最近聴良曲2021.09(レビュー)

2021年9月28日 07:57

　めっちゃ久しぶりにそういう気分になったのでめっちゃ久しぶりに書きます名南奈美です。1月以来らしい（ZOCのアルバムレビューは挟んだけど）。

●Battle of Pride - Division All Stars（作詞作編曲:井手コウジ）

　舞台版ヒプノシスマイク Rule the Stageの楽曲。コーラスとキーボードで神聖に始まってめちゃくちゃ悪そうにヴァンヴァン言うシンセベース（だと思う）主体のビートになる感じ、最初に聴いたときからうおおって思ったんですよね。硬派だ～って。それまでのRule the Stageの全体曲はスラップベースとかキャッチーな要素が多かったので、一段こう落ち着いた感じがすごく好きです。
　とはいえヒプノシスマイクなので、シブヤディビジョンあたりに移ったときはガラッと雰囲気が変わったりして。まあ9ディビ+1人で合計8分39秒もあるので、そりゃあそれくらいしなきゃってことでしょう。結局面白いのでとてもよいです。アサクサディビジョンのときの笛が地味にかっこよい。
　リリック面ではどれも大好きですが、オンラインでの観劇を肯定するような山田三郎の「最新現場　生配信　僕達が生きた証」と、Rule the Stage各主題歌の観音坂独歩バースを踏まえた「並行世界に失踪（したなぁ）一人旅でインド（意味ない！）」、個人的に私が白膠木簓のライムに感じている雰囲気と一致してる「簓さんがちゃぶ台返し」あたりが特に気に入っています。
　あと「解釈一致」ってワードが夢野幻太郎さんから出てくるの、ああ現代のエンタメ業界で活躍する二十四歳なんだなあこの人、と思いました。

●Real Luck - 茅ヶ崎至（作詞作編曲:ANCHOR）

↑YouTubeのサブスク

　ANCHORさんがゲーム『A3!』への楽曲提供をするのもこれで７曲目くらい？　なわけですけど、いよいよANCHORさんのチップチューンを引き出してくれるとは……！　という感じです。というか『今回の騒動につきまして。』といいZOCアルバム『PvP』収録曲といい今年リリースのANCHOR曲けっこうチップチューン要素を使うこと多くて嬉しい限りで、そのあたりの手広さが広く認識されるといいなと思います。
　さておき。茅ヶ崎さんの前ソロ曲『Gamer's High』もロックなチップチューン楽曲なのでコンセプトを引き継いだ曲調となっています。で、聴き比べてみると本楽曲の間奏にその前ソロ曲のメロディが混ざっていて、ANCHORさんらしい文脈の踏まえかただな～と思いました。疾走感あるBPMで駆け抜けて終わるラスサビがエモーショナルで好きです。

●ジャンキーボーイ - Veill feat.青妃らめ（作詞作編曲:teppe）

　れるりりさんの楽曲を最近よく編曲されているteppeさんが作詞作編曲を担当するグループVeill（ベイル）の楽曲。
　女性ボーカルに全体的に冷ためなピアノリフやヒップホップを取り入れた編曲、キャッチーなリズムの挟み込み、ラスサビ転調など現代らしさ全開。そのうえでイントロ・前奏とシンセベースが格好よく、音圧も高くて楽しいのでおすすめです。サビのキラキラ感も個人的に肌に馴染んだ感じです。間奏も格好いいね……。れるりりさんとの作品もVeillも楽しみにしていきたいです。

●GIRL ZONE - 大森靖子（作詞作曲:大森靖子／編曲:大久保薫）

↑YouTubeのサブスク

　大森靖子さんらしいEDM楽曲。セルフカバーアルバム『PERSONA #1』収録曲。元はハロプロのBEYOOOOOND内ユニット雨ノ森川海への提供曲。
　こちらのインタビューによると『GIRL'S GIRL』の中学生バージョンらしくて

　それを踏まえて聴くとたしかに

「わざわざ言わないだけで
　傷ついてないわけないじゃんね
　リップもネイルもバッグも禁止
　筆箱に私の全部を詰めてる」

　あたりに特に『GIRL'S GIRL』を強く感じますね（っていうか提供曲でこんなに個性出していいんだって思ったらそういうオーダーだったんだ）。
　あと歌詞で言うならラスサビの

「たしかに誰かのおかげでここまできたけれど
　鏡の前でフリーズ　動けないところから一歩
　踏み出したのは　私が心を決めたから
　誰にも譲らない
　はよ卒業して見返したい！」

　ってところアイドルの歌う曲として滅茶苦茶にクライマックスで好きです……。先述のインタビューで「卒業アンセム」として扱われているのもさもありなんって感じですね。
　あまりに好きだったので、アルバム『BEYOOOOOND1St』収録の原曲と聴き比べてみたところ、原曲のほうがスラップベースが鋭くてサビの裏拍が強調されてるため単純にノリやすい印象がありました。でもセルフカバー版のびょんびょんしたベースもお洒落で好きです。好き。
　

●ぴんく - MARETU（作詞作編曲:MARETU）

　うわあ不安定になる！　なんか不安になる！
　MARETUさんが作る可愛くて怖い曲好きです。ドラムの音がよすぎるしチェーンソーのSE入るのかっこよすぎる……。アウトロに『マインドブランド』の前奏メロが低めで入っていたのは物語的な意図があるのか『マインドブランド』が爆伸びしたことへのサービスなのか……。

　歌詞、全部センス強くて困りますが、Bメロの「惡い笑顔 ←断ち斬るぼく」「したり顔 ←お仕置きだよ」あたりは新境地を感じます（『もってけ!セーラーふく』か？　とも思いましたが）。あと一番のサビを「終わってしまったの。」で締めて二番に移行するの、"終い"になったあとも人生は続くし人間は落ち続けるって意図だとしたら最悪で最高に好きです。終わってから壊れる。

●おとといきやがれ - まふまふ（作詞作編曲:まふまふ）

　まふまふの低音。『デジャヴ』『マルファンクション』が好きなので好き。
　オンラインのワンランライブ時から好きだった曲。最近のまふまふといえば可愛い感じのハイトーンではありますが、だからこそ低めの治安悪い歌声がかっこよく感じます。歌詞の治安も割と久しぶりな悪さ。そういう雰囲気にアコギが合わさるとLOSERのアコースティックカバーを思いだしますね。あれも好きなんですよ。

　サビ、「Yeah Oh」と「言えよ」でカジュアルに踏む感じも好きですが、ラスサビで全体的な治安の悪さというか苛立ちの振り撒きの理由が明かされるの上手いなと思います。自己防衛というか、自分が人間関係を上手くやれる、上手くやりたいと思った人をうっかり傷つけないように「誰彼かまわず」切り捨てる感じ、そういう青春期っぽくて好きです。
　そう考えると曲名でもあり何度も繰り返される「おとといきやがれ」という言葉、実現不可能さによる拒絶でありながら来やがれとも言っている複雑さに目を付けて選んだ説もあるのかな～と感じます。憶測。

●WE ARE THE W.W.W 2018 - World Wide Words(作編曲:nyankobrq)

参加MC:抹 a.k.a ナンブヒトシ、ｙｔｒ、ライジュウ、嘯、RAq、shirayuki、DEMONDICEのカレン、imiga from カイワレハンマー、キリト、[…]サンテンリーダー、SHIDO from TinyTitanBox、らっぷびと

　古参ネットラッパーらっぷびとさん主催のネットラップ音楽イベント「World Wide Words」の2018年テーマソングです。出演者で毎年こういう曲を出していて、ライブの出来なかった2020年も年末に出していたので同じく出来なかった今年はどうなるんだろうと思っています。
　2013～2020まであるなかで曲調が一番好みだったのが2018。お洒落に弾ける感じが可愛くて楽しい。あとDEMONDICEのカレンさんの英詞ラップがツボなんですよね。
　全体的にどこか上品なリリックでガンガンと韻を踏んでいく人が多い印象で、こういうのって「ラップしてみた」系っぽいノリだよなと少し思います。それがネットラップ界隈ならではの空気感というか魅力なんじゃないかなと感じます。
　ちなみにテーマソングを別の人達でカバーするREMIX文化があるっぽくて（あやふや）、そちらもネットラップで聞いたことある名前がいっぱいいたりするので面白いです。

WE ARE THE W.W.W 2018 REMIX TYPE -R-