ヒカリ!ついに新橋へ行く!!(前編︰この付けダレが死ぬほどウマイ。)
「・・・・・・・・・。」
今日は風が騒がしい。
何かが始まりそうな、そんな予感が私を押し寄せた。
私の名はひかり、この世の美味いものとの出会いを果たすべく、様々な地域へと冒険に出ている。
雨が降りそうな空模様の中、私は初めての村で1人の老人と出会った。
「東京から南の地域へ向かえ。そこには激務を終えたサラリーマンを癒す、不思議な場所がある・・・。確かその村の名はシンバシ・・・!きっとそこでお前は凄まじいグルメと出会うことになるだろう・・・。」
と私に伝え、彼は闇の中へと消えていった。
そんな助言を頼りに今、シンバシへと向かっている。
この時の私は、一生忘れられないような素晴らしい料理と出会うこととなるなんて知る由も無かった───。
まるでRPGの序説かのように話を進めてみたが、そろそろ限界なのでいつも通りの文調に戻していこうと思う(笑)
けして今日訪れようとしているところは○○村でも○○地方でもなく新橋だ。新橋にスライムは出てこないから安心して欲しい。
新橋という地域は噂はかねがね、様々なグルメ雑誌で取り上げられていることから非常に、非~常に興味があった。
しかし、好きなものは一番最後に食べるタイプであり、好き過ぎる俳優が出演している作品は尊すぎて閲覧できない性格の私。幼稚園生の頃のクリスマスプレゼントで「おつまみセット」をお願いしたぐらい「お酒に合う料理」が好きな私にとって、新橋が天国なことぐらい行くまでも無く把握済みだ。美味しいもので溢れていることがわかっているからこそ、今の今まで、新橋で食事をしたことが1度もなかった…。
けれど、私はついにこの楽園へと足を踏み入れてしまった。いま文章を打ちながらも、思い出し笑いならぬ「思い出し興奮」が湧き出てきてしまい、ついついふざけた冒頭から始めてしまった。きっとこの回は黒歴史になることだろう。
結論から言うと、
ミラクルスーパーウルトラ良かった!!!!!!!!!!!!
もう就職する時は、新橋経由で出勤出来る会社にしようと思うぐらい、期待を遥かに超えた素晴らしい料理に出会うことが出来た。私はもう完全に新橋にガチ恋。そんな新橋に魅了された女子大生の食レポを、2週に渡ってご覧あれ。
―
前編︰この付けダレが死ぬほどウマイ。
これは新橋、駅近くにある中華料理屋の話。
まだ17時すぎだというのに、新橋ではもう一杯始めている人々で賑わいを見せていた。
細道が入り組んでいる飲み屋街。焼き肉屋に焼き鳥屋、お茶漬け屋まで!美味しそうな店が隙間無く乱立している。
ぁあもう、目移りしてなかなか先に進めない!!(幸せ)
悩んでいるうちに小道から大通りへと出てしまい、道路沿いも飲食店でみちみちになっているのに驚いた。
お、恐るべし新橋…。
開いた口が塞がらないまま呆然と歩いていると、無数の写真とサイン色紙で店外まで埋め尽くされている中華料理が私の足を止めた。
ただならぬ存在感を放つその店は、誘い込むかのように少しばかりドアが開いていた。
もちろん店中もサイン色紙や、その店が雑誌掲載されたページが所狭しと張られており、その隙間を縫うようにメニューがおいてある。
圧巻のサインの量に驚いて来店してしまったため説得力が皆無だが、私はモ○ドセレクション受賞やら、○○グランプリ金賞!を自ら誇張する店に警戒心が強い。その理由は簡単で、それらの肩書きはあまり料理の美味しさに比例しないからだ。(経験談かつ個人的な見解なのでご了承ください)
できるだけ、固定観念や先入観は抜きで食と向き合っていきたいと思っている。
よし、初めての店ではまず周りのお客が食べているものをこっそりリサーチするところから始めようじゃないか。
奥に座るサラリーマンズは麻婆豆腐とエビチリ。横の中国人学生と思われる男性は…私と同様、来店したばかりで悩み中、か。
ほうぅ…(にやり)。遠目から見ても、あの麻婆豆腐はうまそうだ。まず麻婆豆腐は頼むとして、あと一品、何にしようか。今日は私を含め、2人で新橋を訪れているため、複数の料理を頼める特権を得ている。ふたりだと、シェアできるのがうれしい。
初新橋だからもう一件は行きたいところ。二件はしごできる余力を残すように、軽めにつまめる焼き餃子を注文した。
飲み物は、ウーロン茶。
私は「お酒に合う料理が好き」なのにも関わらず、お酒がとことん弱い…。悔しいが、ビールと食べる幸せは二件目にお預けだ。
店を見渡す限り、店員はみな中国人。う~ん、良い。中国人が経営している中華料理屋が好きだ。本場の味を頂けるように思えて期待値が上がる。
しばらくすると、湯気を立てながら食卓へと運ばれてきた麻婆豆腐と餃子。それに加えて、謎の赤いタレ。
あのタレは何に使うのだろうか?という疑問が頭によぎったため、とりあえず先に麻婆豆腐を頂くことにした。『本場四川風麻婆豆腐』と記載されていただけに、なんとも言えない濃~い色合い。油分でコーティングされたお肉が角度によってギラギラと輝きを放っている。スプーンですくった感じは堅すぎず緩すぎず、ちょうどいい塩梅だ。
ぁあ〜~〜、美味しいそう・・・!!!
パクッ
ん~〜~~ー!!!!!まーーーー!!!!!
っんあカラ、辛い!!!う、うま辛!?!!!!
これは紛れもなくジャパニーズ味噌は一切使われていないだろうと思うぐらい、『本場』という言葉がつくのに恥じないクオリティーの麻婆豆腐だ。
けれど日本人の舌に合わせてなのか、甘みの強い甜麺醤の味が1番に感じられて辛味があるわりには意外と食べやすい!
【甘党に朗報】
辛いものが苦手な人でも「辛い」と「美味しい」を共存させながら楽しめるぞ☆
たまにガリッ!とくる山椒がうまい…。
香りが口の中でブワッと広がる感じが癖になる。
麻婆豆腐に夢中になる気持ちもほどほどに、冷めないうちに餃子♪餃子♪
この付属の品、ラー油にしては量が多いし、取り分け用のスプーンは着いていない。
付けダレ・・・?なのか・・・・・・???
正体のかわからないタレを前に、これは「食に対する探究心」を試されているように感じた。
酢醤油で無難に食べようとした気持ちに蓋をして、大胆にも餃子を どっぷり くぐらせた。
アツアツな見た目から、赤くテラテラになった餃子。
激辛ダレなんてオチはやめてくれよ?
いざ、正味。
―――ッッッッッ!!!?!?!?!
食べた瞬間美味しさの衝撃が体を突き抜けた。
<< な ん だ こ れ 死 ぬ ほ ど う ま い >>
驚きのあまり、私たちは目を見開いたまま顔を合わせた。
甘さが最初に来るけれど、辛味、酸味、塩味、そして薬味が一斉にマリアージュしちゃってる・・・!
しかも油っこくなると思いきや、タレの中にいる大量の白髪ねぎ!このツンッ…!とした爽快感が実にイイ!!!
あまりにもネギがイイ味を出してくるもんだから、2つ目の餃子は大量のネギをしょわせてタレから引き上げた。
量産量産、ネギ釣り成功。
ん〜~~・・・・・・・・・!!!!!!!ネギがァ、、ウンマいな!!!!!!!!!
ただでさえタレに漬かった餃子は無敵なのにシャキシャキした白髪ねぎの食感が加わって半端なくうまい…!!!!こんなにもネギに罪深さを感じたのは初めてだ。
餃子が最後のひとつになった時、器の中には少量のネギしか残っていなかった。ネギに狙いを定めて食べすぎた。読者がもしこの餃子を食べる時は、ネギとの配分に注意をしながら食べ進めることを覚えておいて欲しい。ついつい食べちゃうからほんと気をつけて!(笑)
あっ、それともうひとつ!伝えておきたいことがある。
それは、「この餃子は単体で食べてもめちゃくちゃ美味しい」ということである。淡白の「た」の字すら感じさせない野菜と肉のジューシーな餡はほんとうに美味しい。決してタレがないと物足りないだとか、旨味にかけるなんてことは全くない。
私の胃袋が無限にあるならば、何もつけずに一皿、酢醤油で一皿、極上ダレで一皿食べたい。
タイトルにも書いたように、死ぬほどウマイだなんて「美味しい」という表現を安易に片付けたと思われてしまいそうで少々不安に思ったが、本当に湧き出た感情だった。
けれども、この言葉をより正しく言い直すならば、
「『 いま死んでもいい 』と思えるほど美味しいと感じた。」 だ。
一見、なんておおげさな!と思うかも知れない。だけれども、この様々な味を感じさせる底なしの深み。この付けダレは人をここまで感動させるものを持っていると思う。
「一期一会」というポピュラーな4文字熟語。人間関係においてよく使われるが、私は食事にも当てはめられることように感じる。
今日この店に巡り会えたことや、料理人のコンディションなど、様々な幸運が重なって生まれた「美味しいものとの出会い」 。その機会は二度と繰り返されることはなく、一生に一度の出会いである。
―
「・・・・・・・・・。」
この数分の間に食材が奪われたのかと思うぐらい、瞬く間に卓上には何も残っていない。2件はしごすると言ってもなんだか口寂しい。
なにか他に頼もうとメニューに手をかけた時だった。
「スミマセン、スミマセン、トオリマス~」
「極太焼豚」が山積みにされている銀プレートを持った店員が机の横を通りすぎ、厨房へと入っていった。
私は凝視。
数は1本、2本、3…ご、5本!?
真っ茶色に染まっている焼豚だった。すごく味が染みてそうな焼き豚だった。
はぁ・・・
なんでまぁこんなにも「茶色」って食欲を掻き立てられるのだろうか。罪深い。
「店員さん!ピリ辛ネギチャーシューひとつお願いします!」
―
ほうおおお・・・!!
スライスされた焼き豚に、どっさり盛られた白髪ネギ。今日だけで相当ネギを摂取している。
パ ク リ
んー!いいね〜~!!!とろけるような焼豚ではなく、片目でしっかり赤身!!こってり続きだった口の中がすこしさっぱりしたように思えた。中国の焼豚と日本の焼豚は根本的に作り方が違うのだろうか?食べ慣れない味に箸も好奇心も止まらない。
邪道かな?と思いつつも、ああ、焼き豚を持つ手が、さっきの餃子付けダレのなかにぃい、、、!!!!!
…とっぷん。
付けてしまった…。
だ、だって!この焼豚白髪ねぎも付いてるから絶対合うと思ったんだァァァ!!!!!(言い訳)
はぁう~~~////
「やだこれおいしいよ!!!!!!!!」
最後の最後まで、私は付けダレにゾッコンだった。
―
っはー!食べたぁ~~~!!!!!
新橋初めてを飾るのに申し分ない、コスパにも長けた素晴らしい店だった。
下調べなしでふらっと入っただけなのに、こんなにも美味しいだとは…!運が良かったのか、これが新橋の水準なのか、それはまだわからいない。
新橋奥深いな~~〜!!!!!!!!!!
次はどんな美味いものと出逢えるだろう!店を出る時に貰った傘をさし、私は新たなグルメを目指して夜の新橋へと駆け出した。
次回へ続く。
→ヒカリ!ついに新橋へ行く!!(後編)
今回行ったお店は、「四季煲坊(しきぼうほう)」でした。
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