるに、思春期へ到る情操教育としてかなり最適な漫画だったのではないかと思います。

さて、タイトルにもある「赤い河」ですが、これは現トルコのカッパドキアを流れるクズルウルマク川を指しています。クズルが”赤”で、ウルマクは”川”という意味だそうです。中国には黄河があり、トルコにはクズルウルマクがあるわけですから、青や緑を冠する川も世界のどこかにあるのかしらむ、と柄にもないことを考えつつ、竹谷がトルコへ旅行した時に「赤い河」で撮った画像を貼っておきます。

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今より20キロ以上太っていたころで、それこそ思いっきり胸をそらすと『天空の城ラピュタ』の親方のようにシャツがバーンって破けそうになるほどでした。

『天は赤い河のほとり』は、ある種少年漫画のような「燃える」感じを楽しめる稀有な漫画です!!

3.『ふしぎ遊戯』渡瀬悠宇先生(2020年9月17日投稿)

会社ブログを書き終え、ゲーム『FINAL FANTASY VII REMAKE』のBGMによりハイテンションのまま漫画をオススメします!

BGMといえば、最近「Get Wild退勤」なるものがブームです。言わずもがなアニメ『シティーハンター』のエンディングテーマですが、1987年放送開始のアニメの楽曲が変わらぬ人気を誇るという事態に、コンテンツの強さを改めてしみじみ思う次第です。

記憶ベースなのであやふやもいいところですが、当時の日本テレビは日曜日フジテレビの『サザエさん』をなんとか越えたくて、翌日月曜日のプライムタイムにアニメを仕込んでいたと聞いたことがあります。

CMを挟まずにエンディングへ行く、という演出がどのアニメを起点とするかまで調べてはいませんが、視聴率を上げてフジテレビに対抗したい思いからその演出が生まれたのだとしたら、ビジネスってやっぱりすてきだなと思います。

そして日本テレビの月曜日アニメの遺伝子は『名探偵コナン』へと受け継がれ、エンディング後のCパート挿入や「Next Conan's HINT」と、視聴者を最後まで離さないアニメとして子が親となるまで続き、今や毎年劇場版で数十億円を稼ぐ名コンテンツとなりました。すごい。

逸れました。

『ふしぎ遊戯』は渡瀬悠宇先生による少女漫画で、先日竹谷の書いた『異世界妹。』のレビューでも挙例しましたが、転生ではなく転移(召喚)からなる”異世界もの”のひとつと言えます。

美朱(みあか)という少女が四神天地書を読んで古代中国っぽい異世界に飛び、朱雀七星士という七人の英雄的存在を探しながら大冒険をする、というのが物語の骨子です。

朱雀七星士がみんな本当にかっこよくて、姉とよく「誰が一番好きか」と話していました。ちなみに、スレイヤーズのゼロスが好きな竹谷は井宿(ちちり)でしたが、今になっての推しは柳宿(ぬりこ)です。

さて、冒頭にて「Get Wild退勤」を出したのはブームに乗っかっとけ、という精神だけではなく、『ふしぎ遊戯』にも当てはまると思ったからです。

『ときめきの導火線』というイカしたナンバーがアニメ『ふしぎ遊戯』のエンディングテーマなのですが、こちらもまたCMを挟まずにエンディングへ移行するのです。

このイントロがもうアニメの展開と混ざって最高なのです。『Get Wild』のイントロは何かが終わる時に用いるのに対し、『ときめきの導火線』は「辞令、来月から人事部へ異動」などといった大きな変化があった時に用いると盛り上がると思います。

アニメはもちろん面白いですが、渡瀬悠宇先生の最高級にかわいくてかっこいいキャラクターたちが見られるのはやはり漫画だけです。

そして、また翌週あたり書こうかと思っているのですが、渡瀬悠宇先生の書く女の子ってこう、妙なエロスがあるんですよね。小学生の竹谷は何度ドキドキさせられたかわかりません。

ぜひ読んでみてください!

4.『思春期未満お断り』渡瀬悠宇先生(2020年9月24日投稿)

前回の『ふしぎ遊戯』に続き、渡瀬悠宇先生の漫画です。

主人公の女子中学生樋口飛鳥(ひぐちあすか)がヘルメットなしで単車に乗り、男子中学生の須藤真斗(すどうマナト)を轢き、かれの妹と合わせて3人乗りをするところから始まります。語弊を恐れずに申しあげると、この”規制”のない感じがなんとも良いですね。

さて、この漫画をなぜ挙げたかと言いますと、飛鳥もマナトも、渡瀬悠宇先生が14歳のときに作ったキャラクターだからです(作中の枠外にて詳述されています)。そういう意味で、渡瀬悠宇先生の原点的なキャラクター造形による漫画であり、どことなく美朱や鬼宿に通ずる印象も感じます。

逆に『ふしぎ遊戯』と較べるに、『思春期未満お断り』は性的な描写がはるかに多いです。この一ヶ月ひたすら少女漫画をオススメして参りましたが、竹谷の性への興味や理解は大体少女漫画から得たのだと気づきました。良い気づきです。

当時竹谷は小学生だったので”お断り”される側だったのですが、高鳴る心拍とともに姉の本棚に手を伸ばしては読み耽っていました。なんせ”思春期未満”の意味さえまだわかっておらず、なにか中国っぽい言葉で「ししゅん・きみまん」だと勝手に思っていたほどです。

『思春期未満お断り』は渡瀬悠宇先生の漫画の中でもド直球な恋愛漫画で、「父親探し」という軸はありながらもしっかりライバルがいますし、ふたりの距離も徐々に近づいていきます。もちろん、ひとつ屋根の下に住んだり、ライバルのひとりがマナトの妹だったり、そもそも飛鳥とマナトは姉弟の関係だったりと、変化球も備わっています。

それにしても、渡瀬悠宇先生の描く女の子は本当にかわいいですね。今読み返しても色褪せません(リンク先がAmazonだったり他サイトだったりするのはリンクした際のサムネイル等の見え方を気にしてのことであり、他意はございません)。

5.『SEKIRO 外伝 死なず半兵衛』山本晋先生 / フロム・ソフトウェア(2020年10月1日投稿)

引き続き恋愛漫画を進めていければと思います。

こちらの漫画はゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE | 隻狼』がベースです。いわゆる「死にゲー」と呼ばれるアクションゲームで、とにかく難易度が高く、敵の攻撃を”死んで覚える”必要性があり、心折れるプレイヤーも多い反面、強敵を倒した時の達成感と来たら思わず手が震え勝鬨を上げるほどです。実際竹谷は吼えました。

開発は、中世西洋ダークファンタジーの『DARK SOULS』シリーズや英国ヴィクトリア朝風クトゥルフ味ダークファンタジー『Bloodborne』といった超良質な世界観を共にしたアクションゲームを手掛けるフロム・ソフトウェア社なのですが、そこから出た”東洋”死にゲーということも手伝ってか、『隻狼』には根強いファンが多い印象です。

※現在全世界で500万本売れており、2019年のゲーム・オブ・ザ・イヤー(GOTY)に選ばれるほどです。

『隻狼』は戦国時代、剣聖・葦名一心(あしないっしん)が国を立てた地方を舞台としています。葦名家は戦国時代をなんとか乗り切るため、不死の少年「九郎(くろう)」のその力を我が物にできないかと画策し、幽閉します。

その九郎(御子様)には「狼」という忍がおり、かれがゲームの主人公です。狼は御子様のためなら文字通り”なんでもする”忠義の忍であり、御子様は色々あってかれに不死(竜胤)の力を分け与えます。その竜胤の力あって、狼は一度死んでも生き返ることができ(回生)、ゆえにタイトルが”影は二度死ぬ”となるわけです。

狼に対して遠慮しがちでありながらも聡明な御子様と、御子様に圧倒的な忠を見せる寡黙な忍。『隻狼』は女性ファンも多いのですが、その理由の一端はここにあるのだと思います。端的に申しあげ、御子様から醸成される少年ならではの色気が濃くあります。狼も狼で、寡黙だけど素朴で正直なところがあり、御子様のサービスに対して超嬉しそうな声色を臆せず出します。この関係性が最高なのです。

さて、その外伝である「死なず半兵衛」ですが、これは狼の拠点となる「荒れ寺」にいるキャラクターのひとりで、竜胤とは違う「蟲憑き」という状態により、死ぬことができません(『無限の住人』をイメージしていただけると)。役割はチュートリアル、つまりゲームにおける操作方法の指南役で、狼(プレイヤー)に敵の倒し方を教えてくれます。

「死なないから何度でも斬っていいよ!」

といったことを狼に呟き、何度も狼に斬らせてくれます。献身的というレベルではありません。

その半兵衛が、どのようにして荒れ寺へ辿り着いたのか、というエピソード0的な話を、全1巻に綺麗にまとめている漫画です。剣戟の描写もかなりかっこよく、それだけでも読む価値ありです。

戦国の情はもはや恋、と思っての『隻狼』でした。

6.『BASARA』田村由美先生(2020年10月8日投稿)

前回はゲーム『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE | 隻狼』を元にした外伝をオススメしましたが、こうした忍ものや、最近だと蒙古襲来を描いたゲーム『Ghost of Tsushima』、空前絶後のバッサリ感こと『鬼武者』も含め、戦国ものと言えばイケてる”刀”の登場を魅力的だと感じるひとも多いのではないでしょうか。

もちろん漫画でも”刀”は愛されるモチーフかつアイコンであり、先日沢さん株式会社ナンバーナインスタッフ)が全巻毎日レビューという狂愛の沙汰をなさった『BLEACH』の斬魄刀はまさに「どれが好き」トークで次の元号まで語れる気がします。

そして少女漫画にも、それはものすごくかっこいい”刀”が出てきます。田村由美先生の『BASARA』は、その筆頭格ではないでしょうか。

これほど熱くて、多量の涙が保湿されていない頬を伝う漫画はなかなかありません。

少しだけ話を書かせていただくと、復讐劇です。

しかし、ただの復讐とは進まず、それはもう大河ドラマ級の圧巻なストーリーが展開されます。

もうネタバレになるのでなにも言いたくはないのですが、主人公更紗(さらさ)の刀は「白虎の刀」と言います。ということは、ほかにどのような刀があるのか、そしてそれらの刀は、いったいだれが保持しているのか。書いていてまた読みたくなってきました(更紗をローマ字にするとSARASAで、BASARAと韻を踏んでいるのもかっこいいです)。

弱小で最強に勝つ、増えていく仲間と新たなる旅路、変化・成長していく登場人物、生き様。

こういうワードがお好きな方は、ぜひお手に取っていただければと!

『BASARA』を読み終わる頃には、それこそ「だれが好き」トークで令和の世が終わるまで語れるようになる、そんな最高の漫画です。

ちなみに竹谷の好きなキャラクターは、うーん、浅葱かなあ!

7.『ニコイチ』金田一蓮十郎先生(2020年10月15日投稿)

昨日松山洋さん株式会社サイバーコネクトツー代表)が『べるぜバブ』をオススメ漫画に挙げられていて、ふとしたきっかけで赤ん坊(子)を持つことになる物語はほかになにがあるだろうかと考えていました(ベル坊と酔われた松山さんはなんだかそっくりだなあと思いつつ)。

有名なところで言えば『よつばと!』かなと思いましたが、『よつばと!』はもう漫画好きの中では必修科目レベルという印象があります。ちなみに竹谷はやんだとよつばが結婚するまで死ねません。ふたりがバージンロードを歩くのを末席から見つめてむせび泣きたい。

SPY×FAMILY』も同じく子を持つ要素がありますね。アーニャが犬のボンドと走っている時の”どたんこ”という音が大好きですが、今の竹谷の胸中はフィオナ(コードネーム〈夜帷〉)とともにあります。

さて、左様な中、今夜、私がオススメするのは…

金田一蓮十郎先生の『ニコイチ』です。

主人公の須田真琴(すだまこと)は亡き妻の前夫との子、つまり血の繋がっていない息子である崇(たかし)の前では、色々あって女装し”お母さん”として振る舞わざるを得ない、というのが骨子です。すでにややこしすぎて興味しか出ない構成は、さすが金田一蓮十郎先生、大好きです。

その女装テクニックは凄まじく、男性からの視線を奪うことも然ることながら、助けた女性からも慕情を寄せられてしまい、しかし須田は男性としてその女性に向き合いたく…。

秘密(隠し事)をどこまでキープするのか、いつどうやって開示するのか、展開にそわそわ焦りほっこり和み、読めば読むほど先が気になる最高の漫画です。

あと、『ゆうべはお楽しみでしたね』のレビューでも記したと思いますが、金田一蓮十郎先生の描かれる女性はなぜこうもかわいいのでしょうか。

はーたまらん!かわいいなあ!!!!!

8.『ラララ』金田一蓮十郎先生(2020年10月22日投稿)

ちょうど来月11/22は”いい夫婦の日”です。

調べたところ、”いい夫婦の日”の提唱は1988年と思いのほか古く、2000年より「いい夫婦 パートナー・オブ・ザ・イヤー」の選出もあるそうです。ゲーム・オブ・ザ・イヤーがGOTYなので、略すとするならPOTYでしょうか。特に最近のSNSではハッシュタグ等で盛り上がっているような記憶もありますが、竹谷は2月22日の”猫の日(にゃんにゃんにゃん)”から派生しただろう”いいにゃんにゃんの日”を想っています。”いい夫婦”の定義はよくわかりませんが、”いいにゃんにゃん”は実にわかりやすいですから。どこまでも触らせてくれる猫です。

さて、11/22が”いい夫婦の日”なら、10/22は”異例な夫婦の日”でしょうか。『ARMS』の高槻夫妻が一瞬浮かびましたが、今日は先週に続き金田一蓮十郎先生の漫画をオススメできればと。

『ラララ』です。

竹谷は恋愛漫画に詳しくないため弱い推論となりますが、恋愛漫画の大目標に「意中の相手と恋仲になる」があるのは、皆さんご賛同いただけるかと思います。恋仲がゴールとなるのもあれば、恋仲になってからもすれ違い、鍔迫り合い、最上のパートナーシップを目指すものもあるでしょう。また、結婚式が最終話のものも、少なくはないように思います。

『ラララ』に関して申すと、恋愛漫画の真逆を行くように、その”結婚”から始まる物語です。

つまり、好きでも愛しているわけでもなく、ある事情から結婚し、そこから互いを知り距離をつづめていきます。

ですので、異例・非常識・型破りな夫婦に映るのですが、言うまでもなく家族には家族の数だけ”普通”があり、多様にも多様です。なんだか固そうに見えるビジネスの契約書でさえ、たとえばラーメンを食べる覚書であろうと、甲乙をYou and Meと記した契約書であろうと、合意があれば成り立ちます。”そうしてきたから”、”そういうものだから”と盲従してしまう固定観念という枠は、取っ払えた分だけ生きるのが楽しくなる、と個人的に思っています。

『ラララ』の家族は、家族愛の逆行を楽しむように、”ラララ”と歌うように日々を過ごしていきます。

心地よく読めて、なぜか心が広がるような気のする漫画です。

最後に、いい夫婦の日がいい猫の日でもあるなら、10/22は”異例なにゃんにゃんの日”かと思いましたが、異例なにゃんにゃんの定義もげに明解ですね。どこまでも触らせてくれる猫です。

9.『SHAMAN KING ~シャーマンキング~』武井宏之先生(2020年10月29日投稿)

大変申し訳ございません…今日が木曜日だとずっと思っていながら金曜日のムーブを取っておりました…。

さて開き直りまして、”曜日感覚のズレ”というのは皆さんもよくご経験があるかと存じますが、この「曜日」というのは日本独自の言葉のようです。なにが言いたいかと申すに、英語で各曜日を記すと、

Sunday、Monday、Tuesday、Wednesday、Thursday、Friday、Saturday

ですが、それぞれ無理くり訳すと

太陽神の日、月神の日、チュール神の日、オーディン神の日、トール神の日、フリッグ神の日、サトゥルヌス神の日

となり、日曜日と月曜日はかろうじて近しいものを感じても、火曜日以降はほぼ北欧神話で埋められていて「チュールって猫がめっちゃ食べるやつ!」と思います。

日本の曜日は陰陽道から来たようで(たぶん)、日月はそのまま陽と陰、あとの火水木金土は五行を指しています。そして”曜”は「輝く」という意味なので、先ほどの竹谷の一文を分解して記すと

「今日は五行で言う木の輝く日だとずっと思っていながら同じく五行で言う金の輝く日のムーブを取っておりました…」

となります。

「え、じゃあ同じ漢字仲間の中国はどうなの?」とお思いの方もいらっしゃるかと思いますが、中国では普通に漢数字の一から七を順番で用います。どうしてか中国だけは「曜日」を一緒に使ってくれているとずっと信じていたのに、と裏切られた気持ちになります。

「曜日」がいかに日本独自か書いてきましたが、このおかげもあってか、日本では五行と言われると「あーはいはい、曜日ね」とすんなり頭の中に入ってきますし、それぞれが属性としてゲームやアニメ、漫画等で用いられても理解が容易です。

そうです、本日(昨日)オススメする漫画は『SHAMAN KING ~シャーマンキング~』です。

主人公の麻倉葉は霊を自らに憑依させて闘う”シャーマン”であり、500年に一度行われるシャーマンファイトを勝ち抜き「シャーマンキング」を目指す、というのが骨子なのですが、そのシャーマンファイトがぱっと見ド王道なトーナメントでありながら、一筋縄では行かない展開がそれはそれは最高な漫画です。なんというか、バトルものなんですけど、バトルもするんですけど、バトルものじゃないと言いますか。

特に麻倉葉はジャンプ(当時)主人公らしからぬユルさの持ち主であり、傍目からでは熱血さが微塵も感じられず、闘わなくて済むなら闘わない、というスタンスの少年です。

それがまたかっこいい。性格が穏やかなだけで、努力はきっちりしているところも好き。

「どんな事だって良いふうにも悪いふうにも理由ならつけられる。だから正義か悪かなんて決めつけるのがおかしい」

葉の友人まん太から語られる、葉の言葉です。

連載時はたしか西暦2000年くらいだったはずですが、その頃にこの考え方ができている葉はほんとうにすごいと思います。

来年アニメ化も決まり、今こそ改めて皆さんに読んでいただきたい漫画です。

10.『3月のライオン』羽海野チカ先生(2020年11月4日投稿)

先週「曜日」のことを書いたところ、

「他にもっとそういうのないの!? あるんでしょう、さっさと出しなさい!ちょっとそこでジャンプしなさい!」

とお褒めいただいたので、引き続き暦の話をします。

日本語において、陰陽道ベースの曜日の変哲さに較べ、過去には睦月から師走と小粋な呼称があったものの、現在「月」は効率のためか1から12と数字で数えます。

英語では、皆さん中学時代に「は?」と半分お腹を立たせながら綴りを覚えただろう、

January、February、March、May、June、July、August、September、October、Novemver、December

となりますが、今回はそれぞれの意味をお話していければと思います。

まず January ですが、これはローマ神話由来の”ヤーヌス神の月”を意味します。ヤーヌス自体の意味は「扉」であり、したがって”古い年が閉まり新しい年が開かれる”という具合で最初の月を表す言葉となりました。

February は「浄めの月」を意味します。fume(煙、perfumeで香料)とは親戚となりますが、煙ということは火が必ずあるので、“浄化の火の月”といった感覚が最も近いかもしれません。年の終わりに、色々と清めて新年を迎えよう、と思う古代の人々の年末への思想が伺える言葉です。

え? February が年の瀬? 2月はまだまだ年のスタートでは、とお思いではないでしょうか。竹谷もそう思います。

考えるべきは単語が定着した時代で、つまりは、旧暦という観点です。

2か月ずれているんですね、今の暦の流れと。

したがって3月 March が昔の年の始めとなります。意味は“軍神マルスの月”で、火星(日本語では天体もほぼ陰陽道ベース)の Mars と同じです。軍神は強いですから、年始として景気が良かったのかもしれません。コアラのマーチがめちゃくちゃ美味しいのも“軍神マルスのコアラ”だからです、きっと。

その軍神マルスに続けと、4月 April は“美の女神アフロディーテ(Aphrodite)の月”、5月 May は“豊穣の神マイア”、6月 June はご存知“結婚の神ユーノー”と続きます。

このまま神様縛りでカードを出していけば綺麗に終わるのですが、思う通りに定着しないのが言葉というもの。

7月 July はガーイウス・ユーリウス・カエサル、英語読みでいうジュリアス・シーザーです。色々と物語の題材となる方なので、知っている方も少なくないと思います。もとはまったく違う月の名があったのですが、ローマの偉い人の死を悼み、また敬意を表するため、彼の名自身が月名として定着しました。8月 August もそれに続き、初代ローマ皇帝アウグストゥスに由来します。

神から始まった旧暦は偉人へとバトンを移し、これは9月 September もローマ関係の偉人かと期待するのですが、そうはなりません。

9月 September は“7(sevenの親戚)”、10月 October は“8(タコは「8本足」でOctopus)”、11月 November は“9(nineの親戚)”、12月 December は“10(tenの親戚、デシリットルのデシ)”という意味です。一切のやる気を感じられず、数字で定着して現在に至ります。なぜそれぞれ n-2 となっているかと申せば、旧暦は3月 March スタートのため、現在と2か月ずれているからです。

さて、順に無理くり訳すと、

扉神ヤーヌス、清め(終わり)、軍神マルス、美神アフロディーテ、豊穣神マイア、結婚神ユーノー、ローマ偉人、ローマ偉人、7、8、9、10
です。なんなのほんとに。

September 以降もローマ偉人を当てていたのですが、どうやら定着しなかったようです。なら9月を November にしてくれればわかりやすいのに、3月スタートだけは律義に守っています。

それだけ March は人々に親しまれ、愛されてきた月なのかもしれません。

そうです、今日オススメする漫画は『3月のライオン』です。

竹谷は『ハイキュー!!』然り、「はっとするような感覚を覚えさせてくれる漫画」が大好きでして、『3月のライオン』もまさにそうです。生きる上での哲学。そう言いかえてもいいかもしれません。

若き棋士の物語で、かれ本人が恰好良いのはもちろん、周囲の人々の闘いが涙なしには読めないほど恰好良い。なにかしらヤバいのがプロ、と『ハイキュー!!』で菅原も言っていたような気がしますが、技のみならず心の強さと逞しさに惚れます。

散りばめられた伏線を丁寧に回収していくお話も竹谷は大好物ですが、ひととひとの想いというか、意思が連綿と伝播し、託し託され、己の闘いへと昇華していくさまも最高に大好きなのです。

毎巻出る度に泣く、貴重な漫画です。

11.『私の少年』高野ひと深先生(2020年11月12日)

本日は待ち焦がれた伝説のゲーム機『PlayStation 5』の発売日なのですが、逆に呼応するかのようにノートPCが動かなくなり途方に暮れています。土日と出張なので、どうしても回復しなかったら明日ノートPCを買うしかないなあと思いつつ、届き立てのPS5を横目にスマホでタプタプと仕事をしています。

想像していたより大きいんですよね、PS5。めちゃくちゃハイスペックなPCと考えれば小さい方だとも思いますが、PS4やPS3と比較するとやはりその巨躯に驚きます。そしてPS4はまだまだ現役のイメージがありますが、もう発売から7年経っていることにも驚愕を隠せません。

当時28歳だった90kgのニートは、その7年後東京マンガクラブでオススメ記事を書いている70kgのゲーマーとなりました。

「あの竹谷はやばい」

色々な方が、変化を驚いてくださいます。長い年月には、劇的な変化を生じさせる力が少なからずあるようです。

それは、若いひとにとっては、より一層。

ということで、今日のオススメ漫画は『私の少年』です。

30歳のOLと12歳の少年のお話なのですが、当然のように一筋縄では進まない物語です。

ふたりが親戚、とかならまた違うかもしれませんが、赤の他人です。「どれだけ関わっていいのか・関わるべきなのか」という問題が常に付きまといます。

余計なお世話、という言葉があるように、善意ほど"押し売り"になりがちなものはなく、誰かが困っていても中々前のめりで助けに行けない状況もあるかと思います。

しかしこの漫画では、それでも、と手を差しのべてしまい、結果そこから絶妙な関係と距離感が生じてしまいます。

そして少年が年月を重ね成長する時、どうなっていくのか。周囲はどう変化するのか。人生を過ごす上で作られていくさまざまな良縁・奇縁を改めて思う、そんな不思議で素敵な漫画です。

12.『エマ』森薫先生(2020年11月19日投稿)

ここまでお付き合いくださった皆様はもう先刻ご承知かと存じますが、竹谷は英語の語源がそれは大好物でして、大学時代は英文学専攻だったくせにそっちのけでずっと英語史を掘りに掘っておりました。

たとえば牛は cow 、ox ですが、牛肉は beef で別の単語となるのも歴史が絡んでいます(cow-meat、ox-meatとはならない)。鳥も bird なのに chicken ですね。ちょっと性格悪く、ここではその変遷の説明は割愛します。

また最近今更知って驚愕したのは別れの挨拶グッバイことgood-byeは今の英語で言うところのgod-by、つまり「神が近くに」という加護を祈った言葉だということです。マジか。goodが「良い」のgoodだといつから錯覚していたのか…。

英語の歴史は当然英国史が絡んできますので、当然英国の文化や歴史も好きになっていくのですが(ゆえにゲーム『アサシン クリード』シリーズの最新作『アサシン クリード ヴァルハラ』と過去作の『アサシン クリード シンジケート』は最高です)、大学時代、教授が英国文化を学ぶ資料として不意に引用してきたのは、とある漫画のアニメ映像でした。

森薫先生の『エマ』です。

メイド(労働者階級)の主人公エマと、貴族貿易商(上流階級)のウィリアムとの恋愛物語なのですが、交通手段から貸本屋と、森薫先生の熱と愛情をひしひしと感じる圧倒的なヴィクトリア朝の文化描写ばかりでして、いやそれはわかりますけれども、オタク文化もまだそんなに広く受け入れられていない2000年代前半の講義中いきなり無表情で『英國戀物語エマ』を流す教授にコーヒー吹きました(当時の表現を試験的に再構築しています)。

ちなみに、その最高峰の文化再現描写は副読本『エマ ヴィクトリアンガイド』を読んでいただければと。きっと涎と涙の水滴四刀流になります。

ちなみのちなみ、メイド maid の語源はなんとなくご推察できる通り maiden が短縮されたものです。人魚姫ことリトルマーメイドの mermaid は海 mer + 乙女 maid(en) からとなります。マーメイドは別に海でメイドのお仕事をしているわけでなく、語源の maiden 繋がりというわけですね。

逸れました。

身分違いの恋というのはある種鉄板のもので、ゆえにエンディングもわかりやすいかとは思いますが、超高度に練り上げられた英国文化の奔流が『エマ』の恋愛をより一層現実的で面白くさせ、無二の漫画たらしめています。

13.『ヴィンランド・サガ』幸村誠先生(2020年11月26日)

大変申し訳ございません…またもやサボってしまっておりました…。

最近発売した『アサシン クリード ヴァルハラ』が面白すぎて…ついつい忘我の上そちらをしこたまやりこんでしまい…というのは半分嘘で半分本当の真実でございます。心よりお詫び致します。

さて、ヴァルハラという言葉はもうこれでもかというほど浪漫に溢れていて、おそらく漫画好きやゲーム好きの皆様は大好物の単語かと存じます。

Valhalla は val + halla から作られており、val (戦死者)、halla(館、現代英語でいうhall)という意味合いです。同様にヴァルハラへ連れていってくれるみんな大好き戦乙女ヴァルキリー(竹谷はゲーム『ヴァルキリープロファイル』が大好きです)は Valkyrie で val + kyrie(選ぶ者)から成り立ちます。

そのタイトル通り『アサシンクリード ヴァルハラ』は古代北欧を舞台にノース人(古きスカンジナビアの人々)やデーン人(古きスカンジナビアにいたゲルマン系)やサクソン人(ドイツあたりのゲルマン系・現英国人の土台)の入り乱れる大河ドラマを描いた作品なのですが、主人公のエイヴォルは新天地を求め、スカンジナビアからイングランドへ船出します。

エイヴォルって名前がかっこいいですよね。ほかにも北欧らしく、響きの良い名前がどんどん出てきます。ハーフダン、シグルド、ビョルン、クヌート…。

そういう古き北欧のかっこいい人物たちは、本日オススメする『ヴィンランド・サガ』にも登場します。

ヴァイキングを舞台にしたこちらの漫画は、その名の通りひたすらに血生臭く、略奪や暴行といった人間の戦慄すべき一面が大いに描かれています。主人公のトルフィンも例に漏れず、良きヴァイキングとして、そのしたたかな殺戮ぶりは惨を極めます。

しかし、ただの殺人鬼はサガ、つまりロマンシングな伝承にはなり得ません。

小さい頃からひとを殺し続けてきたトルフィンが、どう伝承に値する人物となるのか。読むに、20巻くらいまでが前日談と思えるほどの構成で、巻を追うごとにどんどん面白くなっていく漫画です。

ちなみにですが、トルフィンは実在の人物であり、かれの人生をひも解いた『グリーンランド人のサガ』と『赤毛のエイリークのサガ』の2編を合わせて『ヴィンランド・サガ』と呼ぶそうです。ヴィンはおそらく vine(ブドウ)でしょうから、豊かな大地を想っての呼称がなんとも愛おしいです。

14.『ゆゆ式』三上小又先生(2020年12月3日投稿)

昨日(12月2日)より、ぼくらがナンバーナインさん主催の漫画家ミライ会議が開催されています。皆さんはご覧になられているでしょうか。

漫画家ミライ会議の視聴は下記のYoutubeチャンネルからできます!

竹谷はどうしても予定が合わず、八王子の地から心で見ています。

未来に対して思うことは、ひとによって十人十色の千差万別でしょう。しかしひとつ言えることとして、おおむねの人間は「この先どうなるか」を知りたいと思う生物であり、それは生存を第一目的とする遺伝子によって仕組まれた、危険をローリングでジャスト回避するための能力です。

まさに漫画家ミライ会議は、漫画業界に携わる方々の今後、つまり未来に対して有益な情報だらけの番組ですから、「この先どうなるか」という人類の本能に訴える素晴らしいイベントだと心から思います。

そんな面白いに違いないイベントの開催日に会食を入れてしまった自分を責めに責め、

「これは由々しき事態だ」

と自らを叱責しています。

ということで、本日オススメする漫画は『ゆゆ式』です。ただのダジャレで繋げてしまいました。猛省しております。

女子高生が雑談を繰り広げる、いわゆる日常系漫画です。基本的に3人組による掛け合いなのですが、ゆるめのテンションとシュールさで、ずっと三位一体を見ていたくなります。

有名どころとして、「なんつってっつっちゃった」というフレーズを3人で合唱するかのように楽しむ話があるのですが、当時アニメを観ていた竹谷はそこで心の臓がつらぬかれました。あと、アニメはBGM含め楽曲が本当に素晴らしいです。

また、3人による組み合わせは 3C2 = 3通りですが、ここにほかの3人組が現れると、6C2 = 15通りの組み合わせ(関係性)となるので、5倍面白くなります。

ただの日常系で終わらない、妙な感覚。

「噛めば噛むほど味の出る、するめのような人間です」とは最早事故と化した自己アピールですが、まさに何度も読みたくなる面白さがある漫画です。

いつかアニメの2期が来ますように…!

15.『ライアー×ライアー』金田一蓮十郎先生(2020年12月10日投稿)

「人間は服を着た猿」と昔々あるところで聞いたことがあります。

生活に必須な要素として、日本語には"衣食住"があり、もはやSNSと切って離せなくなった「承認欲求」で有名なマズローの法則では、生理的欲求・安全的欲求あたりに衣服が入っているように勝手に思います。おそらく防護の観点から服は作られ、いつ頃からか裸を恥ずかしいと"思い込み"、今ではファッションとして楽しむものとなりました。

ちなみに欲求とは、睡眠欲や食欲のように"満たされれば消える"といった必要性を備えたものですので、承認欲求という言い方はなんだか妙だと感じています。どちらかといえば承認欲望、つまりは単なる欲望のひとつであり、足るを知らずに育て続けるうち、古代中国のトンのようにやがて自己を食い潰してしまう厄介な代物ではないでしょうか。気をつけて生きていきたいです。

何を言いたかったんでしたっけ。

そうそう、服に限らず、人間は世界を生きやすくするため、さまざまなものを作ってきました。より強い満足感を食べ物に与えるための"料理"、狼に襲われても大丈夫な"家"、そしてそれらを円滑に手にするための"お金"。

貨幣はもともとを金銀と兌換するための券でしたが、今は各国が価値を認めているだけです。また、金銀も畢竟ただの石ころです。

ひとはただの紙や石を価値あるもの、高貴なものと思い込み、さらに言うなら全員で信じ込むことで社会をより楽しいものに変化させてきました。

その信じ込みはクールに言うとシステムや主義と呼ばれますが、竹谷はもうひとつの言い方として「虚構」を用いています。人間は良い生を送るために、宗教や王、法律や会社、貨幣といった嘘を発明してきました。

つまり、人間は嘘を上手にこねこね固め、みんなで酔える文字通り酔狂で素敵な生き物なのだと思います。

そして、つきたくない嘘をついてしまうのも、人間の妙ではないでしょうか。その嘘による恩恵が大きければ大きいほど、自身の首を締める真綿はその重量を増していきます。正直にすべてを白状したくても、その後を思うと恐怖心で固まってしまう。大小あれど、皆様にもそのような経験があるのではないでしょうか。

ということで、本日オススメする漫画は金田一蓮十郎先生の『ライアー×ライアー』です。だいぶ遠回りしてしまいました。

実写映画化も決まり、今まさに押せ押せの漫画です。

血の繋がっていない、そしてあまり仲のよくない姉と弟の物語です。姉が女子高生のコスプレで街へ繰り出したところ弟に惚れられ、混み入った事情に押されて恋人になるところから始まります。もちろん、自分が本当は姉であることは隠し、つまり別人であると嘘をついて。

個人的なポイントはタイトルの通り『ライアー×ライアー』です。

『HUNTER×HUNTER』は確かダウンタウンの浜田さんのツッコミ「何で2回言うねん」を聞いて付けられたタイトルですが、『ライアー×ライアー』に浜田さんは出てきません。ということは、乗算を示す”×”は何を表しているのでしょうか。

もしかしたら主人公の姉以外にも、嘘をついているひとがいるのかもしれません。

読み終えてなるほど、これはライアー×ライアーの数式が成り立つと思う、小気味良い読後感のある漫画です。

それにしても、これは何度でも申しておきたいことですが、金田一蓮十郎先生の描かれる女の子はどの作品でもほんとうにかわいいです。

16.『SKET DANCE』篠原健太先生(2020年12月17日投稿)

先に申しておきますと、いつもは失念しながらの懺悔を伴う翌日投稿でしたが、今回に関しては覚えていながらの懺悔を伴う翌日投稿となります。申し訳ございません。

本日の投稿をもって、竹谷担当のオススメは最後となります。

ですので、どれにしようかと考えに考え、ようやく決まった次第です。その選定に、時間がかかってしまいました、という言い訳を添えておきます。

『SKET DANCE』にしました。

それこそ竹谷が東京マンガレビュアーズの前身であるマンガ新聞にレビュアーとして参加した際、初めて書かせていただいたレビューが『SKET DANCE』でした。

そして、こちらの記事は当時Twitterをやられていた篠原健太先生にリツイートされ、たくさんの方々の眼に留まることとなりました。

まだまだレビューの書き方もよくわかっておらず――今も試行錯誤中ですが――見るに耐えない文体ではあるものの、それでも書いて「好きだ」と発信することそのものに意味があるのだなと身をもって実感した瞬間でした。

ビギナーズラックは、ビギナーとして舞台に立つから降りてくる。

それからずっと、竹谷はなんとか舞台に立ち続けています。そのきっかけと学びを与えてくれたのが、『SKET DANCE』でした。

レビュー自体も『SKET DANCE』に対する感謝しかない内容でしたが、こちらのオススメでも結局感謝しかしていません。それほどまでに、竹谷の中で大きな存在なのだと思います。

そして最後に、これまでお付き合いくださった皆様にも最大限の感謝をお送りできればと。

皆様のリアクション・コメントがあったからこそ、楽しく書き続けてこられました(皆様が楽しかったかは別として)。なにかの発信は、ただの情報源としてでも有価値とは思いますが、コミュニケーションの土台になるとそれはもう最高ですね。

以降は東京マンガレビュアーズで、へんてこな文章を一層へんてこにしていく所存ですので、よろしければお読みくださいますと嬉しい限りです。

改めましてとなりますが、本当のほんっとうに、竹谷のオススメにお付き合いくださりありがとうございました!

おわりに

極力当時のライブ感をそのままにしておきつつ、性格の悪さがはみ出ていそうな文面をこっそりごっそり修正した内容とさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。

オンラインサロンというクローズな空間だったからこその書ける内容もあり、またサロンの閉鎖とともに思い出として静かにさせておく道もあったのですが、やはり「文章は資産」だと強く思うがゆえに、今回適宜リライトしつつ公開させていただきました。

お読みくださった皆様のご興味の円が、少しでも多く大きくなっておりましたら嬉しい限りです。

改めまして、お読みくださりましたこと、深く感謝致します。ありがとうございました。

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