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#322 ポピーを見ると、Wさんを思い出す

2023.4.23.
二日酔いで昼に目が覚めた。こっちはこんなにボロボロなのに、外はとても天気が良さそう。今日は…選挙だ!

すっごいお風呂(自分が比較的汚い状態でお風呂に入るときにこう呼ぶ)に入り、身支度を整え、いざ投票へ。母もまだ投票していないということだったので、一緒に向かう。


小学校の校庭には鯉のぼりが並んでいて、母と「こんなの毎年やってたかな?」と話す。奥の方には作ったと思われる鯉のぼりも。共同制作かしら?素敵。

投票を無事終えて、近くの公園の花を見ようと母が言うので、一緒に散歩。
「この前までこの芝桜がいっぱいだったのよー。」
「あれはスイートピーかしらね。豆科で、蔓を伸ばして育つのよ。」
「この水仙はもう終わりね。」
「これはツツジ。」
母は花が好きだ。玄関先でいろんな花を育てているし、続けているか分からないがブルーミーというサブスクで毎月花が届くというサービスにも加入していた。私が何かのきっかけで花束をもらおうものなら、持って帰ると母の方が喜ぶ。
それに比べて、植物をすぐに枯らす私。キレイだなとは思うがすごく有名なものでないとなかなか花の名前を覚えられないし、きっかけがないと育てられない。母の言葉に「ふーん」とか「へー」とか「赤くない〜スイートピ〜♫」などとくだらない返事をして歩く。


途中で母と別れる。母はスーパーに買い物。私は引き続き散歩。どこかカフェでお茶でも飲もうか。

天気が良いので気分良く歩いた。お、あそこにも花が咲いている。

あれは、ポピー。



数年前、学校に出勤する途中に空き地があって、そこにオレンジ色の可愛らしい花がたくさん咲いていた。一面のオレンジ色。なんとステキ!と思って写真を撮った。


ポピーを見ていつも思い出すのは、3年生で担任していたWさんだ。Wさんは、ちょっと気になる男の子だった。

Wさん、背の順で大体いつも先頭。よく遅刻してくるし、勉強も苦手だし、忘れ物も多い。恥ずかしがり屋なのか、小さい声でモゴモゴしゃべり、何を言っているのか分からないときもあるし、なかなか喋らないときもあった。なので、彼が何を考えているのか、なかなか理解できない。


その年の運動会の日。朝、列に並んでいるWさんを見ると、すごく顔色が悪かった。
「Wさん、大丈夫?具合悪い?」
本人からの訴えはなかったがあまりにも青い顔をしているので保健室に連れて行き、放送でお家の人を呼んでもらった。飛んできたお母さんがWさんに声を掛ける。
お母さんは私のほうに来て、小さな声で言った。
「多分、大丈夫だと思います。ダンスが…不安なだけで。
「え!?」

その年のダンスはみんなかなり楽しそうに練習に取り組んでいて、民舞の振り付けもかっこよくて(前任校の先生が教えてくださった)、歌ってスタートにしてみたりみんなでウェーブしてみたりと工夫も入れて、私から見た限りかなり良い仕上がりだった。
それまでは朝礼台で私が踊っていたけれど、中学年だしみんなも振り付けは完全に覚えていたし、当日はいなくてもいいかも…と思っていたくらいだったのだ。

そんなタイミングでまさかのWさんダンス不安発言!気付かなかった〜!!!

「Wさん、熱もないみたいだから、みんなのところに合流しよう。それからダンスだけど、先生は朝礼台で踊るから!もし途中でうっかり振り付け忘れちゃっても、マネして踊れば大丈夫だから。」

結局、Wさんは運動会に普通にフルで参加できた。私は朝礼台の上でできる限りの大きな動きで踊り、元気な先生だな〜と思われたことだろう。

この出来事で、不安すぎてリアルに具合が悪くなることってあるんだなと身をもって知った。



それほどなかなか自分のことを教えてくれないWさん。
社会科では、東西南北の方位を学習し、地域探検に出かけることに。背の順なので、Wさんは先頭。

そのときに通ったのだ。出勤時にキレイな花が咲いていた空き地の前を。

この数年後、ここは公園になった

「みんな見て見て!この花、とってもキレイじゃない?」

「先生、この花はポピーって言うんだよ。」
先頭にいたWさんが、そう教えてくれた。ちょっと自信ありげなその言い方が意外で、妙に印象に残った。そうか、この花はポピー。花に似合う、可愛らしい名前だ。



Wさんとはその後、パソコンクラブで一緒になった。時々学校を休んでいるようだったがパソコンクラブは好きだったようで、出席率は高かったように思う。

その後は、会う機会がなくなった。

最後に見たのは、卒業証書を受け取って帰るときの後ろ姿だった。きっとこれから彼が歩む道は、平坦ではないだろう。

どうか、幸せに生きていって欲しいと、ポピーを見るといつも思うのである。




◆◇◆◇◆◇

何だかしんみりした文章になってしまった。
ポピーを見ると「Wさん元気かなあ」と思うくらいの話だったのに。。


以前は武蔵小山商店街について記事を書いたが、今日はその近くにある戸越銀座商店街をぶらぶら。

商店街からちょっと脇道にそれたところにある、ちょっと高級なジェラート屋さんに行ってみた。

並んでる
可愛らしいサイズよ

1種類のジェラートに見えると思うが、これはダブルである。「ミルク」と「クリームチーズ&マスカルポーネ」を選んだら、どちらも白くてこんな感じになった。

家の植え込みから、毎年1本、植えてもいないユリが飛び出してくる。

「覗いたらね、つぼみが2つあったのよ!今年は花が2つ咲くかもしれない!」

母の視点はいつも可愛い。


…という、のどかな日曜日の日記でした〜。



#教員エッセイではない
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