№90【2分で読める】日々の暮らしにクスっとエッセイ『ある日の私の日記』

ある日の私の日記。

今日、おしりふきを買いに行ったら店頭のポスターに「このアプリをダウンロードして、レジで見せてください。500円引きになります」と書いてあった。なんてステキな申し出なんでしょう。今日は平日で、お客さんはかくれんぼでもしているのかと思うほど、まったくいない。私もスマホでアプリを入れるのも慣れてきたし、近くにあった椅子に座って作業できる。モチロンやるに決まってる。500円だよ？
チョチョイとスマホを操作したあと、買いたい商品をもってレジで
「このポスターに書かれている500円引きになりますか？」
って念押しもした。
するとレジのお姉さんが、ちょっと困った顔をしてこう言った。
「あの～このアプリの他に、当店のアプリもお持ちですか？」
うそーん。まさかのアプリをダブルで入れるっていう罠？　やる気がググっと半分になった。返事を戸惑っていると、レジのお姉さんがこう言い出した。
「当店のカードをお持ちでしたら、すぐに移行できますよ？」
すぐ？　レジのお姉さん美人だから仕方なく、そうすることにした。

思ったよりも時間かかったけれど、約束通り500円引きになった。ひゃっほ～。さらに素直に話を聞いていたからか、5パーセントクーポンがあるとも教えてくれた。お陰でおやつが１つ余分に買える。満足満足。

でも、一つだけどうしても気になったのでレジのお姉さんにこう訊いた。
「今日、登録させてもらった最初の方のアプリ、今の流れだと、全然関係ないですよね？　本当は、それがなくても500円引きと5パーセントオフになった気がするんですけど」
もう貰えるものはしっかり貰った。そして今さら値引き、できませんなんて言われない状況でこの質問。
お姉さんはどぎまぎしながら、小さい声でこう返事をくれた。
「実はそのアプリ、この辺りではサービス外なんですよね。もし邪魔だったら消しちゃってくださいね」

レジのお姉さんと私、微笑み合ったまま、うなずきあった。
これ完全にnoteのネタだなーとホクホクしながら家に帰った。まる。