名南奈美

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作曲家・ANCHORさんについて(雑記)

本稿のオープニングは『キミと世界エレジー(歌唱:米澤円/作詞作編曲:鈴木大記(ANCHOR))』でお送りします。 こんばんは。作曲家のANCHOR=鈴木大記=南兎つみき=Etude'sさんのオタクこと名南奈美です。そのANCHORさんについて一回長めに語りたいなと思ったので記事を書き始めました。主な内容としては「作曲家・ANCHORの作れるジャンル」「どういうところがいいと思うか」という感じです。 ちなみにこの記事は新曲が出るたびに(私の時間に余裕のあるとき)更新されてい

    • いちご完全犯罪 - METAMUSEMAPA、すき(解釈)

       一番の 「ダサい私だったこと 忘れてやりなおしたい でも未解決事件やるせなく じゅくじゅくしながら生きていく」が  ラスサビで 「ダサい私だったこと 思い出したら抱きしめて ほら解決したい気持ちとかない じゅくじゅくしながら愛してよ」  になるところすきです。  ダサい過去とモヤモヤを背負って生きていく人間が、ダサい過去もモヤモヤも生きていくことも愛されたいと言えるようになる、「愛してよ」とねだっていいと思えるようになる話ってめちゃくちゃ希望じゃないですか。  そのス

      • ころして(短編小説)

         私はビアンで双子の妹はバイで、両親には近い場所で独り暮らしをしていると言ってあるけれど実際はふたりで暮らしている。どうして両親に隠しているのかというと、私と妹のふたり暮らしが同棲であることを悟られたくないから。  私は妹が好きで、妹も私と付き合うことは嫌じゃないらしく告白を受け入れてくれて、社会人になって初任給が出てすぐに一緒に住むことにした。  妹の亜砂羅はすっごく美人だしスタイルがいいし人当たりもいいし音楽の才能だってあって、趣味で投稿しているボーカロイド曲がど

        • 醜茶まりな『DEEP SLEEP FIRST KISS/悪虫』インタビュー

           レオナードエンターテイメント所属の女性シンガーソングライター・醜茶(しこちゃ)まりなが、9月13日に1stシングル『DEEP SLEEP FIRST KISS/悪虫』を配信リリースした。  今年の4月5日に発売し新時代のシティポップ・センスとストーリーテラーとしての才覚を見せつけたメジャー初アルバム『ド都会インディーズ』、そして5月20日から7月8日まで開催し全公演満員御礼を果たしたリリースツアー『しこちゃまりなしこたま演奏会 ~ここが君の都会編~』を経た彼女が創りあげ

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        作曲家・ANCHORさんについて(雑記)

          in the house(短編小説集)

          純文短編集『in the house』を制作しました。全十作収録です。 PDFとして無料でダウンロードできるのでご気軽にお楽しみいただければと思います。 私という個人がここに生きている。 ↑トマトゥルトマトに誤字あり版。10MBほど。 ↑修正版。諸事情で20MBあります。すみません……。

          in the house(短編小説集)

          トマトゥルトマト(短編小説)

           自我? 自意識? が芽生えたのは小学三年生くらいからで、それまで私は双子の姉と間違えられても全然平気だった。何せ顔や声だけじゃなく好みまで同じだったから、求める髪型も服装も運動も全て自然に揃っていたし、その結果として姉の吉村穂月と私こと吉村的子を、誰かが間違えることもしょうがないと思っていた。すっかり許せていたし、ちっとも不愉快じゃなかった。  けれど小学三年生の秋、珍しく穂月だけが体調不良で休んだとき、担任の惣田先生が私に、 「じゃあ穂月さん、家に帰ったらきちんとプリント

          トマトゥルトマト(短編小説)

          Twitterごっこ 7月号

          Twitterずっと変だしやっていきます サイレントで更新されていく 2023年7/10(月)  ノートパソコン寿命近そうだから買い換えなきゃ  小説書けた、長編になったからゆっくり推敲などして来月だそう 2023年7/9(日)  ウタカタララバイのセルフカバーMVでハムプリンセスが負けてたの納得いってなかったけど、これPrincess♂よりウタカタララバイ(原曲)のほうが人気曲になったことを示してるのか? 2023年7/7(金)  まふまふ、まぬんちゃん路線で

          Twitterごっこ 7月号

          最近聴いた良い曲(2023.6.8)

          こんばんは。名南奈美です。本稿のOPはANCHORさんプロデュースアイドルNARLOWの『こんな世界に為ろうと(作詞作編曲:鈴木大記(ANCHOR))』です。 ●大脱走(歌:生田鷹司/作詞作曲:堀江晶太/編曲:堀江晶太・PENGUIN RESEARCH)  ロックバンドPENGUIN RESEARCHの楽曲です。『逆光備忘録』の曲は時間あるときまとめて書きたいので、その前のシングルの収録曲から。  系譜としては『嘘まみれの街で』『逆襲』『ドブネズミ・ザ・ナイトクルーザー』

          最近聴いた良い曲(2023.6.8)

          最近聴いた良い曲(2023.5.5)

          こんばんは、名南奈美です。本稿のオープニングは久しぶりに聴き返して好きだなとなっている『罪の名前(歌唱;初音ミク/作詞作編曲;ryo)』でお送りします。 久しぶりに曲感想やりたくなったので書きます。最近聴いてよかった曲。最近じゃないのもあるかも。よろしくお願いします。 ●Role of a Life(歌唱:femme fatale/作詞作編曲:ケンモチヒデフミ)  戦慄かなの・頓智気さきな姉妹によるセルフプロデュースユニット・femme fataleの楽曲です。  最近ア

          最近聴いた良い曲(2023.5.5)

          謝肉祭(短編小説)

           十一月の下旬で、娘は高校三年生だけれど大学は指定校推薦でほぼ決まっていた。先週、文化祭も終わったことだからと部活を引退して、そうなると気持ちが暇なのでSNSを始めたみたいだった。SNSなんて結局は人の集まりの集まり……の集まりだから、どんな影響も受けうるから母親としては心配だけれど、でも娘は、徳羽は冷静な子だから、少なくとも闇のアルバイトに誘われて応募して犯罪の片棒を担いだりは、しないだろう。  しないよね?  まあそもそも、高校一年生のときから光のアルバイトをしているから

          謝肉祭(短編小説)

          時唄県双瀧郡うすば町涸瀧山(短編小説)

           時唄県双瀧郡うすば町にある涸瀧山にふたりで登っちゃいけない、呪われて死んでしまうから。  という雑な怪談があるので、私と笛吹ちゃんで登りに行く。笛吹ちゃんは隣の県の大学のオカルトサークルで知り合った友達で、よくこんな風に怪談を確認しに行くのだ。  怪談はだいたい嘘だけれどたまに本物がある。だからそこのスリルを味わいたくて確認旅行を続けている。今回のものが本当だったら危ないので、もうひとりのサークル部員である杉原さんに山の入口付近の農道で待っていてもらっている。ふたり

          時唄県双瀧郡うすば町涸瀧山(短編小説)

          おぞけだつ心のドアのあいほさく(短編小説集)

          ホラー短編集『おぞけだつ心のドアのあいほさく』を制作しました。全七作収録です。 PDFとして無料でダウンロードできるのでご気軽にお楽しみいただければと思います。 人間と幽霊どっちが怖いって、どっちも怖いに決まってるでしょ。舐めるな。 ↑ダウンロードリンク 誤字や文字化けなどありましたら気軽にご連絡ください。 また、感想などいただけると励みになります。

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          愛膿(短編小説)

           彼氏が久しぶりに家に帰ってこれたと思ったら玄関で盛大に吐いてわたしは絶叫。  それがゲロじゃなくてニキビの汁みたいなやつで大量で臭すぎて絶句しつつ、なんか彼氏にやばいこと起きちゃってるのはわかるので救急車を呼ぶ。  深夜の病院で医者は言う。 「ストレス性膿吐症です。ストレスで心身に毒素を溜め込んだ結果、そういうことが起こる方もいらっしゃいます」  わたしは訊く。「治りますか?」 「医療としては、薬で症状をおさえることは可能ですが、根治となりますと、ストレス源を遠ざけ

          愛膿(短編小説)

          少年大殺界(短編小説)

           間違えたくない。  とくに人間関係については間違えたくない。人間って影響も価値もひとりひとり大きいから、誰と関わるか、誰と仲を続けられるかって結構大事だ。私はまだ高校二年生だけど、人並みに人間関係をやってきたからわかっている。  ゆえに私は嫌な噂のある人間とは関わりたくない。異性関係がだらしない人も嫌だ……影響を受けて私の倫理観がゆっくりずらされたら最悪だ。まず関わり合いにならないほうがいい人間っているのだ。これは差別じゃなくて自衛だと思う。  だから。  だから私は

          少年大殺界(短編小説)

          SSOAUURCCEE(短編小説)

           ソース。それを持っている先輩のことを、私はたまらなく恋い慕っています――ソースとは、調味料のことではありません。たとえば個であること、個であるという自分を肯定すること。たとえば、粋で洒落ていること。先輩は二年生から三年生になっても、部活動をしていても、引退をしても、いつだって個で、孤立ではなく孤高で、高僧のように気高く、狂想曲のように奇矯で、そして決して、自由への衝動に溺れることなく過ごしておりました。  迷惑な俗人とは全く違います。迷惑をかけなくては、個性を証明できないと

          SSOAUURCCEE(短編小説)

          SEX(短編小説)

           セックス終わってお腹のうえの熱い精液を見て、生であり死だな、と思う。液体として乾燥すると守られていた精子が死ぬって最近ネットで見た。つまりまだ精子は私の臍の周りで生きていて、これから死んでいくのだ。死を待つのみ。人間と一緒だねっていいそうになるけれど、しかし人間のように延命装置を発明したりはしないから、あるいは後世に何かを遺すこともないから、そして他の生き物の餌になることもないから(私の知らない微生物が食べているのかもしれないけれど)、ただ為せずに死ぬための時間を過ごすのだ

          SEX(短編小説)