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雑草と万葉と恋歌と方言1

夏は、畑の畝に生える雑草をむしる。一番多いのは、当地名「ひょう」。茹でてからし醤油で食べるも良し、茹でて干しておいて、年末のおせちの材料にするもの良し「ひょうっといいことありますように」は、当地の正月料理の一品です。おせち料理はダジャレだなあ、しみじみ。食べられる雑草には役割も人権もある。
ひょうは、茎が頑丈でどこまでも長くぬるぬるしています、引っぱるとどこまでもついてきます。
牧野富太郎氏の小エッセイを読んだら、ひょう=スベリヒユ=いわいづるの話題で、万葉集にいわいづるを詠んだ歌があることが書いてあった。
私の本棚に、萬葉集本文篇と萬葉拾穂抄北村季吟と岩波文庫新訓万葉集上下巻があるので、ペラペラながめていたら、小エッセイにある万葉集3378 いりまぢの おほやがはらの いはゐづら ひかばぬるぬる 吾にな絶えそね は、載っていて驚いた。
武蔵国の歌、入間付近(日高市に歌碑がある)で、「引っ張ったらぬるぬるするいわいづらのように、私(男)から離れないでね」 という内容。
現代でも、ひょうの茎は丈夫でぬるぬるしてるよ、一般人の分類は雑草だけど。万葉の人、ひょうを恋歌のモチーフに使うって大胆すぎる。
万葉集では、武蔵国の歌なのに、スベリヒユではなくて、いはゐづらなんだね。牧野富太郎氏によれば、いはゐづるは伯耆国の方言みたいなんだが。
伯耆国の兵が武蔵国に派遣されて、現地の女子と仲良くなっちゃったのかしらん。これは妄想が捗るやつだ。
山形民は今でも、そこそこ食べる「ひょう=スベリヒユ=いわゐづる」伯耆国、今の島根の人はどうなんだろう? 
万葉時代の人もスベリヒユを食べていたんなら、親近感が増します。恋人と一緒に、ひょうを食べてぬるぬるしていたら、ちょっと楽しい。何につけ、ぬるぬる野菜は栄誉価高いよ〜。



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