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Simple Minds 『Sparkle In The Rain』

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🎧 Simple Minds『Sparkle In The Rain』

Simple Mindsと言えばご存知「Don’t You」。英語名が苦手な日本ですら「ドント・ユー」ではなく「ドンチュー」と呼ばれるほどの超有名曲だが、バンド名を聞かれて答えられる人は果たして何人いるのか。イギリスではU2、XTC、Depeche Modeと並ぶ人気バンドなんです、と言うのは言い過ぎですが今の若者でも知らない人はいないだろう。

 ニューウェーブ

80年代の「ニューウェーブ」今で言う「オルタナティヴ」は、70年代のディスコ、パンク、80年代に入りスカ、ポストパンクと来たブリティッシュシーンに常に並行して存在した。今の「オルナタティブ」もブームというより一線から外れた「僕たち他とは違いますから」もしくは「君たちカテゴリーなんなん?」音楽だが、70年代後半から80年代はそれを「ニューウェーブ」と呼んでいた。それより前は「プログレッシブ」が正しいかもしれないが、「ニューウェーブ」は「プログレッシブ」ほど難解ではなく一味違うポップロックという感じかもしれない。Simple Minds、Ultravox、XTC、Depeche Mode、Sex Pistolsの後Johnny Rottenが結成したPublic Image Ltdなど、のちの大物バンドが登場した時代だ。その中でSimple Mindsは一番大衆受けしていたかもしれない(イイ意味で)。

プロデューサー

アルバムのことを書く前に、1980年代のブリティッシュロックをこの人抜きには語れません。My Favorite Producer 「Steve lillywhite」師匠。映画監督でいう「David Fincher」師匠。師匠が作った物なら間違い無いでしょう的な。
Peter Gabriel、U2、XTC、Big Country、Siouxsie and the Banshees、the Psychedelic Fursなど名だたるブリティッシュ勢から、The Rolling Stones、Talking Heads、The Killersまでもこの人の手にかかっている(イイ意味で)。U2の初期のアルバム(特に「War」)、Big Countryのファーストアルバムに代表されるドンドコドラムサウンドが特徴で、クレジットを見なくてもこれ「Steve lillywhite」ねっ感じ。とにかくそのドンドコドンドコが洋楽好きにはたまらなくカッコイイ。ただ、この人がプロデュースすると若干スタジアムロック感が増すので、元々のファンには嫌がられるかもしれない。U2は「Steve lillywhite」→「Brian Eno」→「Steve lillywhite」で「スタジアムロックなりかけ」→「変な方向」→「スタジアムロック」となった。実際、Simple Mindsはこのアルバムに起用して一気にスケールの大きいバンドに変貌した。私はこのアルバムから聴き始めたが元々のファンはどう思っていたんだろう。ちなみにこの後のアルバム「Once Upon A Time」(プロデューサー「Jimmy Iovine」)で完全にスタジアムロックバンドとなった。

Don’t You

「Simple Mindsといえば」となったこの曲は、Jim Kerr(フロントマン、ヴォーカル)の作品ではない。この作曲家はBilly IdolとBrian Ferryに断られSimple Mindsにも断られそうになったが、PretendersのChrissie Hynde(当時Jim Kerrの奥さん)が歌うことを勧めて承諾した。運命の分かれ道だった。さすが姉さんあげまんだねえー。
ちなみにBilly Idolも「Don’t You」をリリースしている。ほんとゲスいなこいつ。YouTubeで聴いたがあの感じでドヤ感出してておぞましい出来栄えだった。

Waterfront

スコットランドのグラスゴー出身のバンド+このジャケット+「Steve lillywhite」=ドンドコドンドコならない訳が無い。「Don’t You」以外の彼らの代表曲は、このアルバムの前の「New Gold Dream」に収録された「Someone Somewhere in Summertime」(当時サントリーのCMでも使われていたらしい)と、このアルバムの「Waterfront」だ。私は「サウンドストリート」でこの曲と「Speed Your Love To Me」の12インチヴァージョンを聴き、翌日アルバムを買いに行った。Pink Floydの「One Of These Days」(プロレスラー ブッチャーのテーマ)を思わすドウツドウ・ドウツドウ・ドウツドウ・ドウツドウっと爆音ベースから、破れるんじゃないかと思わすスネアで始まるこの曲はライブでも「Don’t You」と並ぶ人気曲らしい。この曲を「Steve lillywhite」以外の誰がプロデュースできるんですかってこと!。地元グラスゴーのライブではそりゃこうなるでしょ!

ちなみに私がハマった「Speed Your Love To Me」の12インチヴァージョン。

まあアルバム全体がこの感じなのでおっさんにはお腹いっぱいになるが、今聴いてもやっぱりカッコイイ。過食気味の方には合わせて別プロデューサーの「New Gold Dream」もオススメです。

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