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妙高に滞在して感じたワーケーションの醍醐味

 小栗と申します。妙高市のワーケーションモニタープログラムに参加しています。

 三週間という短い滞在期間ながらも、妙高市のワーケーションについては多くの気づきがありました。わたしが感じたワーケーションの醍醐味や個人・団体(企業研修等)での活用方法など、思うところを以下まとめてみました。

ワーケーションは「観光」の延長なのか?

 「観光地で仕事」というフレーズを聞くだけで、「本当に仕事してるの?」といぶかしく思ってしまう気持ちも分からなくはありません。しかしここ妙高市は、いわゆる全国区で有名な観光地とは違い、観光地あり、地元民の日常生活ありの、両者が程よくバランスの取れた落ち着いた場所だと感じます。

 そうした観光地や景勝地でリフレッシュするもよし、終日、妙高ワーケーションセンターがある「ハートランド妙高」や、滞在型市民農園「クラインガルテン妙高」にこもって仕事をするもよし、どちらのライフスタイルを選んでも全然あり、という、自由があるのがいいなと思いました。

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 たとえば「観光地でビジネス研修」みたいなケースでは、「仕事が主」とは言いつつも、やはりご当地のさまざまな誘惑に負けてしまったり(笑)会議や研修はするけれども、それは1日のうちの数時間だけ、といったケースになることが往々にしてあるのではないでしょうか?

 折角来たのだから「遊ばなきゃ」「楽しまなきゃ」みたいな変な誘惑やプレッシャーがあって「集中して仕事だけして帰りたい」と思っている人には、逆に煩わしくなってしまうかなと思います。

 ですが、そうした妙なプレッシャーがないのも、妙高でのワーケーションのいいところだと思います。

 1日缶詰で仕事していても全然OK。そうかと思えば、午前遊んで午後仕事、その逆もあったり。また、それが曜日や天候なんかで自由に変えられたり。そして、帰ってきたらまた仕事に戻る……という形で、常に「日常生活にフィードバックされる」「整えられて日常に戻ってくる」というワークライフを送れるのがとてもいいですね。

 もっとも、こうしたワークスタイルは、「アウトプットをきちんと出す」ということが大前提にはなりますが、そんな心配の必要もなく、十分集中して成果を出せる環境にあります。

 わたしも動画制作で日々の美しい風景などを取る中で心が和み、またインスピレーションもさまざまに湧いてきます。クリエイターの方などには最高の環境なのではないかなと思います。

「午前中は雪山、お昼は自宅、午後から仕事」という1日

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 たとえば「午前中にスキー場で軽く滑り、自宅で昼食、午後から仕事」というルーティーンを想定して、果たしてこんな働き方が可能なのかどうか試してみようと思いました。

 妙高市は赤倉地区、池の平地区などスキー場エリアが多々あり、スキー場はクラインガルテン妙高から車で30分程度の場所にあります。都内で仕事帰りにジムに通うのとほぼ同じ感覚で行くことができ、便利です。

 1日のスケジュールは、午前中の3時間程度をスキー場で過ごし、お昼は滞在先のクラインガルテン妙高でとり、午後からハートランド妙高で仕事……としてみましたが、仕事にはまったく支障がありませんでした。むしろ午前中に白銀の世界で戯れたことが大きな刺激となり、午後の仕事も新鮮な気持ちで取り組めたのはとても良かったかなと思います。

 スキー好きの方なら毎日でも通えて、モチベーションを維持できる最強のルーティーンを確立できるのではないでしょうか! ウィンタースポーツ好きの方は、ぜひチャレンジして見てください!

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 仕事のやり方として、「日中や平日はきっちり仕事をして、夕方以降や休日はオフ」という働き方が好きな方もいらっしゃると思いますが、わたしの場合は、夕方以降や休日も「オン」にしておきたいタイプです。妙高へ「観光」で来訪した場合を想定すると、朝早くからスキー場に移動、9時くらいからお昼を挟んで夕方くらいまでエンジョイし、帰りにちょっと市内の繁華街まで足を伸ばして夕食、そして帰宅、といったパターンになるかと思います。

 ですが、観光の場合「完全オフの日」となってしまい、仕事が中断されてしまいます。せっかく仕事に集中したいのに、遊びで1日取られてしまうのは、わたしにとっては少し勿体ない、と感じます。

 それよりも、午前に仕事、午後3時間くらい外で気分転換、そして夕方から19時、20時ころまで自宅で業務、といったルーティーンを確立できれば、わたしにとっては最強です。こんなことはおそらくここでしかなし得ない働き方のはずです。

 こうしたシフトに、妙高市が2021年1月~3月まで実証実験を行っているモバイルワークステーションを組み合わせれば、時間・場所問わず自由に仕事のスケジューリングが可能なはず。そのあたりの自由な感じも体験していただけるといいのかなと思います。

「どこでもオフィス」のモバイルワークステーション

 クラインガルテンやハートランドだけで仕事をするは勿体ない、冬の晴れ間でも夏場でも、天気が許せば日の光を浴びながら仕事したい、なんて方もいらっしゃるのではないのでしょうか?

 また普段のオフィスとはまったく異なる環境で、良質のアウトプットを出したい、と思って妙高市にいらっしゃる方もいるかもしれません。

 モバイルワークステーションは、四駆の軽トラックに小型のレンタルオフィスが乗っかっているような形の、その名の通り「移動できるレンタルオフィス」です。

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 レンタルオフィスは、たとえば都内でも、新宿駅など大きな駅でワンボックスタイプの固定型オフィスをご覧になられた方もいらっしゃると思います。

 また、カラオケボックスやビジネスホテルがレンタルオフィスの時間貸しサービスを行っているケースもあったり、さまざまな形で「自社以外での、自分だけの仕事空間」に対するニーズが高まっているように感じます。

 妙高市が提供しているモバイルワークステーションは、まさにそうしたレンタルオフィスにエンジンとタイヤをくっつけた、それこそ「どこでもオフィス」な訳です。

 せっかく妙高市という素晴らしい土地に来たのだから、滞在先のクラインガルテンととワークスペースがあるハートランドの往復だけではもったいないなと思う方もいらっしゃるかもしれません。また、冬季は日照時間が大変短く、そのため晴れ間は非常に貴重で、なおさら外に出て日の光を浴びたいという欲求も大きいかもしれません。

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 そうした方にはまさにこの「どこでもオフィス」としてのモバイルワークステーションを利用することで、モチベーションを高めたい、仕事の効率を上げたい、という目的で活用することも非常に良いと思います。

個人×ワーケーション=∞(無限大)

 妙高市はいわゆる「ザ・観光地」という感じではなく、むしろ観光と日常、自然とがとてもよいバランスを保った、落ち着いた場所だと感じています。わたしもそうなのですが、フリーランスの方であれば、1日をどこで過ごすかが自由にセッティングできます。
 
 スキー場や景勝地、もしくは市内のジムなどでリフレッシュするもよし、終日クラインガルテンやハートランドにこもって仕事をするもよし。どちらのライフスタイルを選んでもよいという「自由」があるのがいいなと思いました。

 有名な観光地に来ると「遊ばなきゃ」「楽しまなきゃ」みたいな変な誘惑やプレッシャーがあって、集中して仕事をして帰りたい、と思っている人には逆に煩わしくなってしまうかなと思いますが、妙高市にはそうしたプレッシャーがないことが逆にいいのかなと思います。

 わたしも実際に試してみたのですが、午前中はレクリエーションを挟んで午後から仕事をしたり、その逆も可能であったり、曜日や天候なんかでそのルーティーンをさまざまに組み替えることもできる。個人利用だとそうした融通を利かせやすいので、フリーランスの方にはぜひおすすめしたいと思います。

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 また、職・住・遊がとても近いため、仕事にも遊びにも時間のロスが少ないのはとても助かります。お昼ご飯を自宅で取れたり、午前中/午後だけ気分転換する、といったワークスタイルが自由に組み立てられます。スキー場や施設は車で30分も行けば十分、好きな人は毎日でも利用してしまうでしょうね(笑) 

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 自然がすぐそこにあるので「1日レジャー」にはならないところが魅力でもあります。気分転換をしつつも、仕事へのフィードバックを求めている方などにとっては、オン/オフのスイッチをいちいち切り替えずに仕事に戻れる環境が整っています。

 そういう意味では、「個人ワーケーション向き」なのかなという気がしますが、もちろん企業や団体での参加も十分にワーケーションを活用できるのではないかと思います。

 ここからは、企業利用のお話をしたいと思います。

企業単位でのワーケーション利用の可能性

 一般的に企業研修、スキル研修というと自社の、もしくは別途会議室を借りるなどして、基本的には室内で、PCやプロジェクターのモニターを見ながら、そしてグループワークでホワイトボードに付箋を大量に張り付けたりしながら最後にまとめで1日終了、といった光景が一般的です。

 ですが、団体利用ならではの研修活動、教育プログラム等を通じた、チームとしての学びや気づきの場もあるのではないかと考えています。

■体験型/関与型アクティビティの可能性

 たとえば、身近にある大自然を活かした自由研究だったり、また大自然の中で思いっきり動き回ったり、地元の方との交流を通じて新入社員に課題を考えさせるようなプログラムを組んでもよいかな、と思いました。冬季であればスノーシュー体験、夏季であれば夏山のトレッキングなど体験型のアクティビティを通じた、一味違ったスキル研修も可能かなと思います。

 そう考えたきっかけの1つは、わたしが参加した雪原スノーシュー体験でした。妙高市・池の平地区で行われているスノーシュー体験会では、地元ガイドの方から地元の山林の生態についての興味深い話を沢山伺うことができました。

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 そうした地元の方のお話を伺う中で次第に、地元が困っていること、地域住民の高齢化・過疎化等の理由で手つかずになっている課題が山積していることにも気付きます。そこから思うことの一例として、自社のサービスを使ったソリューションの提案を考えさせるなど、課題解決型の研修を組んでみてもよいのでは、と思いました。

 これも一例ですが、コンサルティングファームの新人研修で、実際に妙高市に提案させるところまでを目的としたコンサル研修なんかすごく面白いんじゃないですかね。お互いにとってメリットがありますし、たくさんお金を稼いでいる外資系企業やコンサルファームなんかが、地域貢献の取り組みの一環として継続的に取り組んでもいいでしょうし。

■自己啓発型アクティビティの可能性

 また、前出のモバイルワークステーションを社員に貸し与えて、あえて自然の中(住居や職場の外)で働かせるように仕向けてみるのも一つの手だと思いました。個人の利用の足としてのモバイルワークステーションを、「これからの働き方を考えさせるきっかけ」として使うやり方です。

「どこでもオフィス」のモバイルワークステーション①

 オフィス付きの軽トラを一日貸与されて「どこで仕事してもいいよ」と言われたら、あなたはどうしますか? 普段はオフィスの決まった席で働くのが当たり前と思っている方には、いい意味でカルチャーショックを受けるのではないでしょうか?

 車を貸与された社員がその日1日をどこで、どう過ごそうかと自ずと考えますし、みなが同じ場所で仕事をすることはまずあり得ませんね。あまり遠くに行かなければ、市内のどこで働いてもいいという、いわば究極のフリーアドレス制です。

 こうしたいわば「頭の体操」をきっかけとして、社員一人一人が「どこで仕事をしたいか」「どこで仕事をしたらもっとも効率が良いか」を考えるチャンスにもなるでしょう。

 こうした取り組みは、ひいてはワーケーション終了後に自社の職場環境改善への意識が高まるきっかけにもなるのでは、と考えています。

 社員一人一人が「時間」「場所」についての自分の適性を見つめなおすきっかけになれば、昨今の社会テーマや課題にもなっているワークスタイルやメンタルヘルス改善に自発的に向き合うのきっかけにもなり、ひいては会社全体の生産性の向上につながるのではないかと思います。

 自己啓発型、とは多少大げさな書き方ではありますが、要は大自然の中で仕事や自分自身とじっくり向き合う時間を確実が創意工夫してつくる、という点でも大いに意義のあることかなと思います。

ワーケーションはもはや「観光」ではない

 冒頭の繰り返しになってしまいますが、妙高市はいわゆる「ザ・観光地」ではありません。軽井沢のように駅前に大きなショッピングモールがあったり、町全体で何かを宣伝・アピールという感じの自治体ではありません。

 もちろんスキー場や温泉はあり、宿場町のようになっている区域もありますが、だからといって観光を「しなければならない」という変なプレッシャーもありません。

 こうした妙高市の特性が、程よく仕事・程よく気分転換(レクリエーション)という絶妙なバランスをもたらしてくれていると日々感じます。

 あくまで主体は仕事であり、その仕事を個々人がいかにモチベーションを維持し、集中して取り組んでもらえるか、という手段として妙高市の大自然がある、と捉えたほうがいいでしょう。

 そのため、観光といった完全にオフな日があって仕事(オンの頭)が中断されてしまうわけではなく、あくまで仕事(オンの頭)をキープし続けるための手段としてワーケーションという働き方がある、と解釈したほうが自然なのではないかなと思います。

 これはもはや「観光」などではなく、れっきとした「仕事」なのだとお気づきいただけるかと思います。

 自宅でも、ハートランドでも、モバイルワークステーションでも、とにかく「どこでも自由に働いていい」という環境があること。

 これはすなわち「自分がどういった環境で働きたいのか」「どういった環境で働いたら業務効率やモチベーションが上がるのか」の気付きにもつながり、ワーケーションが終わってからの仕事の進め方を考え直すきっかけにもなると思います。

 ワーケーションが1つの契機となり、さまざまな働き方で成果を出せる方法が存在するのだと気づいてもらえると同時に、企業内部での多様な働き方促進のきっかけにもなるのではないかと感じています。

定期的に通うことの魅力

 また、ワンシーズンだけではなく、オールシーズンで通いたくなる魅力があると思います。夏は夏で、冬は冬でいいところがたくさんあり、ワンシーズンだけでは味わいきれないくらいたくさんの魅力があり、ワンシーズンだけで終えてしまうのは逆にもったいないなと感じます。

 いま、わたしは雪深い2月に滞在していますが、ハートランドもクラインガルテンも辺り一面雪に覆われています。この雪が融けたら周囲の自然はどれだけ美しいだろう、そんな想像をするとやはり雪解け後もまた見に来たいなという思いが素朴にあります。

 雪国の風景というのはとても印象的で美しい光景です。そしてこの一面の雪景色が、春先にはどうなっているだろう、夏の妙高山はどのような顔を見せるだろう、といったわくわく感も感じることのできる貴重な体験になると思います。

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