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『海底2万マイル』KENTAの映像感想館

1954年の映画
監督:リチャード・フライシャー
時間:2時間7分


ただただネモ船長という1人の男に魅せられる作品



原作はネモ船長の天才的な発明の数々やノーチラス号の魅力についての説明があったけど、映画には時間制限があるのでそれらを省いてネモ船長という一人の人間にフォーカスしたのはとてもいい取り組みだと思った。

ノーチラス号にたどり着いた後、アロナックス教授の人間性を試すという原作にはおそらくなかった描写を付け足し、現実社会と離別したネモ船長の異常さがよく現れていた気がする。


彼の強い憎しみの心や、憎き者を容赦なく殺す非道さ、妻や娘を殺された人間的な孤独と天才すぎるが故の知識的な孤独。
そして、上記のようなマイナスの感情を踏まえた上での、未来に対する希望や願い。


天才で,現実世界と離別こそしたものの、登場人物の中で誰よりも人間味があって最高だった。

彼が希望こそ持ったものの、正しさによって自分の天才的な発明が活用される瞬間を目にすることなく、孤独のままノーチラス号やバルケニア島と共に海底に沈んでいくのは残念でならなかった。


アロナックス教授がその光景を見つめていた時放った『これでよかった』という言葉はネモ船長の知識をまだ世の中に放つことはできない状況を指したのか、それとも今後ネモ船長に代わる天才が世の中を変えていくことを期待したセリフか、自分が世界を変えるという決意か。

彼のみぞ知るところである。
バッドエンドというべきかハッピーエンドというべきか。


詳細な部分は原作と、『神秘の島』で探ってみることにしよう。

おまけ、コンセイユってあんなキャラだっけ?

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