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episode3:涙の理由

前回の話↑


✳︎


夕食を食べ終えたあと、携帯のライトが点滅していた。

水月さんからメッセージが届いていた。



秋桜さん、初めまして。

メッセージありがとうございます。

まあ、涙が出てきたのですね。

最初は何となくこう感じる、というところからなんですよね。
これから何度か瞑想していくうちに、また涙の理由が分かる日が来るかもしれません。

最初の瞑想でそこまでシンクロできるなんて、素質があると思います。
これからスピリチュアルな能力が開花してくかもしれませんね。

過去世を知ってから感じたことなのですが、
人が死ぬ時に思うことは、大きなこと1つなのだなと思うのです。

秋桜さんの涙は、どんな涙なのでしょうね。


(シンクロ…?)


"シンクロ"という言葉についてネットで調べてみたところ、
synchronicity(シンクロニシティ)の略語で、「意味のある偶然の一致」・「共時性」・「同時性」の意味があるとのことだった。


"人が死ぬ時に思うことは大きなこと1つ"




何かすごく重要なことを聞いた気がして、心の中でもう一度読み返していた。

(また寝る前にCD聞いてみようかな…。
それにしても、"素質"があるって何だろう?)


しかし、その後何度CDを聞いてみても、まどろんだり眠ってしまったり、集中力が切れるばかりで、涙の理由を知ることはおろか、同じ体験をすることは二度となかったのである。




✳︎

当時私は、不思議で神秘的で、目に見えない世界の入口を覗いたところで

生まれてきたからには何か果たさなければならない使命が自分には絶対あるはずで、
人生の目的や生きる意味、新しい自分へ導いてくれる、知らない世界への切符を手にしたと思っていた。

そして、子どもの時から見えない世界の話が好きで、心のどこかでいつも惹かれていた。だから急に身近になったことにわくわくも感じていた。

それから、単純に涙の理由を知りたかった。

あんなにも胸が熱くなって締め付けられるように切なくて、懐かしい感覚。

きっと、大切な想いなんじゃないだろうか。

知らないまま、思い出せないまま、その大切な想いをなかったことにして良いのだろうか。

もしも知れるのならば、自分のこの過去世を思い出してみたい。

水月さんからのメッセージを読み終え、そんなことを思った。


しかし、その思いとは裏腹に、あっという間に旅立ちの季節が来て、私は実家から離れた暮らしに慣れることに精一杯になった。

この涙の理由を知るのが半年後のことになるとは、知る由もなかったのだ。




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