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愛する私のJane Marple90's collection

私はJaneMarpleをとても愛しているけれども、全く詳しくない。
沢山のお洋服を所持しているけれどもほとんどが古着で購入したものだからだ。

おちついたJaneより、はすっぱなMILKの方が性に合っていたし、私がロリータに目覚めた頃のJaneにはほぼ魅力を感じていなかった。

けれども今、私を最も狂おしく悩ませるメゾンはJaneMarpleである。

特に、90年代のJaneMarple。ままごとみたいにかわいらしい洗濯表示や、大きな白いタグのついたもの。

この洗濯表示のキュートさといったら


かたっぱしから欲しくなる。ほとんど出てこないことが救いであるほど。

Janeといえば、白襟に黒の別珍、レジメンタルストライプ、ロゴアルファベットの総柄、楽器や王冠、アリスや童話のイメージ。
けれども、90年代のJaneはもっともっともっと攻めている。

JaneMarpleが英国トラッドに影響を受けたメゾンであることは名前からしても明白だけれども、やはりどこかおかしいのだ。
美しい縫製と、上質な生地、めんどくさいパターンに、どこからやってきたのか謎のデザインが魔法のように組み合わせて作られた、着心地なんて無視の変な服。
アリスのはちゃめちゃな世界をそのままお洋服で表現したかのよう。
そのJaneMarpleのへんてこで可愛らしいデザインがもっとも花開いたのが90年代のJaneなのではないだろうか。
ああほんとうに惚れ惚れ。

(本当は80年代のものも欲しいけれど、2着しかみたことがなく、その2着はあまり好みではなかったので、80年代のJaneについては私は何にもわからない。情報ください。)

愛する私のJaneMarple90年代コレクションの一部を紹介させて頂きたいと思う。

先日、90年代らしいコーディネートがしたいと感じ、Janeのスカートとブラウスで出かけた。

@Wright商會 photo by Hikoki Sato


まずこちらのスカートを紹介したい。
驚くべきことにすべてがトーションレースでできている。

暴力的なほどの  トーションレースの圧力

三種類のトーションレースが使用されており、
とにかく美しく圧巻である。
はじめてこれを手に入れた日は、世界で一番可愛いスカートを手に入れてしまった…と思ったほど。
こんな膨大な長さの(20m以上は確実にあるだろう)幅広レースを使ってしまったら原価が跳ね上がるだろう。こんなことをするメゾンはもうないのではないだろうか。
レース地でつくるスカートはもはや世の中で定番になったが、こんなものは見たことがない。
しかも全円に広がるのである。
何故!?そこまでしなくて良いよと言いたくなる贅沢すぎるスカートである。

三種類のトーションレースをつなぎあわせている

こちらは推定90年代前半のもの。

上記のコーディネートで使用しているブラウスは、推定2000年代初頭のものなので一旦割愛する。しかしすごいブラウスなので、後日追記したい。

つぎはこちら。
推定90年代前半のチェリーのサンドレス。

Theロリータ


大きくポップな果物プリントはJaneMarpleのまたひとつの側面であろう。

レモン色ではなく、山吹色というのがなんともレトロ。真っ赤なチェリーと真緑の葉っぱがポップ。
とてもかわいらしいのだけれど爽やか一辺倒ではない。
スカートも美しく広がり、60'sの雰囲気でポニーテールに大きなリボンをつけ着たくなるサンドレスである。
胸元のカットが美しく、一枚で着てもいやらしさがなくヘルシー、Theロリータといった雰囲気だ。

編み上げとスカートの膨らみは永遠に心くすぐられる

後ろは編み上げになっている。
この、共布の編み上げがなんとも可愛らしい。リボンにせず共布というところに心を撃ち抜かれてしまった。

裏地はシフォン。
こちらフリマアプリでお譲りいただいたものだけれども、出品者様から「発送前にアイロンをかけていたら裏地を溶かしてしまった、本当に申し訳ない」といったご連絡をいただき、可愛すぎて笑ってしまった。
なんてロリータらしい可愛らしい失敗なの!素敵な方からお譲りいただけたなと嬉しくなった。



つぎは真っ赤なスーツ。

とにかく目立つ
ボタンのキラキラ、変形襟

とてもシンプルな形だけれども、襟がバイオリンのような形(髭にもみえる😂)になっているジャケット。
ポリエステル素材でサラサラしているので、春夏のスーツである。
ジャケットはアームホールが広く、肩幅も広いので、推定90年代前半のものとはいえ、80年代の雰囲気を感じるデザインである。現代で着るとかなり浮く。
すぐに割れてしまいそうな、大きくて繊細な貝釦がきらきらして、ときめきを結晶化させたよう。
スカートはシンプルなプリーツで意外と別々で着回せる便利さもあり。
Vivienne Westwoodの影響をかなり感じるアイテム。

ボタンを開いたところにタグがあり素敵



同じくセットアップとして、チェックの襟付きベスト(?)とプリーツスカートのセットアップを紹介する。

非常に可愛い

秋冬のウールのセットアップ、
英国探偵少女のような雰囲気である。

ブラウスはそこそこ新しいJaneの

大きく胸元のひらいた襟付きのベストがディアンドルのようでもある。
釦はすべて木製の釦、切り替え部分は別珍ではなくスエード調の生地、といったところから、
トラッドさよりもむしろ民族衣装のような雰囲気を目指したのだろうか?
幅広のトーションレースが同色に染められ、少女らしさを感じさせる。

ベストの後ろは背中ががばっと開いている
レースに遣いに惚れ惚れ
シンプルになる

スカートの前かけは取りはずしが出来、制服チックなシンプルなプリーツスカートとして履くこともできる。
この前掛けの感じもどことなく民族衣装を感じる。
スカートのウエスト部分のパターンがとても美しくて好きだ。


私にはこのセットアップは、微妙にすべてが大きくて、うまく決まらない。
けれど大好きなので一度これを着て写真を撮っていただいた。

photo by 築地静香

詩的なお洋服である。
推定90年代前半。

珍しいハートタグである



こちらは秋冬の音符柄のスカート。

パニエが見えていてすみません

ウールのフラノ地にウエストだけ別珍の切り替え、キュートさが詰まった90年代前半のスカートである。
こういったぶりぶりに振り切った感じもまた初期のJaneMarpleらしい。
サーキュラーになっており、くるくるくるくると回りたくなる。
スケートリンクでまわり続ける少女、というのを想像してしまう。

ぐるっと裾にアップリケ

アップリケも別珍!!!!!本当に豪華!!
五線譜は光沢のあるセーラーテープで表現されている。
ポップな中にも上質さのある、素敵なお嬢様のためのスカートといったかんじ。


ふたたび春夏に戻ろう。
こちらは最近手に入れた推定90年代前半の紺色ワンピースである。

もうこの夏はこれがあればいいや

タイプライターのようなしっかりとハリのある生地、
ローウェストのライン、異様によせられたフリル、特徴的なお袖のライン…
全てにおいて私の好みのワンピース…

つやつやのサテンリボンを編み上げて

襟と、うしろのリボンだけ麻素材?になっていて、
上品な光沢と透け感が妖精の羽根のよう。
密度の高いグログラン織のようなサテンリボン。あえて太いリボンを通すところがニクい。
素材ごとのネイビーの色の違いがまたアクセントになって。

お袖のディテール
襟とおリボンの光沢がすてき

後ろのリボンをキュッとむすぶと、
上半身はふわっとしているのにウエスト周りはキュッとしぼられ、ローウェストであるがゆえに腰回りのラインがとても美しく映える。
これは着ないと真髄がわかってもらえないかも知れない。
大衆的なかわいさではないかもしれない、レースもないし、シンプルといえばシンプル。
しかしなんとも非現実的なラインのお洋服なのである。
ドロシーのようなアリスのような…ダンバインに出てきそうな感じの…非現実世界の日常着といった感がある。



次はこちら、ロゴプリントのセットアップ。

とにかくポップ!

Tシャツとスカート、スカートの下に履く同柄の短パン(一枚でも履ける)のセットアップである。
スカートと短パンはセットで販売されていたようだ。
すこしヒップバングぎみのスカートであり、チアやテニスの衣装を想像させる。

こちらと同シリーズのワンピースは嶽本野ばらの「ツインズ」に登場する。
その記述によるならば95年春夏のものだそうである。

こちらも60's?と思いながらも、私はなんとなくモッズファッションの系譜を感じる。

実は…なんとこちらのスカートはリバーシブルになっている。

ポケットが可愛すぎる

元気でかわいらしい中にもさわやかな印象だ。
後ろには、フリルフリルフリル!

四段フリル

どちらが表か裏かと、甲乙つけ難いデザインである。
この、後ろのフリルのおかげで、プリント面を表にするとパニエ無しでもスカートがとてもきれいに膨らんでくれる。

Tシャツの形も、ほのかなパフスリーブやすこし短めの丈、裾に向かって広がったパターンなど着るととても可愛く、好きだ。

このセットだけで、3通りの着こなしが楽しめることになり、もちろん別々でも使えるし、とても楽しいセットアップだと思う。


最後に、私が最も好きなスカート、推定90年代前半、を紹介して終わろう。

一見とてもシンプル

こちらのシンプルでカジュアルな雰囲気のスカート。
何故?と思われるかもしれないが、こちらのスカートにはクリノリンのごとくワイヤーが入っている。
座れないスカートなのだ!

当然ノーパニエで膨らむ

座るとワイヤーの形が崩れるし、なにより前からスカートの中が丸見えになってしまう。

ゆえに、大好きながらも私はこのスカートを一度も履いたことがない。履ける時が限定されすぎる!
保管にも非常に気を使う。
手に入れてからはしばらく、トルソーに履かせてうっとりとながめていた。

裾だけワイヤーが入っていればまだ座りようもあるものを、縦にもワイヤーが入っているものだから、ぺたんと座って折り畳むようにすることもできない。

しかも、こんなドレッシーなしかけがあるくせに、ギャバジンのような素材に、糸の色を変えてあるところがなんともカジュアルな雰囲気なのだ。

そのアンバランスさがたまらない。
とてもとても変な服だと思う。

私はVivienneのミニクリ二を見たことがないが、同じような構造をしているのだろうか?しかしあれは、もっとドレッシーな素材を使っているはずである。

90年代のJaneMarpleらしさ溢れるキュートなスカート、私はこういうものに本当に悩まされる。狂おしいほどの愛しさを感じる。

「何処か儚いものね、JaneMarpleの見せてくれる夢は」

ツインズの台詞。

私はこの台詞をいつも思い出す。
JaneMarpleを表現する最も素晴らしく的確な文章だと思っている。

現実に存在できるかできないか、そのあわいにあるお洋服たち、へんてこな、世の中に迎合できないお洋服たち、夢のなかのお洋服が現実にギリギリ存在しているような、そんなあやういお洋服たち。

わななきやすい、涙がこぼれそうな、しかし荒野に一人凛と立つような少女。詩的な情景を喚起させる。

大好きな大好きな私の90's Jane Marple Collectionでした。

文責 myau

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