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マシンガンズ滝沢秀一『このゴミは収集できません』(角川文庫)

こんばんは。IZUです。
今日は、軽く読めるけど”深い!”と感じた、特異なエッセイのご紹介。

筆者は、奥さんの妊娠に伴い、定収入を得るため、お笑い芸人の仕事を続けながら、ゴミ清掃員へ。彼にとっての清掃員は、ゴミを通した人間観察から様々な発見が得られる仕事でした。

SNS発信がベースとなっている文章は、全体として軽快さがありながら、仕事の大変さや、日本のゴミの現状がリアルに伝わります。また、清掃員としての痛切な本音は、押し付けではなく、ゴミの削減やモノの再利用にしっかり自分も取り組もうと思わせます。

そして何より、人間の日常を可笑しくツッコミする、筆者の観察力、批判力、そして、表現力は、芸人ならではだと感じました。

作中では、親子関係について語る場面も。

当時、六歳の息子は、ゴミ清掃員と芸人の二つの職業を持つ親父の背中を見て、「大人になったらゴミ清掃員とあともうひとつ何やろうかなー」と独り言を言いだした。

あとがき

微笑ましさが垣間見える場面でありながら、子どもの頃になりたい仕事を「一つ」に決めるのは、当たり前じゃないことにも気付かされます。

最初から最後まで、ゴミをテーマにしながら、人と物、人と人、人と社会とのかかわり方を、多様な角度で考えるきっかけになる一冊です。

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