読書感想『告白』

太宰治氏の『人間失格』を読む前に私はこの本を読みました。こちらも一度読んでみたかった作品です。告白というものは、一般的には好きや愛してるという愛の表現を総称として、使われることが多いと思います。私はそう思っていました。しかし、それは大きな間違いで、本当の意味は
「隠してた心の中身を、打ち明けること」
のことを意味します。確かに愛の告白も心にある好きという気持ちを相手に伝えることも告白であります。しかし、今回読んだ『告白』は違います。そんな、『告白』を読んだ感想を書いていきたいと思います。

内容を淡々と言いますと、我が子を校内で亡くした女性教師は終業式のHRで、このクラスに犯人がいると告白します。この告白によって、犯人は罪を償うか、その周りはどうなったのか、告白した女性教師による盛大な復讐劇になります。この本はとても読みやすいと私は思います。まず、珍しいのかは分かりませんが、章によって視点が変わります。女性教師や犯人、犯人の家族、その周りの人などと、変わっていくのです。これがデビュー作は凄いなと思います。完成度が凄い。

それぞれの視点、観点から見れるので飽きることがありません。沢山の視点で描かれ、沢山共感しました。特に私は共感よりかは、人間難しいものだなと思いました。それは告白をした女性教師の子を殺した犯人の子の話です。犯人はただ母親に褒めて欲しいだけでした。頭を撫でて欲しい。凄いと一言が欲しい。それだけなのに、殺人者になってしまう。人の欲求とは凄いものです。一瞬のために人間は一生を捧げるのです。人の欲求とはよく分からないものです。しかし、人には誰でも欲求というものはあるもので、それらがどのくらいの量あるかによってわ人は変わります。これらの欲求が強すぎて、方向性や目的が逸れてしまう人もいます。誰にでもあるのではないでしょうか。欲求が強すぎると、犯罪に繋がるケースは沢山あります。強欲とも言います。犯罪なんて、欲求の塊に過ぎません。人を殺したかった。金が欲しかった。温もりが欲しかった。生きたかった。愛が欲しかった。人間の行動力はすごいのです。私もいつかは、欲望のままに犯罪を犯すときが来るかもしれません。おれは絶対しないとか、私は絶対大丈夫だとか、その保証はどこにあるのでしょう。それは誰も知らないし、誰も知りません。知ることされ分かりません。人間はそう出来ている生物です。知識を持ち過ぎた生物はいつかは、良からぬことを考え、死んでいくでしょう。簡単なことです。人間は悪なのですから。


作者
この作品はとても面白かったです。湊かなえ氏のリバースという作品を今度読もうかと思います。

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