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ACPの重要性 実体験から学んだこと②

ACPってなに?って方もいると思うので、あらためて。

advanced care planning の略で、

人生の最後にどんな治療やケアを受けたいか、受けたくないかを事前に話し合っておくプロセスのことです。

という訳で、本題。

前回に引き続き、実体験に基づいて学んだこと。

結論からいいますと、

医療者側は、事前にいろいろな選択肢を提示することが重要。


このことを痛感した体験談が、

私の大切な家族だったペットのウサギのお話です。

(ペットは動物だよね?人間の家族とはちがうだろー!と思う方、わかります。

私も彼女を飼うまではそうでしたから‥。)

私がまだ一人暮らしをしていた学生の時から約6年、1羽のメスのウサギを飼ってました。

医学生の時に飼い始めたのは理由があるのですが、今回はそれは置いておいて。

特に病気もせず彼女が6歳位にになり、私は医師4年目になった頃。

(ちなみにウサギの寿命は早ければ6歳くらいとされているようです)

その頃私は毎週2日3日続けて当直していて、

その分まとめてウサギのご飯を置いて放っておいても何とか元気に過ごしていたの、

それが当たり前になっていました。

ある当直明けの日、家に着くと2日前に置いたエサがまるまる残っていました。

2日間、食べていなかったのです。

異常事態と思って、その後動物病院に連れて行きました。

診断は、毛球症。

自分の毛を舐めた時に飲み込んだものが、胃の中で毛玉のように大きくなるという病気でした。

そして、

2、3日中に亡くなる可能性が高いでしょう、

と言われました。

その時、皮下注射をしてもらったように思いますが、

入院という選択肢は提示されず、

帰ってきてからしばらく呆然としていました。

家族が突然、2、3日中に亡くなると言われたのですから。

そんなの絶対に嫌だと思った私は、

別の動物病院を探して連れて行きました。

そこでは、最初の所より丁寧に見てくれたと記憶しています。

(ちなみに私はその頃、ウサギを使った動物実験をしていて、

麻酔をかけて開胸したり腎臓を露出したりしていたので、

麻酔して胃を開けてその毛球をとってくれーと思っていましたが、

手術はリスクだからやらないとどちらの病院でも言われました。

獣医の資格を持っていないけれど、私にやらせてくれと思っていました。)

その後彼女は2、3日中に亡くなる事はなかったのですが、通院で良くならず、

私は一人暮らしだったので、

誰も一緒にいない時に天国に行ってしまうのは悲しいと思い、

入院することにしました。

その時の主治医の先生は、少し気が弱そうで頼りないところもありましたが、

優しくていい先生でした。

けれども入院後しばらくしてから、

やはり食事を食べられないためか、

私に説明もなしに彼女は鼻に管を入れられていました。

経鼻胃管です。

その時の私はそんなものかと思いましたが、

動物病院のオリの中で鼻管を入れられている彼女は、とても痛々しかったです。

そうして間もなく、彼女は天国に行ってしまいました。


主治医の先生には本当によくみていただいたと思っています。

ただ1点、私に説明なしで鼻管を入れられた事は引っかかりました。

命とお金は天秤にかけられないとは思いますが、

その後20万円ほど治療費の請求が来たので、びっくりしました。

私が保険に入っていなかったのもありますが、

結果的に亡くなったのに、20万円は高いなと思いました。

もし仮に、鼻管を入れていなかったら。

結果的に亡くなるなら、そんなに色々としてくれなくてもよかったとも思いました。


そこで、最初に提示した、重要なこと。

事前にいろいろな選択肢を提示すること。


鼻管を入れるという選択肢、入れないという選択肢。

どちらもあっていいと思います。

結果的に亡くなるような状態なら、

いわゆる延命治療です。

亡くなるまでの時間を数日延ばすか延ばさないかの違いです。

その選択肢を提示された時、どちらを選んだか私は正直わかりませんが、

たとえ管を入れることになっても、

私がそう選択したならば、治療費が高くても納得できたかもしれません。

要は、

プロセス、過程、その結論にたどり着くまでの道のりが大切。

ということです。

人間のACPにも通じるところがありますよね!


ということで。

長文をここまで読んでくださった方、

どうもありがとうございます!!

彼女が今でも天国で幸せに、鼻管入れられて辛かった事はもう忘れて、幸せに暮らしていますように✨

これから人生の終わりを迎える人達が、

できるだけ納得して悔いなく人生を締めくくることができますように✨

と祈るばかりです‥



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