初期研修医はいくら住宅ローンが組めるのか


こんばんは、研修医ヤマダです。

夢のマイホーム計画に向けて絶賛奮闘中です♡

そしてつい先日、住宅ローンの申請をしてきました。

仮審査ですが、無事に通過したとのことで、これからは物件の細かい選定及びローンの限度額を調べていくフェーズになりそうです。

ちなみにローンは35年、変動金利、7000万円ほどで出しました。

これから日銀の利上げが本格的に進んでいくとは思うので、利上げしたとてまだまだ低金利なうちに、ローンは組んだ方がいいのかな〜と。

今までの金融緩和が異常なだけで、今後はもうあのレベルの低金利は望めないのだろうなぁと諦めてます。



で、このローン申請ですが

医者だから、って適当にやると普通に落ちます。

事実、私も1つ落ちました。


で、その時に特に痛感したのが

『初期研修医は住宅ローン申請がかなりキツい』

ということです。



世間一般的にあまり知られていないですが、

実は初期研修医の給料は年々めっちゃ伸びてます。


まあ元々が低すぎたというのもあるのですが…笑

例えば40年前は研修医の手取りは月5万円ほどでした。

日給じゃないです、月給です。

その代わり医者バイトとかはできたみたいですが…

ブラックジャック によろしくより


それと比べると研修医の給料はかなり上昇しました。

2024年現在、大学病院の給料はまだまだって感じはありますが、

市中病院の研修医の場合、平均でも年収6、700万円くらいあるのではないでしょうか。

そして特に地方の病院だと
研修医でも年収1000万円を超えることも珍しくありません

(医療業界では、地方病院の方が人気ないため給料が高く設定されやすいです)


というわけで、初期研修医であっても、収入だけで言ったらかなり強気のローンが組めそうですが、

果たして初期研修医はどれくらいローンを組めるのか。


さて結論から言いますと

そもそも初期研修医で住宅ローンを組むこと自体が結構キツい

ということです。


理由は3つ

①住宅ローンでは年収と同じくらい『勤続年数』も評価されるため

②収入の証明は基本的に前年度の源泉徴収を使うため

③後期研修先の病院が変わると転職扱いになりうるため


以上を順に説明していきます。




①住宅ローンでは年収と同じくらい『勤続年数』も評価される


皆さん、住宅ローンの審査で、銀行側がチェックしてる項目って何があると思いますか?

まずはやっぱり年収ですよね、年収100万円の人に1億円貸してくれる銀行なんてありやしません。

あとは安定性でしょうか、よく芸人さんが住宅ローンの審査に落ちたなんて話をされてますよね。
いくら今の収入が良くても、来年以降もそれが続くの?って話です。


住宅ローンの審査で見られる項目

では一体、住宅ローンの審査で重視される項目は何なのか。

実はそれを調査した結果があるみたいです。

以下は 国土交通省 令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査 より抜粋しております。

1、 完済時年齢 99.0%
2、 健康状態  98.5%
3、 担保評価  98.2%
4、 借入時年齢 96.8%
5、 年収    95.7%
6、 勤続年数  95.6%
7、 連帯保証  94.2%
8、 金融機関の営業エリア 90.6%
9、 返済負担率 89.2%
10、融資可能額(融資率)77.1%

(※項目の後ろの%は、調査対象となった金融機関(1000社以上)が、審査の際、考慮する項目に挙げた割合を示しています、つまり高ければ高いほど見られやすいというものです。)


1位、2位、4位と健康および年齢が続きます。
確かに、35年ローンを組むとしたらなるべく若くて健康そうな人に貸したいですよね。定年後はガクッと給料下がってしまいますでしょうし、大病を患っている人にお金を貸してその人が死んでしまったら回収できないですしね。

3位が担保評価、つまりどんな物件を購入するか。
購入した物件が優良な物件であれば、もし借主が借金返済できずに破産したとしても、その物件を売ってある程度お金を回収できるため、銀行側はリスクをかなり減らせますよね。


で、今回自分が言いたいのは
6位の『勤続年数』です。
これが想像以上に大事な評価項目だそうです。

勤続年数は大事

勤続年数が長ければ長いほど、収入の安定性の証明になりやすいです。

例えば、同じ会社の勤続1年目の人と、10年目の人。

どっちが将来、収入が安定していそうですか?
どっちが将来、クビにされずにその会社に勤められてそうですか?
どっちが将来、精神を病んで仕事を辞めることが無さそうですか?

当然10年目ですよね。勤続10年目と言うことは、10年間その会社で働き続けられるだけのタフネスさやメンタルの強さ、会社からの信用を持っていることの証明になるからです。

1年目とかだと
「今後も本当にこの会社でやっていけるのか?」
「今後も体や心を壊さずに働いていけるのか?」
といったリスクがどうしても付き纏ってしまうのです。

転職1年目の人がローン通りにくいと言われているのと一緒で、勤続期間が短いと、収入の安定性の説得力に欠けてしまうのですね。

初期研修医はそもそも勤続年数1、2年


ではここで初期研修医に話を戻します。

初期研修医は医学部卒業後、最短25歳の代で社会人です。

年齢的には社会人歴はありそうでも、初期研修医は社会人デビューしたてのひよっこで、勤続年数はせいぜい0~2年。

まだまだ社会に出て働き始めたばかりであり、信用レベルとしてはかなり低いです。

もちろん、医師免許は収入の安定性の意味では大きなアドバンテージではあるのですが、それはあくまで職種の話。

その人そのものが、ちゃんと働き続けられるかどうかはまた別の問題です。

もしかしたら3年後、働き疲れて辞めるかもしれない。
責任に耐えられずに仕事を辞めるかもしれない。
些細なミスを犯してそのまま立ち直れないかもしれない。

そう言った意味でも初期研修医は勤続年数的に住宅ローンが通りにくいのです。


②収入の証明は基本的に前年度の源泉徴収を使う


では2点目へ。

勤続年数が大事というお話をしましたが、もちろんそれ以上に年収も大事です。

で、年収の証明は当然公的なものを使って証明するわけですが、

マッチングアプリみたいに
「俺、年収〇〇万円」って自己申告するだけじゃいけません。

しっかりと公的に証明しないといけないわけです。

噂の東カレデート、年収の証明は実は無いらしい


で、その公的なものというのが
『源泉徴収票』となります。

医学生のためにご説明しますと、源泉徴収票と言うのは1年間の収入と納付した所得税額を記載した書類のことで、会社勤めの人の場合は、12月に行われる年末調整後に、勤務先でもらえます。

で、キーポイントがその年の12月にもらえるということ。
つまり、2024年度の年収の証明は2024年12月末以降じゃないとできないということです。

逆にいうと、本日2024年8月時点では、年収の証明は2023年度の源泉徴収を使わなければなりません。

つまり、昨年度の収入となります。


社会人1年目の源泉徴収はかなり低い


で、初期研修医の場合この前年度の源泉徴収を使うっていうのがかなりキツいです。

初期研修医1年目の場合、前年度は医学部学生時代なので当然ほとんど収入はないですし、

初期研修医2年目の場合も初期研修医1年目の源泉徴収を使わなければならないので、実際の年収よりかなり低くなってしまいます。

これは医者に限らず、どの社会人もそうですが、社会人1年目の年度は
1~3月まではまだ大学生で、4月からようやく社会人として働き出します。

そのため、1~3月は収入はほとんど0。
4月からようやく給料が振り込まれます。(残業代は5月から)

つまり、1年目の源泉徴収には4月〜12月分までの給料しか記載されません。
簡単にいうと3/4倍の減額です。

加えて1年目はボーナスも基本的にかなり低いですし。

というわけで初期研修医1年目の源泉徴収は、実際に住宅ローンを申請する2年目の年収と比較するとかなり低くなってしまいます。

私に関しても、今年度の年収は900万円くらいの見込みですが、
初期研修医1年目の源泉徴収票は、大体500万円ほどです。

こちらとしては当然、年収900万円で申請をしたいのですが

残念ながら銀行側からすると、
「1年目の源泉徴収だから低めなんです!」とか
「2年目の今年はもっと年収高いんです!」とか
こちらがあれこれ言っても、結局は昨年度の源泉徴収票から年収500万円の男と評価せざるを得ないのです

ちなみに年収500万円だと、ローンとしては3000〜4000万円くらいがMAXでしょうか、都内マイホームなんて夢のまた夢です…



③後期研修先の病院が変わると転職扱いになりうる


そして最後が、意外な盲点。
3年目から病院が変わることがデメリットになりうるという話です。

我々医者からすると、2年間の初期研修をした後、3年目の専攻医からは新しく別の病院に移動するというのはごくごく当たり前のことですが、世間一般的には知られていないですし、むしろ3年目で職場が変わるのはかなり特殊なケースだと思って下さい。


実際に、自分もローン審査の際に窓口で言われたことなのですが

担当者「現在は〇〇病院にお勤めなんですよね?」

自分「はい、今は初期研修医として働いていて、来年からは□□病院で働く予定です。」

担当者「え、ということは転職されるんですか?」

自分「いや、医者ってのは大体後期研修先は別の病院になることがほとんどなので、転職ではないと思うんですけど…」

担当者「うーん、ちょっとよく分からないですけど…
要するに来年からは新しい職場で1年目からってことですかね?」

自分「いや、医者ってのは…(おいおい、なんか嫌な流れになってないか…?)」


このあと、銀行のボスみたいな人が来てくれて、その担当者と話し合っていたのですが、「医者を続けるという意味では転職にはならなさそう」ということで、なんとか転職扱いにはならなかったです。


窓口でしっかり説明できるならともかく、ネットの仮申請とかだとこちらの話が伝えられず、転職扱いで申請通らないとかもあるのでお気をつけ下さい。


やっぱり住宅ローンを貸す側からしても、極力リスクを避けたいものと思われますので、来年度から職場が変わるってのはあまりよろしくないみたいですね。



まとめ


以上が初期研修医が住宅ローンを借りにくい3つの理由でした。

とは言いつつ、自分は絶賛住宅ローン申請中の身。

それと同時に、すでに対策せず住宅ローン申請して落ちている身。

2つ目の申請から自分が取った対応としては対応としては


①住宅ローンでは年収と同じくらい『勤続年数』も評価される
→医師免許で安定性を評価してくれる銀行にする

勤続年数はごまかせません。
ですが、勤続年数が大事なのはあくまで収入の安定性の観点から。
そう言った意味でも医師免許があれば収入の安定性は保たれているので、勤続年数を厳しくチェックしない銀行を不動産会社の人に教えてもらって申請しましょう。


②収入の証明は基本的に前年度の源泉徴収を使う
→今年度の給与明細で評価してくれる銀行にする

当然年収の証明としては昨年度の源泉徴収票が一番正確だとは思うのですが、銀行によっては、「今年度の給与明細」を毎月分見せることで、源泉徴収がなくても年収評価をしてくれる銀行もあるとのことでした。こちらもまた、不動産会社の人と相談して銀行を選んでもらいましょう。

+α
それでも無理なら12月末まで待って、源泉徴収票をもらってから再度申請しましょう。3月に引っ越すとすると、物件の目星をつけておけばギリギリ間に合うかと思われます。
自分もローン申請が厳しかったらこちらにする予定です。


③後期研修先の病院が変わると転職扱いになりうる
→窓口で直接説明する

担当者からは、医者が住宅ローンを借りるのはそこそこあるのだが、初期研修医が借りることはあまり無いとのことだったので、しっかりと説明すれば納得してもらえるかと思います。



以上が、初期研修医の住宅ローン事情でした。


やっぱり、初期研修医の段階で住宅ローンを組むのはかなり茨の道みたいです。

とはいえ、後期研修医になればさらに給料は上がっていきますし、医者バイトも解禁されるので、返済金額的な意味ではなんとかなるとは思ってます。

あとはそれがしっかり銀行側に伝わるといいんですけど、いかんせん初期研修医で住宅ローンを組む人が少なすぎて、知られていないんでしょうね…




また今後も進展がありましたら、ご報告させて頂きます!

それでは〜

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