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私だけの特捜最前線→14「射殺魔・1000万の笑顔を砕け!~紅林刑事が語る刑事の役割とは」

※このコラムはネタバレがあります。出演者は敬称略

アメリカ帰りの桜井刑事(藤岡弘、)が特命課に復帰してからも、彼のアウトローぶりがいかんなく発揮されるドラマが時折見られます。時には、他の刑事たちと捜査方針で対立することもあるのです。

第107話「射殺魔・1000万の笑顔を砕け!」もその一つ。女に振られ、被害妄想となった男が「笑っている人」を許せず、連続射殺するという事件。無差別殺人に特命課も色めき立ちます。

当時、神代課長は不在で、橘刑事(本郷功次郎)が指揮を取っていました。桜井は犯人を狙撃するため、ライフルの携帯を要求しますが、繁華街での銃撃戦を避けるため、橘は断固認めようとしません。

ついに桜井は、犯人が恨む女とそっくりの女性をおとりに使うという強引な手段に出ようとします。そこに立ちはだかったのが紅林刑事(横光克彦)です。紅林は女に帰るよう促し、それに対し桜井は激しくかみつきます。

紅林は「射殺、射殺と言いすぎやしませんか」とたしなめますが、桜井は「どうせ死刑になる男だ」と言い放ちました。すると紅林は「それは裁判所が決めることで、我々は逮捕するところまでだ」と語気を強めます。

このシーンでは、桜井のアウトローぶりを際立たせるため、生真面目な紅林をぶつけたのでしょう。特捜では「法の下に捜査し、法の下に裁かれるべき」を大原則にしており、その象徴的な場面となったのです。

紅林は、その大原則に最も忠実なタイプの刑事だということが、ここではっきりと示されます。同時に、地味なイメージだった紅林に「冷静沈着で生真面目なタイプ」というキャラクターが根付くことになりました。

ただし、この作品のラストでは、人質を助けるために自ら大声で笑いながら、男の注意を引きつける場面があり、いざとなれば命懸けの行動も辞さないという熱血漢ぶりも見せてくれています。

ちなみに、もしも神代課長(二谷英明)が指揮を取っていたならば、紅林と桜井の場面は神代に差し替えられていたとも考えられます。そうなれば、紅林をアピールする機会が失われたでしょうね(苦笑)

noteでは連載コラム、エッセイをほぼ毎日書いています。フリーランスのライターとして活動中ですが、お仕事が・・・ご支援よろしくお願いいたします!