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田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.5

【ここまでの記事はこちら】
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.1
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.2
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.3
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.4

【前回までのあらすじ】
一子相伝のドライブシュートと共に核の炎に包まれた貴志少年は命からがら地下道に逃げ込む。漆黒の暗闇の中を彷徨ううちに出会ったのは「モグラ星人」と名乗る初老の男だった。男は地底に住んでいるにも関わらず「星人」である事の説明は一切せずに自分の預金通帳の話だけしている。結論から言うと「国民年金はいずれ破綻する」との事だった。老後を見据えて2000万円の貯金を余儀なくされた貴志少年は再びインドのバイトリーダーに戻るべく様々な作戦を考え始める…。

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「ギターを始めたい」と訴えるオレに対して、父は冷静に言った。

「ギターなら押し入れの奥にあるぞ」

どんだけトントン拍子なんだよ。
しかし押し入れの奥から出て来たギターはクラシックギター、弦の概念どころかチューニングもわからないオレは鏡の前でそれを構えて謎のオープンコード(とも言えないただの開放弦)を弾くだけだった。
また長期休みの際に親戚と集まった際にギターの話をしたら叔父が「お。使ってないギターあるぞ。エレキ。」という事で貰って来た。
後々に処分してしまったが今思えばあれは国産ビザールの銘機、TEISCOだったと思う。
なんで捨てちゃうかなオレ。

そんなこんなでギターへの憧れだけつのり特に進展のない日々の中で、とあるバンドと出会う。

皆さんご存知、「THE BLUE HEARTS」だ。

シンプルでラウドなサウンドに明快でシニカルな歌詞。
中学生の金玉を鷲掴みする要素が詰まったバンド。

その衝撃が、オレを再びギターへと向かわせた。

取り急ぎチューナーではなく「音叉」をゲットしたオレは初心者本に書いてある通りのチューニングまでは出来る様になった。
何十年も弦を変えてなければネックも反りまくってしかも太いクラシックギターで歌謡本のコードを参考に弾いてはみる。
しかし、全然弾けない。
やはりギターは諦めようと思い、そっと部屋のオブジェに戻す。

そんな中学校2年生の頃、オレは学級委員長だった。
先生まで含めてとても仲の良い楽しいクラスだったのだが、問題がひとつあった。

クラスのNくんと言う生徒が、今で言う不登校だったのだ。

先生からの「遠藤、あいつの家にマメに顔を出すようにしてやってくれないか」とのオファーを受け、オレはミッション完遂に向けて彼の家に遊びに行くようになった。
今思えば小学校も別、一年生の時も同じクラスではなかったという言わば全然他人の会った事もないクラスメイトが突然家に遊びに来るのだ。
彼はさぞかしワケがわからなかっただろう。
今も変わらぬ持ち前の空気の読めなさでそこからしばらくは部活終わりに家に寄り、部屋に上がり込んであれやこれや(恐らく)勝手な事を話し、スキあらばおやつまで頂くと言う厚かましい毎日を過ごした。
Nくんも最初はワケがわからなさそうだったが、徐々に心を開いてくれてあれこれ話してくれるようになった。

そんなある日、いつものように部屋であれやこれやと話しているとオレの視界にあるものが飛び込んで来た。

「わー!!!これは!すごい!これ貸して!」

続く

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