あなたは恵まれているから

「あなたは周りの人に恵まれているんだから、感謝しなさいよ」

生前、母が事あるごとに言っていた言葉です。

当時は、ただなんとなくその言葉を聞いて、
「はいはい」と答えるぐらい。

深い意味なんて考えたことがありませんでした。

むしろ母子家庭で育ったことで
周りとのギャップを感じる度に

「なんで私ばっかり」

と、思うことの方が多かった気がします。

恵まれているということの本質を知るには、まだまだ世の中を知らなさすぎたのです。

*例によって伝えたいことは最後の見出しに集約しています。
その他の見出しは「あーうちの母さすがすぎるわ」っていう想いを伝えたかっただけ。笑
良かったら前半部分も読んでみて下さい◎

母の人徳

別の記事でも述べましたが、母は私が高校3年の頃に他界しました。

日に日に弱っていたことは、母のいちばん近くにいた私だからこそわかっていたことですが、周りから見れば急逝です。

当然、地元にいる母の知人は驚きを隠せないまま葬儀に訪れます。

母の名前を呼び泣き崩れる人、
私たち姉妹を気遣ってくれる人、
どの感情も忘れてしまったかのように、ただただ手を合わせる人

本当に沢山の人が来てくれました。

そんな中、ふと、昔のことを思い出します。

そういえばこの人、小さい頃に海で遊んでくれたんだっけ。
この人は、よくキャンプや釣りに連れて行ってくれた人だ。
あ、この人からはよく、野菜やご飯をもらったっけな。

母の同級生や、友人、前の職場の方や、学校のママ友。

色んな方が、私と姉をずっと気にかけてくれていたことに気がつきます。


シングルマザーでも寂しくないように、
色んな所に連れて行ってくれて、
何かあったら気にかけてくれて、
幼い私たちと友だちのようにお喋りしてくれた。

母の、人徳を表していました。

母は、よく笑う人でした。
人前では悲しい顔をしませんでした。
困っている人には手を差し伸べる人でした。

だからこそ、母の娘である私たちにも、周りの人は愛を注いでくれたのだと思います。

「わたし、周りの人に恵まれているんだ」

ふと、言葉が出ました。

生前、母が言っていたように。

恵まれているということ

それから暫くは、自分がいかに恵まれているのかということを実感する日々でした。

困ったら助けてくれる人がいて

相談したら知恵を貸してくれる人がいて

遊んでくれる友だちがいて

好いてくれる後輩がいて

優しくしてくれる先輩がいて

一緒に頑張ってくれる仲間がいて

私の意思を尊重してくれる親戚がいて

そして何より、
離婚してからもずっと私たちを愛してくれている父親がいました。

養育費がどうとか、高校までのことはもう、私が知るべきことではありません。
少なくとも大学の入学金は工面してくれて、
地元に帰ればご馳走してくれて、小遣いをくれました。

父親でいることを、辞めないでいてくれたのです。

きっと普通に過ごしていたら、そんなことも当たり前だと思っていたのかもしれません。

「周りの人に恵まれているんだから、感謝しなさい」

この言葉のお陰で、目の前の幸せに気づくことができたのです。

魔法のことば

「あなたは周りの人に恵まれているんだから、感謝しなさい」

呪文のように、母が何度も何度も言っていた言葉。

私を幸せにするために母がくれた、

魔法のことばです。

母は、知っていたのでしょうか

目の前の幸せに気づくことが、
人としてどれだけ大切なことか

気を抜いたら当たり前だと思ってしまう日常に、
幸せだなぁと感謝することが

どれだけ人生を豊かにするか


いつも傍にいる人の愛が、どれだけ私を幸せにしてくれているのか

知っていて、教えてくれていたのでしょうか。

魔法のように、何度も、何度も。

長い年月をかけて、わたしに教えてくれたこと。

「周りの人に恵まれているんだから、感謝しなさい」

そんな大事なことを、長い間ずっと伝え続けてくれた母。

そんな母のもとに生まれたことが

何よりも恵まれたことだったのだと、改めて思います。

おわり*

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