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初恋の相手が義妹になった件。第16話

 僕の体に百花が触れるたび、僕の鼓動は強く、早くなっていく。
 背中をひたすらに洗い続ける百花になにかいうべきかと考えてはみる。しかし、百花を意識してしまうと、恐らく僕は興奮しすぎてしまうだろう。

「恥ずかしがらないでよね……」

「だって……」

 僕は鏡越しの百花を見る。そこにいる百花は、タオルを胸元まで巻いており、なんとか見えなくしているが、濡れて透けた白いタオルから百花が裸体であることをわからせるように、ピンク色の物が透けて見えていた。
 その膨らみの突起に、僕は自分にもあるじゃないかと、自分のものを見る。
 この違いはなんだと思いながら、何度か見比べていると、その目線に気づいた百花が蔑みの視線を送っていた。

「見たいなら、見たいって言ってよ」

 百花はそう言うと、タオルをチラリと開く。
 僕がそれを食い入る様に鏡越しに見ているのを笑い、「男子ってやっぱりエロいことしか考えてないんじゃない?」と、僕に訊いた。

「……百花だって僕のを見ようとしてるじゃないか。お互い様だよ」

 百花の視線が僕の背中越しに、太ももを辺りを見ようとしていたので指摘すると、恥ずかしそうにした。

「ほら、表向いてよ」

「え?」

「だって、将来は普通に見るし、それに家族なら、家族の裸見てもなんとも思わないでしょう?」

 そんなもんなのかと、その言葉を真に受けて、僕は隠していたタオルも外して百花の方へ向きを変えた。
 すると、百花はマジマジと僕のモノを観察する。

「へえ、こんな感じなんだ」

「見たことないのか?」

「そりゃ、小さ時はあるけどさ。幼稚園の時だから、皆んなおもちゃみたいなのだったし……でも、これがもっと大きくなるんだよね?」

「そ、そりゃ性的に興奮したりすれば……」

 百花は得意げにタオルを外し、浴槽の縁に置いた。

「……どう、かな?」

「き、綺麗……だよ」

「やっぱ、恥ずかしいなぁ……」

 珠肌を見つめ、柔らかそうな少し控えめな二つの峰を凝視し、少し浮き出る胸骨から骨盤までのラインの美しさに見とれていた。

「そんなに見つめられると……」

 百花は下を向いて黙り込んだ。
 僕は先の三点に夢中になっていたが、百花はしゃがみ込むと、泡立てたボディータオルで足を洗い始める。

「すごい所から洗い始めるな」

 百花は言い返してこず、黙々と作業をこなす。
 すると、僕は気づくと、すぐさまタオルを腰に巻いた。

「あ、触りたかったのに……」

「い、言えよ!」

「気づいてなかったの?」

 恥ずかしくなった僕は百花からボディータオルを奪い取ると、自分で体を洗い泡をしっかり流すと、先に湯船に入った。

「えー、洗ってくれるんじゃないの?」

「……これ以上は、無理。ごめん、意気地なしで」

「気にしないで……でも一歩前進だね。お互いの裸を見たっていう」

 僕はひたすらに違うことを考えていた。だが、洗い場を見ると、裸の百花がいるわけで、少しエロい少年漫画で見えなかった部分がはっきり見えている。湯船の熱さと、その他の作用でのぼせそうになっていた。

「ちょっと詰めて」

「え……」

 お湯が一気に溢れ出る。向かい合うように膝を合わせて湯船で三角座りをしている。

「上手く隠れるね。これ便利だなぁ」

「そうだな……」

「あ、残念そうだね。よしよし……」

 百花は嬉しそうに笑っていた。その笑みが何なのか解らず、僕はため息をついた。

「でもさ、みんな彼氏ができたらこういう事するのかな? お母さんたちだって、子供の恋愛じゃない、大人の恋愛をして再婚しようってなったわけじゃない」

「なにか違うんだろうな。夜の営みをするのと普段の生活って。僕は、なんか引き摺っちゃいそうで怖いな」

「何となく分かる。経験してないからだろうけど、なんかさ、二人きりになったらそればっかりしちゃいそうだよね」

 自分達の性欲が強いと自覚しているのか、単純に怖がってるだけかわからない。もしかしたら、それが普通かもしれないし、異常かもしれない。僕らはそれを知らなかった。
 百花は僕に近寄ると、キスをせがんだ。

「……胸、触っていいよ。というか、なんか触ってほしい。悠人に触れられたいな……」

 僕はドキドキしながら、触れると壊れてしまうんじゃないかと思いながら、その柔らかい起伏に触れる。

「お母さん程ではないけど……どうかな?」

「うん、柔らかいよ」

 どうしてだろう。触れるだけのつもりが、掌全体でその玉を覆っていた。

「あっ……」

 突起に触れると、百花は少し反応する。僕はそれが面白くなり、何度も触ると百花は怒って僕のをギュッと握った。

「なんか悔しい。悠人の、大きくなってない」

 百花は僕のを弄り始めた。流石に直接刺激を加えられると、反応してしまう。
 僕らはお互いの口を食べるようにキスをする。水のぶつかる音と、リップノイズが浴室に響く。
 百花は僕の膝に百花のそれを擦り付ける。

「あ……私駄目かも。これ以上は戻れなくなりそう」

「僕も……正直逆上せてるかもしれない」

「え、そっち?」

「うん……」

 僕は水を出して頭にかぶる。

「あー、生き返るー」

「もう。雰囲気台無し」

「でも、そうしないと百花戻れないって言ってたじゃん」

 百花は先に浴室から出ていき、髪を乾かし始めた。
 出る時は時間差のほうが良いだろうと、百花が言い出したが、正直意味がないんじゃないかと僕は思っていた。
 結果的に、バレないで僕らは各々の部屋に戻った。
 部屋に戻った瞬間、僕は項垂れた。

「なんて僕は意気地なしなんだ……」

 僕はそう言って、ベッドのマットレスを殴りつけた。
 したいけど、がっつくと嫌われてしまうのではないかというジレンマに悩まされていた。
 初めてを大事にしたいし、雰囲気に流されたりじゃない、しっかりと雰囲気作りをして、それからしたいのが僕らの総意である。
 正直、一番のチャンスは夏休みじゃないかと僕は考えていた。もちろん、それまでにチャンスがあれば僕は今回のを反省し、掴み取りに行くつもりだ。

「何に対して意気込んでるんだ……僕は」

 その日はとりあえず眠って、日曜日は屍の様にずっと寝ていた。
 暫くは、大きな変化のない日常を過ごした。たまにキスはするし抱擁はするしで愛を確かめていたし、エレナは僕らの関係が進んでることを驚きながらも、友達として接してくれている。
 間宮にも彼氏ができたようだし、これで安心だなと思っていた。

 中間試験も終わり、季節はいよいよ梅雨の時期に突入した雨の日。
 その日は、予報ハズレの雨だった。夕立に近いものだったが、傘を持たないまま下校中に雨に振られた。
 僕はずぶ濡れの百花とエレナの二人と歩いていたが、透けたブラウスが恥ずかしく、とりあえず公園の屋根のあるベンチで休憩していた。

「ずぶ濡れ……あー教科書とか濡れてるし」

「私も……」

「エレナ、もうちょっと隠したら?」

「百花も、それだと丸見えだよ?」

 僕はため息を吐き出し、仕方なく僕のワイシャツをエレナに被せた。
 なぜかうちの高校の指定の制服では男子のワイシャツをの生地が分厚いので、ちょうどいいだろう。

「え、私? こういうのって彼女に掛けるんじゃ……」

「百花はこうすれば」

 僕は百花を抱き寄せる。

「あー、見せつけてくれるわね」

 恥ずかしそうにする百花を見て、エレナは笑いながら写真を撮っていた。

「青春だなー」

「ネットに上げるなよ」

「もちろん。今度書く漫画の参考にしようと思ってね。高校生の甘酸っぱい恋愛漫画。二人をモデルにしようって思ったんだけど、二人って割と精神年齢高いから、高校生というか大人の付き合い方してるから、こういう機会大事にしないと」

 僕らは周りからそう見えていたのかと驚きつつ、僕は腕の中で震える百花を心配していた。

「大丈夫?」

「うん。悠人温かいから大丈夫。悠人は? 寒くない?」

「走った後出し、少し暑いくらい」

 僕らを見て何やらいいアイディアが浮かんだのか、エレナはスマホにメモを書いていた。
 僕はスマホで雨雲レーダーをチェックしていた。

「どうやら、少ししたら弱まるって」

「エレナ、家来る? ここからだとたぶんうちの方が近いし、服乾かす?」

「え、いいの? やった、二人の愛の巣に入れるんだ……」

「愛の巣って……親も住んでるよ」

 エレナは嬉しそうに僕のワイシャツをギュッと握った。雨はまだ強く、屋根で騒がしくしている。

「ね、二人、キスしてみてよ」

「は?」

 僕がそう言うと、百花は少し蕩けたような顔でこちらを見ていた。

「百花……」

 僕は唇を寄せようとしたが、その様子を見て額をくっつけた。

「熱っ!」

 丁度雨も治まってきたので、僕は百花をおぶった。

「悠人、これ百花に」

 百花に僕のワイシャツを着せるエレナ。それを待ってから、僕は走り出した。

「走ればすぐだから!」

「うん!」

 自宅にたどり着き、とりあえず百花の服を脱がせた。

「私がやるよ」

 着替えは流石に同性のエレナに任せ、僕は氷枕の準備と、熱冷ましのシートを常備薬入れから取り出した。
 念の為、お粥の準備もして、二階に上がった。

「エレナ?」

 エレナが百花にキスをしているところを見た僕は、手に持っていた熱冷ましシートの箱を床に落とした。
 時間が停止したかのように僕は胸の奥を抉られる感覚に襲われて、脳が思考をやめた。
 気づけばエレナを引き剥がした後、エレナと何故かキスをしていた。まるで、エレナに付いた百花を取り返す様に。
 すると、百花は目が冷めたの「ん……」と、声を漏らして体を起こした。そして、その目の前の光景を見て固まっていた。

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