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異文化のファッションに触れる

世界には、およそ3億人の先住民族が暮らしていて、地理的に分離によってその言語や文化の違いは驚くほど多様です。

日本にも北海道のアイヌ民族、琉球民族などがあり、旅行した時に、その地域独自の文化や自然の美しさに満ちたお土産に惹かれて、いっぱい買いました。

中国には56個の少数民族があり、その中のミャオ族(苗族)は、中国の56の公式認定民族の一つです。彼らは豊かな文化遺産を持ち、数千年にわたる長い歴史があります。

苗族はミャオ語の様々な方言を話しており、これはミャオ・ヤオ語族に属します。方言間の違いが大きく、相互理解が難しいこともあります。

ミャオ族は中国以外の東南アジアにも住んでいますが、中国にいるミャオ族は、その約半数が貴州省に住んでいます。ミャオ族の中でも、住んでいる土地、服飾などによって、「ミャオ」の前に「長裙(ロングスカート)」、「短裙(ミニスカート)」、「長角」、「小花ミャオ」、「黒」、「芭沙」、「八寨」などと名前をつけ区別されることが多いです。

ロングスカート(長裙)ミャオ族は刺繍をした長方形のプレートを金属でつなげたとてもきれいなスカートを穿き、未婚の女性は銀細工で大きなシルバーアクセサリー(ネックレス、ブレスレット、イヤリング、ヘッドピース)を身につけます。

シルバーブレスレットやシルバーイヤリング、指輪、服や帽子に縫い付けられた小さな飾りに至るまで、さまざまな種類があります。なかでも女性がハレの日にかぶる銀の冠には4kgに達するものもあり、首飾り、腕輪などをフルセットで身に着けると、あまりの重さで身動きがとれないほどだという。

ミャオ族

伝統的な信仰のなかで銀飾(シルバーアクセサリー)は邪気を払い、平安を保つ吉祥の象徴と信じられてきました。そして、装飾品の大きさや数は、美しさだけではなく持ち主の家の経済的な豊かさを示すとされます。

苗族の銀飾りの加工は、家庭内の作業場で手作業によって行われます。銀細工師はまず、溶かした銀を薄片、銀条、銀糸にします。そして、圧延、彫刻、刻み、透かしなどの技術を利用して精緻な模様を作り、その後、溶接や編み込みで形を整えます。すべての工程が細かい手作業で、一つの作品の完成までに膨大な手間と時間が費やされます。

今、ミャオ族の銀飾作りは国の無形文化遺産と登録されて、製作できる人は一部しかいないようです。また、若者が厳しい競争を勝ち抜いて都市で就職し、伝統的な製作技術を受け継ぐ後継者も不足しています。

これからミャオ族の社会はどのように変化し、伝統文化はどのように受け継がれていくのだろうか。予測することは難しいですが、近い将来世代交代によって大きな岐路に立たされるであろうことはひしひしと感じられました。文化を受け継ぎ伝える人々と、彼らを支援しながら時代の変化に即した新しい文化のあり方を模索する人々の取り組みを、これからも見守っていきたいと思います。



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