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Cheap Trick 『In Color』

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🎧 Cheap Trick 『In Color』

2016年にロックの殿堂入りしたアメリカのロックバンド。洋楽を聴き始めて初めての推しバンドだった。

出会い

初めて聴いたのはこのアルバムではなく2年後の1979年にリリースされた『Dream Police』で、そこから大ファンになって過去のアルバムを買った。
Cheap Trickを初めて聴いたのは1979年末のNHK-FMの番組、「Dream Police」という曲を聴いてそのポップなメロディーとハードサウンドに魅了され、翌日レコードを買いに行って聴きまくった。

派閥

80年代前半、幼かった私の周りではいくつかの派閥があった。KissやVan Halenなどのハードロック派、The KnackやTOTOなどハヤリ志向のこだわりナシ派、Japanなどのビジュアル派(主に女子)、Cheap TrickやQueenなどメロディアス正統ロック派、私は正当ロック派だった。まあ今考えてもめちゃくちゃな派閥だが、学校帰りや友達の家でどうでもイイことで口論するのが楽しかった。Kissは音楽じゃなくてメイクで売れてるゲテモノバンドだと言えば、Cheap Trickはアイドル志向のミーハーバンドだと返す、Japan派女子がなにか言おうとすると「おまえはだまっとけ」と両派から言われる。馬鹿げているが楽しかった。そしてもちろん私もVan HalenやTOTOは聴いていた。みんなそうだった。今の子供がどうかが分からないが、大派閥に属さないと生きていけなさそう時代とは違って面と向かってバンドをけなせる幸せな時代だった(ど田舎だから話す話題も少ないしね)。

スピード出世

Cheap Trickといえば彼らをスターダムに押し上げ、世界に「武道館」というホール(武道場だけど)を知らしめたライブアルバム『At Budokan』だろう。そしてその収録曲のほとんどはこのアルバムからの曲だ。なぜならリリースとレコーディングが前後しているからだ。

・ファーストアルバム『Cheap Trick』(1977年初旬リリース)
・セカンドアルバム 『In Color』(1977年末リリース)
・サードアルバム  『Heaven Tonight』(レコーディング)
・5thアルバム     『Dream Police』(レコーディング)
・日本でのライブ(1978年4月)
・サードアルバム  『Heaven Tonight』(1978年5月リリース)
・4thアルバム    『At Budokan』(1978年10月日本リリース)
・4thアルバム    『At Budokan』(1979年2月アメリカリリース)
・5thアルバム    『Dream Police』(『At Budokan』成功でリリース延期)
・5thアルバム    『Dream Police』(1979年9月リリース)

来日した時にはセカンドまでしかリリースされてなかった。
しかもデビューしてから2年で5枚のアルバムをリリースして、すでに世界的な人気バンドとなっている。

このアルバム

『At Budokan』の主要曲を聴いたあとでこのアルバムを聴くと、スタジオ版の素晴らしい出来とライブでの演奏力の高さを実感する。とくに、当時はRobin ZanderのヴォーカルとRick Neilsenのギターがメインで聴いていたがTom Petersenの重厚な8弦ベースがこのバンドの要なのがよく分かる。John Lennonの最後のアルバム『Double Fantasy』のレコーディングにも参加する程バンドの演奏力には定評があり、当時からCheapTrickはThe Beatlesの後継と言われていた。
今で言うパワーポップというジャンルになると思うが、アメリカではヘビーメタルという扱いを受ける事もある(ちなみにRobin ZanderのソロアルバムはTower RecordのHeavy Metal 1000円アルバムに入っている)。当時は今ほどガチのメタルはなくハードロックが主流だった事もあるかもしれない。このアルバムもメロディーと歌詞の優しさとヘビーなサウンドが融合したいかにも爽やかアメリカン・ロックという仕上がりになっている。

Cheap Trickはこのあと迷走が続き、全米NO.1ヒットを出して復活、そして殿堂入りすることとなるが、私としては本来のCheap Trickを堪能できるのは70年代のアルバムだけかなと思う。そういう意味では5枚全部素晴らしいがこのアルバムが70年代最強パワーポップアルバムで、Kiss、The Cars、Weezerなどが好きな方にはおすすめの1枚です。
実はこのアルバムは1997年にSteve Albini(私の大大大好きなプロデューサー、Nirvanaの『In Utelo』のプロデュースや自身のバンドShellacも最高、Nirvanaのクソアルバム『Nevermind』もSteve Albiniが作り直すべき)がSteve Albini Sessionsというプロジェクトで再レコーディングされている。ところがアルバムはリリースされていない(なんでええ!!)。これがガレージパンクのようなシャープな音でオリジナルに負けず最高の出来!!Spotifyのオリジナルアルバムと合わせてぜひ聴いてほしい。



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