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質問「される」&「できる」環境作り

部活に行ったときに、よくあったやりとり。
OBなので、練習のお手伝いをしにいってるわけなのですけど、普段行っていないと何をしていいか分からなくて困ります。だから訊くんですね。

私「何かわからないことはありませんか?」
相手「ないです」(しかし練習には難儀している様子)

このパターン、とても多かったんです。
この、拒否かな?と思われるお返事、実は2パターンだと気がつきました。

パターンの分析

「ないです」、という、とりつく島もないお返事。これ実は、

①「いま私に手を出してほしくない」(集中させてほしい、距離をとりたい)
②「本人が ”分かってない状態なのを分かっていない” 」(自分はできているから何の問題もないと考えている)

…なのでは?と思ったんですね。

具体的に尋ねる

上記だとどちらのパターン化判別が難しく、手を出しかねるので、ある時期から言葉を換えてみました。

Q「何か、困っていることとか、やりづらいところとか、ここ苦手って箇所がありますか?」

質問の内容を、より具体的に、しかし幅を持たせて、実感のある言葉をいれて質問してみると。

A「あーっ…ええと。うーん。ここ、なんかうまくいかないんですけど」

って、わりとポイポイ出てくるようになりました。
「苦手なことのお手伝いをしますよ」という尋ね方をすると、敷居が低くなるのか、自分にメリットがあると判断できるのか、質問しやすくなるようです。

(距離をとりたい場合は、具体的に訊いても「ないです!」と返ってくるので、ちょっと距離をとって、でも観察はしておきます。修正点を見つけたら言うくらいの程度でOKかな。放置はしない。このパターンは今回は外します)

コミュニケーション、相手から引き出す方法の理解が、まず必要なんだなと。

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分からない、と言えない理由がある

「分からないことないですか?」と訊いたときに、「ある!分からないところあるよ!」って出せないのは。(急に訊かれて頭が真っ白になっちゃってとりあえず「ない」と出した場合を除くと)

・本人の自覚、課題の認識、等に関わる
・すぐ分からないって言えない(言ってはいけない)という感覚
・その場の空気を読んだ(つもり)
・ひっかかりの感度
・プライドの高さ=敷居の高さ

・自分はできている、というポジティブな認識

練習中に、分からないことはない、と言いきれる人、自覚がないのは、「これ以上のことが今必要だ」と思っていないということ。自己肯定力が高いポジティブな傾向があるかも。

しかしポジティブタイプに見えて、実は自己肯定力が低いネガティブ(弱みを見せたくない)タイプもいるので、見分けと取り扱いが注意。

〇 ポジティブ タイプ
課題を与えられる・発見する → 積極的に攻める。希少。

● ネガティブ タイプ
課題を与えられる・発見する → 消極的・回避しようとする。現状維持を好む。「自分まだ一年なんで~」など言い訳めいた拒絶サインを出す

(足りないものがあれば、それを伝えていかないと向上できないので、何か見つけたら積極的に言うべきです。「課題を自分で見つける力が必要だ」と言い続けるのは大事だし、時には「自分で考えるように」と突き放さねばならないときもあります)

なので、前述の、具体的な質問で「苦手に思うところはないか?」→「ない」、という返答には、私は「そうかー!じゃぁ次の発表、楽しみにしてるね♪」と言っていました。
とたんに、顔が曇るのですよね…w
ネガタイプは、人前で評される時に低い評価は受けたくない、という気持ちはあるので、そこを突くのがポイントです。
再度質問したら大体「ないです」とはなりにくいので、あとは通常ルートで本人のステップアップへ移行できると思います。

・すぐ「分からない」って言ってはいけない気がする

優等生で、”何でも一人でできる・頑張れる”スキルを伸ばし褒められてきた人ほど、即「わかりません」って言えない感じ。

ここは環境から改善した方がいいのかなぁ。

・分からないって言ってもいい
・知らないことを人に聞くのも恥ずかしいことじゃない
・他人の力を借りて効率よくレベルアップ=ずるくない

上級生にガンガン訊く人がいてくれると、下級生も「訊けばいいのか」となってくれるので、そういうときは楽なんですけどね。w
訊いていいんだよ!っていう環境を作るために、OB側でできることは、質問が出る → 「いい質問だね!」。これかも。
まずは、訊くことができた、というところから褒めていくと、だんだんと「何でも訊いていいんだー!」という空気ができてくるので、お互いの緊張感がほぐれていきます。

私はほめ上手ではないので、上記に加えて、どんな質問が出ても慌てない・動揺しない、と思ってました。いや動揺しやすいので余計なんですけど。
どんなことでも答えられるようにしておきたかったという見栄もありましたから、曲の予習は欠かせなかったです;

・その場の空気を読んだ(つもり)

これ、違うケースだけど、何か指示されたときにすぐ「分かりました!」と答えるけど実は全然指示通りにできない人が実はイコールでは。
反射で言葉を出す人は以外といます。
その場の空気を読む=乱したくない、波風が立つようなことはよくない、面倒なことはやり過ごそう、というパターン。
あと、人に迷惑をかけるのはダメ、頼ったらダメ、という感覚の人もいるかも。

これも前述のとおり、「質問を出すことがいいことだ」という空気にすれば、必然なくなっていきますので、まずそこかな。

・ひっかかりの感度

あとは、自分の中の”ひっかかり”に対しての感度がどれだけあるか、その一点のみ。

仕事してて必ずあるのが「あれ?と思った時点で訊け」ということ。
困ったときの対処法は、たいていの場合、他の人がすでに経験済み・把握済みなので、自分の未経験のことについて考える時間は省きましょう。ということです。
なので、何をするにしても、「ん?」と思ったら、訊く。速攻質問・速攻解決。ダメならその後で調べればいい。これ仕事のできる人のキモでもあります。

感度の低い人は、”ひっかかり”に無自覚なので、質問すらできないわけですが、そこは訓練次第かな。瞬発力はなくとも、なんか上手くいかないと思ったら誰かに頼る、というのを繰り返していけば、慣れで訊けるようになります。たぶん。

・プライドの高さ

ここはわりと、長く時間がかかる。下の子の「OBだからって上から目線でものを言わないでほしい」という反発も、ちょっとここに関わるのかな。

他の人のやり方を見ていて、自分がしていない方法をとっていることに気がつきました。それは。
「努力を褒める」。結果につながらない努力をしていても、「大変だったでしょう」「頑張ったね」「すごいすごい」と、褒める。
…結果が出ていない以上、その努力は方向性が間違っていたのでは?と、私なら思ってしまうところですが。
そういうやり方で、すんなり馴染んでいった人を見て、あぁコミュニケーションとしてはそれも一つのいい方法なんだろうな、と思いました。

相手のプライドの高さというものは、多分、変えられないので、こちらがうまく回避していかなくてはならないんだと思います。
言い方、言葉選びの一つでもそうだけど。
本人のしてほしいことが何かを知れば、そこを手がかりに進んでいくことができるかな。まぁ誰でも、私でも、頑張ってるときに褒められたら嬉しい。褒める基準は、ゆるくっても全然いいんだと思います。
私がただそこをできなかったというだけで。(だからダメOBなんですよ)

(私の場合は、よい音だったり、無駄のない動きだったり、とにかく自分のいいなと思ったときにそこを褒めるようにしていました。
頑張って嘘を言う必要はないと思ってたので。笑
あと、思ってもないことは言わないのを分かってくれてたのか、そういうときは少し喜んでくれたのは、ちょっと嬉しかったかな。)

どういう形のコミュニケーションを相手が望んでいるか、そこを頭に入れることも必要かも。

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*「それは何ですか?」って気軽に訊ける相手になろう

話は変わります。

気軽に質問できないとどういうことになるかの一例(実話)をあげてみます。すごく極端なパターンに遭遇したことがありまして。

下の子と話をしていたときに、いきなり「知らない言葉使わないでください!」ってキレられたことがありました。
音楽用語、楽語だったかと思うのですが、とにかく専門用語的な単語を使って話を進めたら、「それは何ですか」と訊けずに、もやもやが爆発してしまったようなのです。

まぁ私もダメなOBなので「知らないんだったら訊けばいいし学生なら自分で調べるくらいしたら?」とか返したんで黙っちゃいましたしそこで関係が終了しましたよね(その後見かけなくなった)

このケースを思い返して、質問しやすい雰囲気ではなかったのかなぁということと、年齢差もあったかと。
自分が学生の時に来てくれたOB・卒業生って、すごい大人のひと(でも26歳くらいだったけど)に見えて、めちゃくちゃ怖かった(相対する自分が自信がなさすぎて)、という記憶があります。
でもなんでキレてくんねんんんー!という気持ち。もう少し優しくしたらよかったのかなぁという気持ちも少し。(ごめん)

信頼を何で築くか

年齢差がある場合、そこを埋めるのは、優しい接し方とか、フランクな態度とかかなとも思うのですが。
受け止め方の誠実性、というのも、あるかなぁ。私はあまり優しく接するのが得意ではないと思うので、誠実に、というところで頑張ってみたつもり。信頼を何で築くか。人により、得意なところで頑張る方が、楽かもと思います。

気軽に訊ける相手になるのは、難しいですが、頑張っていけば、訊いていい相手であるという認識が芋ヅル式に広がっていくから、頑張ろう…。

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安心して~することができる環境作り

質問スキルを育てるの大事。
その他のスキルを育てるためにも、環境作りとして「安心して~できる」という点は大事かなぁ。

失敗もそうです。安心&安全に失敗できる環境があれば、チャレンジもトライアンドエラーも、積極的にできるようになりますから。

安心して~できる環境、大事。

まとめ。
ハードルを低くする工夫の一つとして、引き出すときは「内容を具体的に」。
あと出てきたどんな質問も、「いい質問だね!」くらいのクッション性で受ける。そして褒める(超重要)。

ここらへん、できたらなぁと思います。

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リンク:”質問が出ないのは話し手の責任が8割”

追記。こういうのも関連するかもなので、一応貼っときます。

「基本、話す側には、「聞き手が何を知らないか」が分かりません。」
「それを埋める為には、聞き手に「何を知らないか」「何が分からなかったか」を表明してもらう必要があります。」
”質問が出ないのは話し手の責任が8割”

もっと早く知っておきたかったよ?という記事です。よかったら読んで。

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