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システム思考と自然農 -自然菜園スクールを終えて-

 昨年、自然農の存在を知り、本を何冊か買って、借りている市民農園で実践してみるも、これでいいのかよくわからない状態で続けていたため、もうちょっと体系的に勉強しようと、今年一年、自然菜園スクールに申し込んで勉強してきました。
入門コースでしたが、入門とは思えないほどの情報量で、毎回頭がパンパン。これは本を読んだだけでは伝わらない世界でした。スクールに通ってよかった。
今回は、自然菜園入門コースから得た学びを自分なりに整理してみました。

自然農で世界のつながりを感じる

まず私がやりたいと思っている自然農はざっくり、不耕起、無肥料、無農薬で野菜を作る方法です。
では、誰が畑を耕し、肥料を与え、害虫を除去するのか。
はい、答えは、野菜(作物)や虫や微生物や草を使ってやっていきましょう、ということになります。
人は直接手を加えてるのではなく、あくまでサポートするのみ。

私がこの一年間勉強させてもらって感じたことは

相手(野菜)の気持ちになって、その環境を整備するために、その周囲(虫や微生物や雑草など)の気持ちも考えて、それぞれの気持ちに寄り添いつつ、どこまで先の未来を見据えた上で、今できる一手を打つか

ということでした。
なんかすごい言い方をしましたが、例えで言うと

  • 苗を定植するときに、畝を掘るが、掘った土を戻すときに、微生物も一緒に元の場所に戻すために、下の土は下へ、上の土は上に戻す。

  • かぼちゃのツルの位置を変えたいけど、ツルの下に根っこがあり、自分のツルで根っこを暑さから守ってたらから、ツルをどけたところに草マルチをしておく

  • モグラが来たのはミミズが増えたから。土が肥沃化して、ミミズが増えて、モグラが来て、ミミズが少なくなる。モグラが被害が出るのは順調に土が作られている証拠。

微生物の事を考えたり、根っこのことを考えたり、土作りの状況を長い目で捉えたりと、野菜づくりをしているのに、考えることは周囲のことが多かったです。

そして、最後の菜園スクールの講座で教えてもらった「夏野菜の片付け」で、片付けじゃなく来年の準備と言われた時、なんか全てがつながった気がしました。いままでやってきたことは野菜を作りながら土作りもしてきて、片付けで最後の土作りで来年につながっていく。講座の中でずっと言われてきたことで、頭ではわかっていましたが、片付けを実際に行ったときに、また来年につながるんだな、という実感が湧いてきました。
世界がつながった感じでした。

畑とともに踊るのです

世界はつながっている。こう感じた時、私はシステム思考のことが頭に浮かび上がりました。

「システムを制御したり、完全に理解したりすることはできないが、システムとともに踊ることはできるのだ!」

「世界はシステムで動く」ドネラ・H・メドウズ

このレジ袋禁止の例がまさにシステム思考っぽいお話。

レジ袋の例にあるように、何かの改善を行ったとき、想定外の事象が発生し、結果、今より悪くなる、ということがあります。でも、だからといってやったことが無駄だったわけではない。我々は学習して、次の改善へと繋げていくことができるのです。それがシステム思考の大事な部分。

自然農の野菜づくりも似たようなところがあり、いままでそこになかった野菜を人間が作為的に育てようとして、今ある状態を壊しにいっているわけです。今を変えたい時、私たちはこうしたいと思って変えるのですが、世界はそう簡単には思い通りに変わらない。そんなときにシステム思考と同じように、今を観察し、事象に対して、次の一手を試してみて、学習しながら、野菜にとってのより良い畑に仕上げていく。特に、自然農法では、生態系を作り、野菜にとっての小さな自然を作る行為なので、すごく周りを観察しないと行けない。
自然農での野菜づくりは、まさにシステム思考の実践であり、最高のシステム思考の学習素材なのです。

最後に

野菜づくりの細かなテクニックもたくさん教えてもらい、そちらに注目しがちですが、そんなテクニックに踊らされずに、畑の状態をよく観察して、野菜にとって、そして、私たちにとってよい畑のあり方を、模索していきたいと思います。テクニックとではなく、野菜とともに世界の一員として踊り続けるのです。

ちなみに、システム思考の本は、今年のはじめに読みました。環境問題が注目されている現代において、システム思考はビジネスパーソンには大事な考え方だと思っています。ビジネスパーソンが自然農に触れて、システム思考を実感できる機会を増やしたいな。そんな場所づくりしたい。

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