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プラスαのインターネット活用術33

Medical Tribune 2000年10月5日 31ページ ©︎鈴木吉彦 医学博士

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どちらが「公式(official)」か?インターネットと紙

だれもが平等に情報入手

 これまでは,どんな公文書も紙で印刷されたものが正式な通知であり正式な告知とみなされてきました。しかし,インターネットが普及した社会では、速報性が求められる内容ほど,インターネットを利用するようになっていくでしょう。なぜならば,ホームページを利用した通知や告知のほうが,紙での告知よりも,世の中に先に出てしまうからです。そうなると,紙媒体などで公開される情報と,インターネットで公開される情報とでは,どちらを「公式(official)」とみなすべきなのかが問題となるでしょう。

 例えば,医学の分野では厚生省や学会事務局などの公的機関からの発表では,どちらが公式なのかが問われます。紙だけで公式発表していたら片手落ちと言われる時代になるかもしれません。官公庁が刊行する出版物は,特定の書店でないと入手できないことも多くあります。これに対し,インターネットならだれもがすぐに入手できます。だれもが平等に情報を受け取ることが可能な媒体で公式発表をすべき,ということであれば,インターネットは紙媒体より優先されるべきでしょう。

到達度の向上が課題

 では,ホームページで公式発表していれば十分かというと,そうとも言えません。利用者がホームページを訪問(アクセス)しなくては伝達したことにならないからです。紙は手渡しや郵送という手段によって,相手側に強制的に通知することができます。

 しかし,インターネットの場合,そうしたアラート機能をホームページに持たせることは難しいのです。ですから,緊急性がある情報を配布しなくてはならない場合,受け手側には情報を見逃してしまう恐れがあり,それも問題となるでしょう。

 インターネットで受け手側への情報の到達度を高めるためには,ホームページだけを利用するのではなく,電子メールを併用すべきでしょう。しかし,電子メールを利用した場合,情報量がすくなければ役立ちますが,すべての医学に関する情報が毎日毎日,電子メールで配信されるとしたら,膨大な量のメールが届くことになります。そのなかから、必要な情報だけを取捨選択するのは大変な作業となるでしょう。

 ですから,今後は情報の緊急性,受け手側の体制,保存や保管の必要性の高さなど,さまざまな要素を考慮し,ホームページなのか,電子メールなのか,媒体の特徴をよく考えながら適した情報媒体を選び公開していく,ということが大切でしょう。なお,MyMediproには現在,「電子メール配信を希望」と意思表示している利用者が1万5千人から2万3千人おります。これら利用者には定期的な電子メール配信を行っており,特に新薬などの告知やアンケートの募集などには,大変な効果を示しています。しかし,今後は,緊急医薬品情報などの告知などにも利用されることが望まれるでしょう。

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