北山俊哉ほか『テキストブック地方自治 第3版』(東洋経済新報社)
タブチです。
学生時代は行政学を勉強していました。社会人になっていわゆる“教科書”を読むことも買うことも無くなってしまったのですが、定番の教科書が大幅改訂されたということでこちらの本を読んでみました。
どの章から読んでも新しい発見がある一冊。
特に、
行政サービスの受益と負担の不一致や事業の重複による過剰な投資を地方自治体間の集合行為問題と捉え類型化する11章「自治体間連携」(砂原庸介)や、
少数の大手ITベンダーが政府調達市場の寡占状態を保つため独自のシステム開発を施し、将来のシステム統合を困難すると論じる13章「情報化」(羅芝賢)
などは一読の価値があると思います。
また、6章「政策形成と決定」(竹内直人)は実務家出身の方が書かれているとあってリアリティがあり、特に「5 政策の統合」において地方自治体での政策形成過程が正確に描写されていると感じました。
加えて、コラムの「4K事業と4S事業(よい政策と悪い政策)」が秀逸です。
「新政策に分配される予算は年35-50億円、全体の1%に満たない(竹内2017)」
「自治体にとって意識的な統合の対象は、最大でこの264、多くの場合は47、つまり全事務事業の数パーセントの顕在的政策である。この数パーセントに首長が効率的、効果的に目を通すしくみが、自治体の政策統合の根幹となる。」
「4K事業とは、会議、計画、啓発、気合からなる事業のこと。目的の実限を真剣に考えていない、悪い予算の典型である。」
「よい事業とは、4Sつまりsimple,system,sympathy,social-capital の4要件。シンプル、既存システムの活用、事業継続の誘因(気持ち)、事業の担い手の顔が思い浮かぶ」
地方自治に関わる方もそうでない方も、自治体最新トピックが網羅されている良い本でした。
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