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歴史・人物伝~新選組上洛編②傍若無人な芹沢鴨という男

京へと出発した近藤勇らを含む浪士組は、中山道を進んでいきます。血気盛んな男たちの集団ですので、何が起きるか分かりません。その心配が早くも本庄宿(埼玉県)で起きてしまうのです。

宿泊先を手配する宿割りという役目を近藤と池田徳太郎が担当していましたが、本庄宿で三番組組頭の宿を取るのを忘れてしまいました。その組頭こそ、水戸脱藩の荒くれ者として知られる芹沢鴨なのです。

後に新選組の前身である壬生浪士組の筆頭局長を務めた芹沢ですが、前半生は謎に包まれています。ただ、水戸出身ということで名前は知られていたと思われ、壬生浪士組を預かった会津藩でも一目置かれた存在でした。

宿を忘れられた芹沢は怒気を含めて「俺は野宿でいい」と突っ張り、宿場の中心で大きなかがり火をたき始めたのです。慌てた近藤と池田は、芹沢の宿を探すとともに平身低頭で謝る羽目になりました。

すったもんだの末、ようやく宿に入った芹沢ですが、今度は「三番組」と書かれていた札が気に食わず、自分で「一番組」と書き換えてしまいます。常に先頭に立つという気構えを見せつけた、といったところでしょう。

後に、宿命とも言える存在となる近藤勇と芹沢鴨の出会いは、トラブルという形から始まりました。近藤にとっては、芹沢を強烈に意識するだけではなく、屈辱的とも言える仕打ちだったに違いありません。

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