樽本 徹也『UXリサーチの道具箱 ―イノベーションのための質的調査・分析―』(オーム社)

タブチです。

プロダクトや事業立案をするとき、必ずニーズの調査をすると思います。そこで多く行われているのが、アンケートによる定量的な分析か、インタビューによる定性的な分析です。

アンケートなら書かされたこともあるし、なんとなく作って集計すれば形になりそうだけど、インタビューってどうすれば「正解」なのか分からない!と僕は思っていました。
(もちろん定量的なアンケート調査も奥深く、適切な学習が必要です!念のため)


そこで手に取ったのがこちら。



概要はこちら。

表面的なユーザの「声」ではなく、「真」のユーザニーズを探り、それを分析して可視化する──それが『ユーザ調査』の役割です。

本書は、日本ではまだ馴染みの薄い、このユーザ調査の基本テクニックを紹介する入門書です。ユーザインタビュー、データ分析、ペルソナ、シナリオ、ジャーニーマップ、ジョブ理論、キャンバスというUXリサーチャ必携の「7つ道具」を著者の豊富な実務経験に基づいて解説します。

Amazonの概要欄より


読んでいて特に面白かったのは「ユーザの声ではなく体験を入手せよ」という点。
「コンテクチュアル・インクワイアリー」と呼ばれる手法で、じっくりとユーザのありのままの声を拾っていく手法です。

所要時間は1〜2時間。
①インタビュアーがユーザに弟子入り。
②ユーザは仕事を見せながら説明する
③インタビュアーは不明な点があればその場でどんどん質問。
④一通り話を聞いたら、インタビュアーは理解した内容をユーザに話して間違っていないかどうかチェックしてもらう。

自分が聞きたい答えに誘導しないことが大切なのですが、ついついしちゃいます、よね?

他に興味深かったトピックは、「調査と評価は異なる」という話。

①ユーザを「調査」して
②解決すべき課題を定義して
③解決案を創出して
④プロトタイプを作って「評価」(テスト)する

すなわち、調査は「前」、評価は「後」になるということ。混同しがちな二つの言葉を理解するきっかけになりました。



また「ペルソナ」についても勉強になった点がありました。

「正しく調査すればペルソナは複数発見されるので、必ず優先順位をつける。」

「1位を『プライマリーペルソナ』、2位以下を『セカンダリーペルソナ』と呼び、プライマリーペルソナに要求を完全に満たすことを目的に開発を行うこと」が大事だそうです。

私が仕事などでペルソナを立てたときは、一つ決めて良い気になっていたり、ひとつに絞り込む過程でターゲットがブレるということが起こりがちだったので、この本を読んで目から鱗でした。


ユーザのありのままの声を拾いたいすべての人におすすめの本です。

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