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「トムとジェリー」ネタバレあらすじ感想


0,基本情報

日米共に2021年公開となった人気アニメの劇場版。監督は「ファンタスティック・フォー」シリーズのティム・ストーリーが、ディズニー映画の「ボルト」で声優として参加したクロエ・グレース・モレッツや「アントマン」シリーズのマイケル・ペーニャ、「デッドプール2」でブレイクしたロブ・ディレイニーらが参加している。上映時間は1時間41分となっている。Filmarks内評価は5点中3,5点となっており、Rotten Tomatoes内評価は批評家支持が25%、オーディエンス支持が83%となっている。



1,予告編


2,ネタバレあらすじ


3,感想(さらに詳細なネタバレ有)※酷評

トムとジェリー、この2匹に対する確かな愛着がないと良い気分での鑑賞は難しいだろう。


なぜならこの映画のタイトルは「トムとジェリー」ではなく「ケイラ with トムとジェリー」なのだ。ケイラという人生くすぶっている少女が経歴を詐称してホテルの臨時スタッフとなってからはトムとジェリーの喧嘩追跡劇はあくまで本筋の物語の”おまけ”くらいの意味しか持たない。ジェリーがケイラの働くホテルに入ったことも、おまけでしかない追跡劇を無理矢理本筋に魅せるためのこじつけのようにしか思えない。登場時間を詳しく数えてはいないが、おそらくケイラが登場する時間の方が長いだろう。また、今作トムとジェリー自身で行動を起こしたといえばお決まりの追跡劇と最後だけで、それ以外は人間に利用されただけなので本作からはキャラクター的な魅力が全く湧き出ず、昔からトムとジェリーの作品を見てかつ2匹に相当な愛着がないと鑑賞自体しんどいのだ。本筋のウェディングパーティーを邪魔して台無しにできるタイミングでしか入ってこず、全てのパートですごい規模で破壊する。その後、悪い出来事や口論、なんとなく悪い雰囲気が流れるもんだから不快感しか湧かない。トムとジェリー、他の動物との喧嘩という小さい規模で喧嘩していれば普通に「楽しそう/面白おかしい」で終わるものが、不快しか沸かないものになっていた。どこか憎めない?愛着が湧くだって?わかないよこの作品からは。


本筋の物語も物語だ。キャラや展開に深みが全くない。例えばケイラは同じ歳位の子が活躍して自分の存在の小ささからの脱却や人生一発逆転をかけて経歴を詐称してホテルマンになった。その本心を打ち明け反省やらやり直しやらを図るかと思ったらトムとジェリーが結婚式のやり直しを提案したことで邪魔され、自分自身の力の証明は「子ども向けの映画」という商業的な理由?に邪魔され、目の敵にしていたトムとジェリーのおかげでホテルマンのチャンスを得た。テレンスはなんかうさんくさいケイラにパーティーマネージャーの座を奪われた仕返しにトムとジェリーを利用してパーティーをぶち壊そうとするが、そのせいで大切なお客様である新郎新婦のパーティーはぶち壊され、破局の危機に陥ってしまった。だが、その反省よりもトムを追い出すことに躍起になり、普通にホテルマンとして復帰した。支配人も失敗を起こしても何故かケイラに優しく、新婦が結婚式や夫婦の在り方について悩んでいてもそれもトムとジェリーがやり直しの結婚式へと誘ったせいで深掘りされることなく勝手に完結。全ての登場人物の物語に区切りをつけるとそれもそれで渋滞してしまうので良くないが、この作品は深掘りできそうな意味深セリフは残すくせに完結はさせず散らかったままで気がついたら物語が終わるものだからもっとたちが悪い。物語は「子ども向けだから」というメタ的な理由で一本のしっかり筋の通ったストーリーラインもキャラクターの深掘りも全てトムとジェリーに奪われてしまった。言い換えよう、本筋の物語を進めるにあたって、トムとジェリーが邪魔でしかないように感じてしまうのだ。


トムとジェリーは自分で仲良くなるわけではなく、他のキャラも様々な葛藤の中で成長するわけでもなく、無理矢理ハッピーエンドに持って行かれた。子ども以外は正直みてもあんまり楽しめない作品だ。


ただ一言、実写化にトゥーンの映像しか面白くないからアニメの世界に留まっていてくれ。君らは映画に向いてない。


画像元:映画「トムとジェリー」公式

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