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田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.2

【前回記事はこちら】
田舎の少年はいかにして沼にハマったか vol.1

【前回までのあらすじ】
少年時代に両親に山に捨てられて雨水を啜り生肉を噛みちぎり生き抜くも山の大将のヒグマ「アカゲ」との戦いに敗れ瀕死の所を偶然通りがかった女装の大男「ボーイ・ジョージ」に永遠の生命を吹き込まれた貴志少年は…

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偶然出会った「INROCK」という雑誌で喉から手が出るほど欲しかった舶来の文化をぐんぐん吸収する。
それからしばらくの間はその雑誌を買い漁り、まだ見ぬ強豪のサウンドに想いを馳せる。
だがまずは先にCULTURE CLUBの音源をコンプリートせねば!
そうして次々とアルバムを揃えて行くと同時に我が家にはいつの間にかコンポが導入。父の粋な計らいでレコードも聴けるようになっていた。
毎月一枚ルールに沿って無事にCULTURE CLUBの音源をコンプリートすると、次に手にとったのはDURAN DURAN「RIO」。

サイモンルボンの滲み出るような色気。
ニックローズの天才肌なナルシストっぷり
ジョンテイラーの唸るようなベースとイケメンっぷり。
アンディテイラーのルックスの惜しさ。
ロジャーテイラー「へー。あんたもテイラーって言うんだ」

これこの先全部書いてると話が進まんな。

INROCKで色々な情報を得ていたが、薄々ある事に気付き出す。

「この雑誌、全然音楽のこと書いてなくないか…?」

兎にも角にも海外有名アーティストのゴシップ情報だけがインプットされていく11歳小学生。良くない。良くないよ。

そんな折、両親の仕事終わりに諏訪の祖父母の家に行く事があった。
母の実家だが、数ヶ月に一回顔を出しに行っていた。
仕事終わりなので到着はいつも23時ごろになる。
今までは寝てしまっていたのだが、その日偶然起きていた俺はたまたまテレビをつけた。
子供向けの番組なんかやっていない事を知りながら眠気まなこをこすりつつボヤボヤチャンネルを変えていると、眼鏡をかけたオールバックのおじさんが流暢な英語混じりで何かを喋っている。

それが「BEST HIT U.S.A」だった。
嗚呼。
出会ってしまった。

ご存知ない方に念の為に説明すると「アメリカの現在のヒットチャートとその曲を次々と紹介して行く番組」だ。
アメリカの、世界の知らない音楽カルチャーがブラウン管越しに次から次へと押し寄せて来る。
「こんな番組があったなんて!!」
こんなの今のオレからしたら「好きな女優だけ入った4時間もののオムニバスAV」のようなものだ。
ベストヒットA.Vだ。

どうやら沼津でも視聴可能らしく、少し前に我が家に導入されていたビデオデッキで撮ることが出来るらしい。
後日帰宅した後に得意の識字率を生かして(歌詞カードを穴が空くほど読み込み続けていたので英語もある程度読めるようになっていた)、予約録画を使いこなす。
あの頃は地上波で海外アーティストの来日公演などを放送したりしていたので、このスキルはこの後かなり役に立った。

さて徐々に色々な音楽に触れ合い始めたオレの心には、とある次の願望が芽生え始めた。

それは「楽器をやってみたい」と言うことだ。

アーティストの映像を見ると、歌以外にも色々な楽器を持った人々がひしめき合っている。
自然なことかも知れない。

オレは、父に伝えた。

「ねえねえ、ドラムやってみたいんだけど…」

続く

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