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皆が私を見ている!

翌年の文化祭、クラスで色々な計画を立てていました。
うちのクラスは確か模擬店。まぁ、女子高なので、共学校のようなあの華やかな感じはなかったです。
部活のほうでも、催しの計画を立てます。バンド部では、3年生の先輩たちが卒業ライブの予定が決まっていました。
なんと!同じバンド部のけいこちゃんが、「ねぇ、まりかちゃん!私たちも、ライブをやらない?」と私に持ちかけてきました。
彼女はベース。とっても器用な子で、すぐギターも弾けるようになっていました。
片や、私は楽譜が読めないので、とりあえず、ドラムをやっていました。何とかカウントをとり、リズムをとるという感じでした。

みんな親からそれぞれベースやギターを買ってもらっていました。私は、ドラムスティックを。家にドラムなんて置けないし、そうそう買ってもらえなかったので、ひざをスティックでペチペチ叩きながら、リズムの練習をしていました。

目がくりっとした、美人ボーカルのみきちゃん、ベースのけいこちゃん、ドラムの私、隣のクラスの、ギターとキーボードの子たち。 それぞれ、普段属しているグループは違うんです。
けいこちゃんは今でいうスクールカーストのトップの女の子。社会人の彼氏もいて、ピアスもあけてました。みきちゃんは2番手くらいのグループ。私は陰キャの底辺グループ。
でも、みんな何故か、何故か好きな音楽の話では盛り上がれちゃうんです。
当時は日本でもバンドブームだったり、英国のビジュアル系バンドが多く輩出されていた、まさにバンドの黄金時代でした。

放課後にはライブに備えて練習。ただ、けいこちゃんだけは、デートだとか言って、学校の脇に車で迎えにきた彼氏とちゃっかり一緒に帰ってしまったりしていましたが、それでも、なぜか先輩たちからも可愛がられ、みんなから慕われてましたね。不思議な子でした。

ライブの日。女子高の文化祭なので、そんなに浮き立つような雰囲気でもないかと思いきや、体育館には、椅子がぎっしりと並び、大勢の人が幕が上がるのを今か今かと待っていました。まず、先輩たちの演奏が終わりました。 
そして、次は私たちの番。緊張はしていたけれど、たくさん練習をしてきたし、何より、みんなで一緒に演奏するから大丈夫。怖くない。

みんなで、舞台中央へ。たくさんの目がこっちを見ていました。
それでも、大丈夫。ハイハットの位置を直し、私が曲のカウントをとって、、、。後は、無我夢中で演奏していました。
2曲演奏し終わると、一瞬しーんとなりました。そのあと拍手喝采。
先輩の時にはなかった、アンコールがかかりました。覚えたての曲をみんなやっとの思いで演奏し終わり、こうして、地味なまりかの、人生初のきらきらと華やかな舞台が終わったのでした。
続く



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