『推す』って事の重さと軽さについてずっと考えている。

畑は違えども、なまじステージに立った経験がある身としては、全てのアイドルさんに対して最初に抱く感情は『尊敬』の念。
本当に、すごいと思う。

自分がアイドルさんの事をなかなか呼び捨てに出来ないのも、それが一因。そうとう仲良くなった上に相手の了解を得られない限りは、無理。

年齢も年齢だしそもそもそんなお眼鏡に叶うような人間ではないので、基本ガチ恋にはならない。基本的なスタンスは『応援』と『憧れ』です。
ある意味とてもライト。
そりゃ通うグループもメンバーさんも増えるよね。だって、どのアイドルさんも頑張ってるし魅力的だから、応援したくなるし憧れるもの。

因みにこの『憧れ』は、(ああいう自分のやりたい事を実現するための努力を実際に行動に移せてる人になりたいなぁ)という気持ちです。
別にアイドルそのものになりたいわけではなく(そりゃそうだ)

で、だ。
問題は『応援』の方なんですよね。
大元の気持ちは「そのアイドルさんが楽しく活動できるように出来ることをしたい」なんですけど。
そこに
・物理的/金銭的側面
・自己顕示欲
・自己承認欲求
・ギブ&テイクの感覚
などが絡むとめんどくさい事になる。

・物理的/金銭的側面
一口に『応援』と言ってもいろんな方法がある。
とはいえ、身も蓋もない事を言えば、一番有効な応援はどれだけライブに足を運び、物販を回すか、言い換えれば『どれだけ時間とお金を使えるか』ということ。
お金がないとアイドルさんは活動出来ないんですよ。当たり前に。

ただ、全てのライブに参戦して、毎回物販で何枚もチェキ撮れるかといえば、残念ながら限度がある。
単純にお金が足りませんし、時間的にも不可能な事もある。特に自分の場合、たくさんのアイドルさんを『応援』してるので、ライブがブッキングすることも多々あるわけで。
ほんと多重影分身の術を覚えたい。切実に。

・自己顕示欲
チェキを撮ったら、チェキツイをする。
もちろんしない人もいますが、自分は割とする方です。
主な目的は3つ。
①会話の記録
②アイドルさんの宣伝
③自己アピール

正直、自分はあまり記憶力が良い方ではありません。ほんと、すぐ忘れちゃう。
なので、その日話したことを後で思い出す為の手がかりとして、カッコつけた言い方をすれば『思い出の拠り所』として、チェキツイをしてます。
これが ①会話の記録 。

②アイドルさんの宣伝について。
自分とのやり取りを読んだ誰かしらに、そのアイドルさんに興味を持ってもらえるきっかけになれば、という目的です。
(ほう、この子はこんな感じで特典会で話してくれるんだ、楽しそうだな、今度行ってみよう)ってなってくれたらいいなーって話。

これは自分が元々、乃木坂46からアイドルファンを始めた事にも影響受けてる気がします。
あの界隈の文化として、握手会/ミーグリレポというものがあります。握手会やミーグリ(ミート&グリート=オンラインでの特典会)での会話内容を文字に起こしてツイートする、というもの。
それによって、他の人に好きなメンバーの宣伝をして、会いに行ってもらおうという『応援』のやり方です。
握手会の売上が選抜入りの重要な指針になっている(と思われる)乃木坂46において、これもまた重要かつ有効な『応援』なんですよね。

その感覚が染み付いてるせいもあって、かつてはかなり詳細にやり取りを書き起こしてレポートしてました。
が、そもそもの会話時間が長い(坂道だと1枚で数秒〜10秒程度、ライブアイドルだと大体1分前後)ことや、会話が意外とプライベートな(二人だけにしか分からない)内容に及ぶ事も多い為、今は一部抜粋して載せるスタイルに落ち着いてます。

そして、③の自己アピール。
これには2つの方向があります。
1つ目は、アイドルさん本人に向けて。
今日こういうチェキを撮って、こういう会話をしたのは自分ですよ、次の機会まで覚えててくれたら嬉しいです、という気持ち。
やっぱり自分のことを覚えててくれると、嬉しいですし。

そして2つ目は、周りのファンに向けて。
言葉を選ばずに言えば、『自分はこれだけの枚数分のお金を使って、こんなに楽しくこの子と話したんだよ。凄いでしょ』という気持ちです。
いわゆるマウント、すなわち自己顕示欲。
これ自体はまぁ悪いことではないし、自然と湧いてくる気持ちだとは思います。

が、これが強くなりすぎるとめんどくさい…。
当たり前に上には上がいるんですよ。毎回ものすごい枚数特典会回してる人が。
そういう人と自分を比べてしまって、勝手に落ち込む。
ほら、めんどくさい。

・自己承認欲求
先の自己顕示欲とちょっと似てる部分はありますが、これは主にアイドルさんに向けての気持ちがメインかなぁ。

要は『自分を特別扱いして欲しい』という気持ちです。
ライブ中に明確に自分に向けてレスを送ってくれたり、特典会でアイドルさん側からこちらに関する話を振ってくれたり、配信で自分のコメント読み上げるだけじゃなくてちゃんと答えてくれたり、SNSでの書き込みに対していいねやリプをくれたり、そういう事をして欲しい、という気持ち。

いやもう、こう書くだけでめんどくささハンパないですね。
そしてこれまた、他の人と比べることが出来てしまう。
なんであの人にはやってくれて、自分にはやってくれないの!ってなると、もう泥沼です。
でもこういう気持ち、湧いてきちゃうんですよね。だってしてもらえるとめちゃくちゃ嬉しいですから。

そこで、こっち向いてもらえるようにもっと頑張ろう、となればまだマシなんですが。

・ギブ&テイクの感覚
そこにこの感覚が入ってくると、めんどくささの極みに達します。
いわゆる『自分はこんなに応援して(あげて)るのに』という気持ち。
はい、これはもうね、ダメです。
こうなった時点でアウト。

そもそもの出発点を見失ってます。
「そのアイドルさんが楽しく活動できるように出来ることをしたい」
これが大元だったはず。

応援したいって思って、応援すると決めたのは、自分なんですよ。
そこに見返りを求めるのは、なんか違くない?

それにそもそも、普通に応援してればそれに見合う見返りは既に受け取ってるはず。
そのアイドルさん、自分のことを認知してくれてるでしょ?毎回特典会で楽しく話してくれるし、SNSでの動きも見てくれてるでしょ?
何より、アイドル活動続けてくれて、ライブや特典会で楽しい時間過ごさせてくれて、次のライブを楽しみに過ごす「明日への活力」を貰えてるでしょ?
十分すぎるほど、たくさんのものを受け取ってるんですよ。
なのに、なんでそれ忘れちゃうかなぁ?

アイドルは、ファンに選んでもらって、応援してもらってる。
ファンは、アイドルを選ばせてもらって、応援させてもらってる。

その距離感を超えて『見返り』を求めるのは、少なくとも健全ではない。
そんな感覚に陥るようになってるなら、それは『推す』ではなく『依存してる』って事だとおもう。

ちゃんと『推したい』なら、その辺の事を忘れないように。
それが出来ない内は、軽々しく『推し』なんて言葉を使うな、自分。


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