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面接の日程調整のやり方次第で辞退率が変わる

もう年末ですね。
今年はコロナで色々とありましたが、未経験者や管理系は採用を控える一方、エンジニアを中心とした経験者採用は、再度熱を帯びてきた感じがしますね。特に、採用活動自体はコロナ禍でも続けていたのに、全然採れなかったという企業がかなりの数存在している実感値があります。
(エンジニア採用に困っていて...という連絡がまた増えてきた)

そうなると、来年に向けてどう戦略を組み直すか、どう立て直すか、というのを考えていくわけですが、その際に真っ先に上がるのは「どんな手法を使うのか?」ですね。

もちろん、Howは大事なのですが、残念ながら全てを解決できる革新的なサービスはないわけで、一つずつ積み重ねで活動を続けつつ、改善をしっかりと進めるべきと思います。

具体的な改善ポイントとしては、
・求人票
・会社情報
・面接内容
・選考プロセス
・情報発信
などがあるわけですが、今回は、プロセス改善の中でも、一番軽視しがちな選考プロセスの中の「日程調整」について書きたいと思います。


日程調整とは?

人事、特に採用の仕事で一番工数がかかると言われているのが面接の日程調整です。そのために採用アシスタントを雇ったり、外部のRPOなどに委託している会社も多いです。

つまりは、
採用担当の貴重な時間は日程調整にさくべきではなく、もっと別のことに時間をさいた方が効果的な採用活動ができるという視点に基づいています。

これ自体はその通りだと思うのですが、あまりにも日程調整を軽視している人が多く、本来は辞退率を低下させ、採用クオリティを上げる重要な機会であるにも関わらず、逆にクオリティを下げているケースが散見されます。

具体的に例を挙げるならば、
面接官から「カレンダーの空いているところに入れてください!」と言われ、空いているところに入れていくケースです。

もし愚直に、
「希望日程が来た順番で、空いているところに入れている」
ようであれば、早急に是正する必要があります。


候補者の優先順位付けをしているか?

応募があった段階で、
「この人は内定になりそう」
「この人は落ちる可能性が高いだろうなあ」
など、経歴だけで判断できる見込み度合いはあるはずです。

もしこれがわからないなら、人事が採用要件を理解できていない、もしくは面接官が採用基準を持っていない、となり逆に深刻かもしれません...。

「会わないとわからない」
「うちは人柄重視だから」
「熱意は書類からは伝わらない」
などの考えが経営層にあるとしたら、もうブラック臭しかしません。

実際に面接をして合否を出すのは当たり前で、それを事前に優先順位付けもせず("書類もろくに見ないで"が正しいかも)、空いているところから入れようとするから、日程調整が煩雑になったり、採用しようと思っていた候補者に逃げられる可能性が高くなるのです。

一方、このような考えもあります。

全ての候補者に、平等に採用機会を提供する

これは正しくもあり、間違っています。予定がかなり空いている、もしくは採用面接に専念することを決めているから柔軟に対応できるのなら別ですが、書類選考で見送りを出す以上、平等な選考は自分たちを苦しめるだけです。

では、一体どのようにすべきかというと、
例えば、A/B/Cなどの3段階に分けます。

 A : 絶対採用したい
 B : 採用したい
 C : 採用になる可能性がある
など、4段階でも5段階でも構いません。
重要なことは分けることです。

細かなことをいえば、入社の可能性給与問題等々、さらに別の係数がかかってくるのですが、まずは合格の可能性にフォーカスします。

仮に面接官のスケジュールを見たときに、
- 12/25 10:00
- 12/29 17:00
- 1/5 13:00
が空いていたとして、

また、A、B、Cの候補者それぞれの日程が下記だったとすると、どのように調整するべきか?

A : 12月25日、1月5日が可
B : 12月29日が可
C : 12月25日、12月29日、1月5日が可

Cの候補者に25日の枠を使わせないことです。もしA、Bがともに1月以降じゃないと調整できないということであれば仕方ないのですが、今はzoom等オンラインでも面接ができる時代。25日の時間枠は、A、Bを優先して埋めていく必要があります。

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数ある失敗例は、最初にCの希望日程がきて、Cの予定を25日で埋めてしまう。その後、Aから希望日程が来て、「29日は無理だけど、25日なら大丈夫です!」というケース。これにより、Aは年内に調整ができなくなります。その結果、他社で決まってしまったり、面接日程が離れたことにより、志望順位が下がるということも想定されます。

そのためには、Aが早く返信くれる人か、Bは近い日程は失礼と勘違いしていないか、Cの他社の進捗はどんな感じか、は知っておく必要があり、その情報をもとに最適な日程を組んでいきましょう。

繰り返しますが、
優先順位付けを正しくやっている会社が、極めて少ないです。

別に人事が日程調整をするように言っているわけでも、日程調整ツールを使うことが悪いわけでもありません。採用プロセス全体を考えたときに、優先順位付けをして面接を設定していかないと、優秀な候補者に逃げられる可能性が出てくるのです。

とはいえ、会社によって優先度合いが異なって当然です。
年間数百名を超えるような大量採用とか、未経験者を中心に年齢だけで区切っているような採用とかは、A、B、Cなど分ける理由もなく、どんどん埋めていくのがいいと思います。

今回のような日程調整では、
A、Bを優先することで辞退リスクも考えられます。

Aを優先した結果、BにもCにも逃げられ、誰も採れなかった...となる可能性も十分にあります。人事としては、採用数とかが目標に設定されていたり、採用数をひたすら追うタイプの人は、誰も採れない状況が怖いのかもしれません。

人事に案外多いのは、例えばCの候補者が、やる気があって、自社に興味がある人だし、応援してあげたいと感情移入するタイプ。人が好きなのは悪くないですが、人事はそういう仕事ではありません。


面接のための枠を開けてもらう?

そうは言っても、面接官のスケジュールがパツパツ過ぎて、少し時間が経つとすぐに埋まってしまうから抑えておく必要があるケースもあると思います。

その際には、やはり何件かに絞って、枠を開けてもらうよう依頼すべきです。面接をして辞退されるならまだしも、面接調整できなかったから辞退、が続くようなら採用担当の首元も涼しいものになってきます。

面接官には、
・書類選考での評価ポイント
・面接評価(それまでに面接していれば)
・候補者の状況(他社の選考状況、志望度合い、入社希望日 etc)
などの必要情報をしっかりと伝え、候補者のために枠を作ってもらうようお願いしましょう。

加えて、面接官とのやりとりには注意が必要です。

ある候補者が、他社での選考も進んでいて急がなくてはならない。そうなったときには、面接官にお願いして時間を作ってもらう必要があります。これは採用を成功させるには絶対に必要なことです。

しかし、その際に、何名も枠を開けてもらうことは本来の業務に支障が出ることがあります。そのため、面接官にお願いするときも、採用になる可能性の極めて高いA、Bの候補者に絞るべきなのです。

これを全てお願いすると、面接官との関係が悪くなることもありますので、注意してください。


最後に

実は優先順位付けに関しては、私は過去在籍していた会社で、何度も注意されました。

(今もですが)英語もできず、とにかく労働量勝負だった時代。応募は月に数百件来るし、エージェントからの問い合わせ、社内からの様々な依頼、新規サービスの調査、海外との会議など、相当な残業をこなしていましたが、

「お前は英語ができないんじゃない、
 優先順位付けができていないだけだ」と。

それから優先順位付けをだいぶ意識することとなりました。

その前後くらいで7つの習慣を読んでいたのですが、まさにただ読んでいただけという状態で、初めて第二領域について考えるようになり、緊急性より重要性を意識するようになりました。

それからさらに数年たち、採用活動の品質向上に取り組んでいるときに、面接調整はもっとハックできるのではないかと思い、様々なツールを試したのですが、行き着いたのが、面接調整の優先順位付けでした。


今回の内容は、どちらかというと採用が難しいと言われる職種、業界で、かつ正社員を対象としています。アルバイトや新卒採用だとまた変わってくるので、ご参考まで。

採用の件で相談したい方はいつでもDMしてください。

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