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田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.3

【ここまでの記事はこちら】
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.1
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.2

【前回までのあらすじ】
ボーイジョージと名乗る男に永遠の命を吹き込まれた貴志少年は男の謎を探るために港に停泊していた外国船に忍び込む。密航の末にたどり着いた国はインドだった。言葉もわからない中で食うために港湾の荷役のアルバイトを始め、その勤勉さと持ち前の明るさからいつの間にかバイトリーダーとなりシフト管理も任される事に。仕事と人間関係の中で疲れ切った貴志少年は疲れからガンジス川に落ちてしまう。すると川底にいた「小林克也」と名乗る男に襲われ、思わずガッと肩を組む。その感触を感じた小林克也は「あなたが現れるのを数十万年もの間水中で待っていた」と涙を流した。そうして貴志少年は完璧超人への道を歩み出すのであった…


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ドラムをやってみたい、と告げるオレに対して父の回答は

「いやなんでドラムなんだよ」
でもなければ
「まだ縦型の方がいいよ」
でもなく

「おー。お父さんもドラムやってたんだよ」

だった。マジかよ。
と言う事で理解しかない父の計らいで、いつも行くレコード屋が同じ施設内で運営しているスタジオにあるドラム教室に通う事となった。
師匠は「井手先生」と言う方でTHE NEWS(静岡の)と言うバンドのドラマーだったらしい。レギュラーグリップだった。会いたいなぁ。
親切丁寧な指導のもとにドラムがどんどん楽しくなっていった。

さて同じく11歳といえば小学校5年生、我が母校にも無事にサッカー少年団も設立され、サッカーと音楽漬けの日々はいよいよ加速していった。
世の中と言えば空前のファミコンブーム、名タイトルが次々とリリースされテレビでは16連射が話題になったりハニーがバグったりだったが、我が家にはファミコンがなかった。
と言うかねだったりしなかった。
ファミコンを買うぐらいならレコードがほしかった。
なんたる偏った小学生。

そこからお年玉や親戚のお小遣いをレコードに注ぎ込む日々。
ベストヒットU.S.Aに加えてラジオのエアチェックという技も覚えて情報はどんどん溜まっていく。

時系列が前後してしまうが、衝撃を受けたのがこれ。

「スター達が、そしてボーイジョージが!チャリティで!レコードを!」

この12インチシングルを買って家でまさに文字通り擦り切れるほど聴き、歌詞カードやクレジットやライナーノーツも穴が開くほど読み続けた。
そのミュージシャン達の崇高な行動に汚れなき少年の心は嫌というほど動き、図書室でアフリカ関係の本を読んだ記憶があるほどだった。

やがて程なく「どうやらこの動きに呼応してアメリカが動いているらしい…」という情報も掴む。(多分INROCKから)

そう、かの世界的名曲「WE ARE THE WORLD」だ。

掴んだ情報通り、そのレコードは程なく発売された。
なぜかチャリティ枠で月一枚の約束とは別で買って貰った記憶がある。
WE ARE THE WORLDに至ってはメイキングビデオも入手していたので動くスターが見れる!
そうして友達がドルアーガの塔の攻略やゆうていみやおうきむこうなどと言ってる頃に
「シンディローパーのアクセサリーがさ」
とか
「ハリーベラフォンテのバナナボートのシーンいいよね!」
などと言っている歪んだ小学生が出来上がっていく。

まあいずれにせよ、この二つで「スターの共演」というものに震え、まさに参加メンバーの顔ぶれの如くボーダーレスに音楽にハマっていく。

するとなんとなんと!

アメリカとイギリスの二国同時開催で「LIVE AID」というイベントが行われるというではないか!
こりゃもう当時の日本の少年からしたらまさに文字通り「盆と正月が一緒に来た」状態である。
あんことバターが一緒に入っている状態である。
オリーブオイルと岩塩のマリアージュである。
ちんち(自粛)

しかも日本でテレビ放送まであると!
ここは以前獲得したビデオ予約スキルを存分に活用するしかない!
もちろんリアルタイムの深夜の放送も食い入るように見た記憶がある。

そうしていよいよ取り返しのつかなそうな雰囲気が出始めた小学校5年生の夏前、父がとある新聞広告を持ってオレの所へ来た。

「おい。こんなのがあるぞ。」

続く

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