就職活動と採用活動の狭間で

新社会人として落ち着かない情勢に振り回されながらも、社会人として4日目を迎えた。

約半年前までは就活生として、リクルートスーツっぽい服を着てWEBテストやら面接やらをこなしていた。それは未来への希望とは程遠い、先行きの見えない不安と、手探りな毎日だった。

なんとか自分の満足の行く企業の内定をゲットしたときの喜びは今も忘れない。しかし、それは内定をもらえた喜びよりも、先行きの見えない暗闇からようやく抜け出した安堵感だったようにも思う。

4月からはいわゆるHRtechという類の「採用管理システム」を販売するIT企業に勤めている。
お客さんは企業の人事担当者で「採用活動」をする人である。経営戦略から必要な人材像を洗い出し、1期が2年にも及ぶ長い長い採用計画を立案する。そこから社内に向けてはリクルーターや面接官との日程調整、ペルソナの情報共有、社外に向けては求人広告掲載媒体への登録や合同企業説明会の出展、就活生に向けては細かなメッセージのやりとり、面接日程の調整など多岐に多岐に多岐にわたる膨大な業務をこなす。

入社4日目の私は、まずお客さんである「人事を知る」を叩き込まれている。(優しく丁寧に叩き込んでいただいている)
その中で、卒業1年前頃に行われる就活生と企業のやり取りに対する認識が「就職活動」から「採用活動」に自分の視点がバチッと変わる瞬間を感じた。それと同時に、「あ、コレはもう就活生の気持ちがわからなくなる」という恐怖も感じた。

これは、就活生である私から採用業界人となる私へのメッセージであり、備忘録である。

就活生にはノウハウが蓄積されない

超当たり前のことだとは思うけれど、初めての就職活動をするのは一回きり。そしてタイムリミットがある。

人事の人には名の知れた「某〇〇社の敏腕人事」がいるようだけれど、就活生は約1年位初めての就職活動を行う。

キャリアコンサルや学校のキャリアセンターもあるが、それらを利用することにどれだけのメリットがあるのかも、何をしてくれるのかもわからず、それらをフルに活用している人でも初めての経験で、最大限使いこなせている人は少ないだろうし、そもそもそういった仲介者が入り込めない就活生自身の「人生観」だったり「キャリアプラン」「哲学・思想」みたいなところが重要になってくるのだから、面接でぱっと答えられないから良し悪しみたいな評価は難しいだろうなと思う。

キャリアプランが描けているわけがない

そもそもスタート地点に立っていない、レース会場の全貌もわからない、自分の走るスピードもわからない。そんな状態で「ゴールまで何分かかりますか?」と言われても答えようがない。
大学4年生、22歳という年齢を考えてみてほしい。就職活動の中で問に答えるうちに見えてくることもあるだろうが、特に周りの企業に比べて早期採用をしている会社だとキャリアプランみたいなものがしっかり出てくることは少ないんじゃないだろうか。仕方なくない?と思う。

面接官は敵のように見える

自分を評価する人は味方ではないだろう。
今の一言をどう思っているんだろう。お辞儀の角度とか見てるんでしょ!
質問に瞬時に答えられなかったら頭の回転遅いやつだな〜って思ってるんでしょ!
みたいに思ってた。

就職活動は私の人生をかかっている(と思っている)

就職活動から採用活動に視点が切り替わったときに感じた違和感の中で一番大きな違いかも知れない。
採用活動は母集団から内定者を選び出すけれど、就職活動では一社ずつエントリーシートを書いて、面接をしては採用、不採用の結果をもらう。

例えるならば・・・期間内に取らなければ社会的信用をまるっと失う営業活動のような感覚だろうか。

友人では就活の時期はSNSを一切見れなかったという人もいる。周りの友達が自分より早く内定までこぎつけていれば焦るし、就活生の不安を煽るようなメディア広告も増える。
「就職はご縁でしょ」とか、「入ってみなきゃ分かんないよ」とか言われるけれども、自分の人生を背負って正解がなにかもわからない暗闇を進む就活生は精神的にものすごく追い込まれている。

採用担当者は採用計画を立て、KPIを取るみたいだけれど就職活動では「あと少しで目標達成だった。来年度に反省を持ち越そう」何てこ度ができない。ただただ採用か不採用かを繰り返す。
この精神的負担を考えたい。

こんなところだろうか。。

思いつく限り、就職から採用視点に変わったときに違和感と感じたことを挙げてみた。また思いついたら追記する。

そもそも私は新卒採用を社会貢献活動だと思っている。
どんなに採用難と言われる時代でも、大学卒業したてで、何につけてもマネジメントコストがかかるし、何年勤務するとも保証のできない人間を採用すること自体、何世代もの大人の優しさが介在しないことにはなし得ないと思う。

実際私は就職活動を通して、この人は一生忘れないという人事の方にお会いすることが何度かあった。内定には至らなかった会社だけれど、確かに私の人生に向き合ってくれて、「かっこいい社会人」を魅せてくれた。
今所属する会社の人事にも、頭が上がらないくらいお世話になった。

そんな新社会人に心から向き合ってくれる採用担当者に心から敬意を称して備忘録とする。

おやすみなさい。


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