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臨月と故郷の景色

里帰りをしてからちょうど1ヶ月。妊婦生活も後半、臨月に突入している。逆子に悩まされていたが臨月に入ってするっと下を向いてくれた。ちょうど仕事も終えて重荷が下りたのもあったのかな。

そんな私が子供を身ごもりまた地元で生活をするのは6年ぶり。もちろん時々は帰省していたけど、また長期で滞在するのは久々なのだ。母の手料理を満喫しながら、相変わらず喧嘩もするがなんだかんだうまくやっている両親と愛犬に癒されながら日々を過ごす。夫は1-2週間に一度、車を走らせて実家に来てくれる。近くない距離だけど、必要なモノを持ってきてくれたり、夫も私の実家でのんびりと過ごしている。夫との時間も子供が生まれるまで貴重な時間なのだ。

臨月になると妊婦健診は週1回になる。田舎である自宅は交通機関は1時間に1本程度の汽車やバスのみ。駅は近いのでいつも市内にある大学病院へ通う。ガタンゴトンとうるさく揺れながら走る汽車に乗りながら、車窓から見える故郷の景色を楽しんでいる。空が広い。遠くに見える重なる山は昔から変わらずこの土地の景色を象っている。臨月になり胎動がますます力強く感じる。汽車に揺られると余計に動くのだけど、息子もお出かけが好きなのかも知れないな。

臨月ギリギリまで重たい仕事をしていて、ほぼ座りっぱなしだった私。それでも順調に私のお腹で育ってくれてたこと自体がすでに親孝行な息子だなと思う。お腹がどれだけ大きくなっても、まだまだ不思議な気持ちが消えないけれど、お産を乗り越えた先に出会える我が子を見るその時まで本当に実感はわかないのだろうな。それでもこのお腹の中で人間らしい動きも感じられること自体、女性の特権でありなんとも神秘なことだと思う。

来月のいつぞやには私のお腹から飛び出したいとこの世界へとやってくる。色々な声を聴きながら、故郷の優しい景色を見ながら、私は私の体一人で動けるうちに色々とやっておきたいと思う。と言いつつ、できることは今は散歩ぐらいだけど…笑

君を迎える準備はできているよ。この世界にやってくるその時まで、私のお腹の中でもう少しいてね。何を聞いて、何を見て、どんな香りを知って、どんなものや人に触れて、どんな考え想いを持つのかなぁ。

君がやってくる世界が優しい色をしていますように。もう少し、もう少しだけこの一心同体を味わっておこう。

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