見出し画像

GOODS:仮面ライダー

子供の頃「仮面ライダーBlack」を観てから仮面ライダーが好きになり、それから30年経った今でも仮面ライダーが好きです。

仮面ライダーは基本的に、「悪者から無理やり与えられた望まぬ力を、その悪者の悪事を止めるために使わざるを得ない男」の物語です。哀しいですね。
シリーズによって違いはあるものの、底流にはそのコンセプトが存在します。

ここからは、個人的に好きな仮面ライダー3作品についてご紹介します。

仮面ライダーBlack / Black RX

画像1

秘密結社ゴルゴムによって改造された南光太郎。彼は仮面ライダーBlackとして、ゴルゴムの魔の手から人々を救うために戦います。そのカッコよすぎるポイントを3つご紹介します。

1. オープニングがカッコよすぎる
真っ暗な画面の中央に光の線が走り、倉庫の扉が左右にウィーー…ンと開く。
ギシュ…ギシュ…と歩み寄ってくる黒い仮面ライダー。静寂。
ゆっくりと歩みを進める足元を追いつつ、厳かに始まるイントロ。
そこから一気に緊張感が高まり、足元、スロットル、右手、マフラー、バトルホッパー、クラッチ…部分の連続のあと、何を考えているかわからない横顔のアップ。不穏。スロットルを力強く回し、アクセル全開でキキキィッ…!とタイヤを滑らせながら「時をッ…超ーえーろ」の「超ーえーろ」の部分でガラス窓を突き破って出てくる!という、緊張と解放を見事に表現したカッコよすぎるオープニングです。あとはもう、ひたすらバトルホッパーで疾走するBlackの姿が映し出されるのですが、「信じるー奴がジャスティス!」あたりの前屈みでブッ飛ばしているところから一転して、「生きーることーが好きさ…」あたりのBlackは乗車姿勢が非常にいい。背筋が真っ直ぐできれい。そのまま突き進むのですが、オープニングの最後にトンネルに突入し、暗闇の中バトルホッパーの真っ赤な目だけが浮かびあがるというこれまた不穏なフィニッシュをキメるわけです。何かこう、怖さと格好良さが入り混じったような、カリスマ性のあるオープニングです。

2. 変身ポーズがカッコよすぎる
敵に追い詰められ、吹っ飛ばされ、窮地に瀕した南光太郎。
立ち上がり、意を決したように両の拳を勢いよく顔の横に振りかぶり、
ギリギリと握りしめる・・・はい、ココです。このポーズが純粋にカッコいい。でも哀しいんです。目の前の敵と戦うために、その敵から無理やり与えられた醜い力をやむなく使わざるを得ない・・・その葛藤や怒りが、痛いほど伝わってくるこのギリギリ・・・。この時の南光太郎の目は、眼光は鋭いのですが、どこを見るでもないような目をしているんです。それが哀しい・・・。このあと、キレッキレの動きで手刀を切り、変・・・身!の声とともに腕を振り切ることで変身が始まるのですが、その途中でバッタ怪人になるのが何とも仮面ライダーの業を表しているように思います。やっぱり、バッタ怪人なんですよね。結局のところ。知られたくない、見られたくない。特に大切な人には。でも大切な人だからこそ、守らなければならないからこそ、その人の目の前で醜い姿を晒すことになる・・・変身って、哀しいですね。本当なら変身なんかしたくないのに、敵と戦える力を持っているのが自分しかいないから、独りでも立ち向かっていく。胸が熱くなります。

3. 倉田てつをさんがカッコよすぎる
南光太郎役の倉田てつをさんが、若く、キリッとしていて、ハンサムなんです。いわゆる昭和ライダーの主人公の中では、ダントツだと思います。平成になって仮面ライダーディケイドに出演された時には、ハンサムに加えてイケメンな雰囲気がありました。劇中のパラレルワールドの設定でBlackとRXが同時変身するシーンがあるのですが、南光太郎が・・・というより倉田てつをさんが長い年月を経て再び変身することに、そして相変わらずの格好良さにシビれました。

■余談1
BlackがRXへと進化を遂げると、ボディの配色が黒と深緑になります。胸は黒、腹部は深緑、腰回りは黒、太ももは深緑、みたいに。子供の頃リアルタイムで見ていた時にはその配色の加減が絶妙で、黒と深緑が溶け合うように繋がっていて気にならなかったのですが、ディケイドの劇中で出てきたRXは緑色の明度が高かったために、黒と緑の境目がハッキリしてしまい、「黒いパンツ履いてる感」が出てしまっていました。そういう観点でいうと、BlackやRXはパンツライダーなんですね。ゼクロスから始まり、Black、RX、(真はバッタ怪人そのものなので対象外)、ZO、Jまで、この5ライダーのみパンツライダー。それ以外の昭和&平成ライダーはズボン(or スーツ)ライダーです。

■余談2
仮面ライダーBlackを語る上で欠かせないのが、ライバルであるシャドウムーンの存在です。南光太郎の親友、秋月信彦がゴルゴムによって改造された姿で、銀と黒のボディに緑色の目という、ハイセンスな配色のライダーです。シャドウムーンほど明確な個性を持った「主人公以外の仮面ライダーの存在」は、この作品が初めてだと思います。さらにRXでは「フォームチェンジ」も登場しています。BlackとRXは、平成仮面ライダーでは当たり前となったこれらの要素の原点となる作品だと言えます。

仮面ライダーアギト

画像2

「仮面ライダー30周年記念作品」の名を冠した仮面ライダーアギト。この作品における仮面ライダーとは、「改造人間」ではなく「超能力に目覚めた人間」です。登場する仮面ライダーは4人。
津上翔一:明るく天然な性格の青年だが、記憶喪失で過去が謎に包まれている。
                  超能力でアギトに変身。
氷川誠    :警視庁に勤める青年。真面目で不器用だが、決して逃げない熱い男。
                  超能力を持たず、警視庁開発の強化外筋骨格G3-Xを装着して戦う。
葦原涼    :城北大学の大学生。根は優しいが無愛想で孤高の青年。
                  不完全な超能力でギルスに変身。
木野薫    :ある事故がきっかけで免許を剥奪された、無免許の天才外科医。
                  超能力でアナザーアギトに変身。
上部写真の左側がアギトで、右側がライバル的存在であるアナザーアギトです。この作品の魅力的なポイントをご紹介します。

1. 洗練されたデザイン
黄金に輝き、天を衝くように隆起した角。シャープなマスク。黄金の胸板。
黒い肩から強さを誇示するかのように伸びた銀色の鋭角。
金や銀を使っているのに見事に調和しているこの洗練されたデザインが、
何も言わずとも強さを感じさせるオーラを放っています。
必殺技を放つ時、黄金の角が二段階に開き、合計6枚の羽のようになるところも格好良いポイントです。
アギトは完全な超能力の姿なので神々しく洗練されています。
G3-Xは人の手で開発されたシステムなのでロボットのテイストがあります。
ギルスは不完全な超能力の姿なので神々しさよりもむしろ怪人寄りの姿です。
そしてアナザーアギト。アギトが1つの完成形だとすると、アナザーアギトは対極にある完成形です。変身者である木野薫の屈折した心が滲み出るかのような、ギルス以上に怪人的なデザイン。角が最初から羽のように開いており、「最初から強い」ことを感じさせます。そして恐ろしい口元。剥き出しの歯が見えており、逆らったら命を奪われそうな、不気味な雰囲気を感じさせます。
このように、個性に応じて設計された特徴的なデザインが、アギトの魅力の一つであると思います。

2. 個性豊かな登場人物とミステリアスで濃厚なストーリー
アギトに出てくる人たちはとにかく個性豊か。天然さん、真面目さん、無愛想さん、屈折さん、天才さん、凡人さん、イヤミさん。はっきりした個性を持つキャラクターたちのやりとりが魅力的なドラマです。その一方、ストーリーはミステリー要素が色濃く、謎が謎を呼ぶ展開で毎回目が離せません。謎のオーパーツから生まれ急速な成長を遂げる子供、アンノウンと呼ばれる正体不明の怪人に殺害された人たちの共通点、主人公の記憶喪失のきっかけとなった過去の事件、何かに怯えながら暮らす人たち・・・いくつもの謎が現れ、少しずつ解き明かされていく濃密な物語の世界に浸ることができます。シリアスな内容にもかかわらず毎回おもしろく楽しめるのは、先ほどお伝えした個性豊かなキャラクターたちのやりとりもそうですし、記憶喪失の主人公の居候先である美杉家の人々の温かさも大きいのではないかと思います。

3. 氷川誠というカタルシス
準主人公で超能力を持たない青年、氷川誠。警視庁の未確認生命体対策班に所属している彼は、真面目な性格で、超がつくほど不器用。でも、人々を助けたいという想いは人一倍強く、危険を顧みずに遭難船に乗り込んだ過去の事件で英雄と呼ばれるようになり、対アンノウン用に開発されたG3システムの装着員として選ばれます。このG3システム、彼の先輩である天才管理官・小沢澄子が開発したものですが、いかんせん人間が開発したものですから、超能力を持つアギト、ギルス、アナザーアギトに比べると、戦力としては格段に劣ります。弱いって、わかってるんです。だけど、アンノウンが出現するたびに氷川誠はG3を装着し、果敢に戦いを挑み、劣勢になっても決して逃げずに、最後まで戦おうとするんです。超能力など持たないけれど、弱いながらも戦い続けるその姿に、胸が熱くなります。それが頂点に達するのが物語のクライマックスで、彼は強敵と互角に渡り合います。アギトという超能力を持たない彼に、敵であるアンノウンが「何者だ?」と問いかけます。それに対して彼が言い放った言葉がもう、何とも胸アツなのでぜひ本編をご覧ください。

■余談1
第2話には、後に神回と呼ばれる名シーンが登場します。夜の闇の中、倉庫で2体のアンノウンを相手に戦うG3。劣勢になったところに、バイクで駆けつける津上翔一。アンノウンを確認した彼は、無言で変身の動きをするのですが、ベルトが眩しいばかりの光を放った状態で、体は変身しないままゆっくりと歩みを進めます。いわゆる、待機状態で、ブゥゥーーー…ンという待機音が響いています。このときの津上翔一は、人間のようで人間でないオーラを放っています。光に気付いて襲いかかってくるアンノウンと無言で戦い、G3が何者だ・・・と不審に思って見ている中で、戦いながらさらに光を放ち、アギトに変身するのです。この一連のシーンがあまりにも格好良い。後に、平成最後の仮面ライダーである仮面ライダージオウの劇中で津上翔一が登場する場面では、このシーンが見事にオマージュされていて、アギトファンを興奮させました。

■余談2
アギトは、通常のグランドフォームから、フレイムフォーム、ストームフォーム、トリニティフォームへと変わることができ、さらに戦いを経てバーニングフォームを身につけ、最終形態であるシャイニングフォームへと変化を遂げます。このうちのバーニングフォームがいわゆる「暴走フォーム」であり、上手く制御できないと、溢れる力に支配されて周りが見えなってしまいます。この「暴走」の概念は前作「仮面ライダークウガ」のアルティメットフォームで示されましたが、主人公である五代雄介の強い精神力で暴走には至りませんでした。アギトでは、TVスペシャルでバーニングフォームに変身した時、その力に支配されて暴走してしまい、命の恩人である国枝先生に襲いかかることがありました。後の仮面ライダーでも度々登場し、主人公が暴走するという意外性ゆえに人々の心を惹きつける「暴走フォーム」。そのはじまりが、仮面ライダーアギトにあります。

仮面ライダービルド

画像3

天才物理学者である主人公の桐生戦兎が、星を滅ぼそうとする強大な悪に立ち向かう物語。突如として現れた「スカイウォール」によって、東都、北都、西都の3つの地域に分断された日本が舞台です。
平成の仮面ライダーは基本的に「改造人間ではない」のですが、2017年に始まったこの作品では、地球上にはない成分でできた「ネビュラガス」を「人体実験」という名目で注入され、それに耐えうることができた人間が仮面ライダーに変身できる素質を持つという、原点回帰を思わせる設定になっています。この作品には、敵を除いた主人公格で4人の仮面ライダーが登場します。
桐生戦兎:天才物理学者で、自分の才能に惚れ惚れしている26歳。
                  記憶喪失。仮面ライダービルドに変身。
万丈龍我:元プロボクサーだが八百長試合に手を染めたことで永久追放され、
                  ある事件の冤罪で投獄された23歳。仮面ライダークローズに変身。
猿渡一海:仲間と共に猿渡ファームを経営していた29歳。アイドルオタク。
                  仮面ライダーグリスに変身。
氷室玄徳:東都の首相、氷室泰山の息子。東都政府首相補佐官であり、東都先端
                  物質学研究所の所長でもある35歳。仮面ライダーローグに変身。
上部写真の左側から、グリスブリザード(グリスの進化形態)、ビルド、クローズ、ビルドのハザードフォーム(暴走形態)。ローグは写っていません。
この作品の魅力的なポイントをご紹介します。

1. 物語の世界観&スピーディーなストーリー展開&個性際立つ大人の男たち
何だかいろいろ詰め込んでしまいましたが、ビルドの特長は何といっても、スカイウォールで分断された日本という世界観が独特で、その中でどう動くかが主人公たちのテーマになっています。ストーリー展開もスピーディーで、常に「次回新しい何かが登場する」ワクワク感がありました。主人公格の4人の男たちは、それぞれ性格も立場も異なりますが、出会い、ぶつかり、葛藤し、理解はしても馴れ合うことなく、共に戦います。仮面ライダーの主人公の中では年齢層が高めなのですが、それがまた大人の雰囲気で格好良かったと思います。

2. 強化フォームの多さ
どんどん強くなる、って、やっぱりおもしろいんですよね。主人公の桐生戦兎は天才物理学者であり、自分でガジェットを開発するスキルを持っているため、強化アイテムを次々と開発していきます。ラビットタンクスパークリング、ハザードトリガー、フルフルラビットタンクボトル、ジーニアスフルボトル。自ら使うビルドドライバー以外に、龍我や一海が使うスクラッシュドライバーも作ったりして、新しいフォームがどんどん出てくる感じが楽しい物語でした。

3. 智略に富んだ魅力的な悪役
ビルドを語る上で欠かせないのが、最大の敵である地球外生命体エボルト。最強の力を手に入れるために策略を練り、飄々と主人公たちに近づき、利用し、一つずつ着実に手に入れていく感じが、一筋縄ではいかない雰囲気を醸し出していました。主人公たちを掌の上で弄んで楽しむようなところがあるのですが、妙に人間くさくて憎めない、カリスマ性のある、そしてとんでもなく強い悪役でした。

■余談1
ビルドの数ある強化フォームの中でもダントツの格好良さを誇る、ハザードフォーム。暴走フォームであり、敵味方関係なく手を出してしまう怖ろしいフォームなのですが、その怖ろしさを感じさせる真っ黒なフォームと佇まいがカッコ良い。その悪魔の力を遺憾無く発揮した第21回は、ビルドの中でも神回かつトラウマ回と呼ばれているようです。

■余談2
映画「仮面ライダー平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー」では、ラスボスの最上魁星役として筋肉少女帯の大槻ケンヂさんが出演。筋肉少女帯の、そして大槻ケンヂさんのファンなので、嬉しさのあまり映画を見ながらニヤニヤしてしまいました。


この記事が参加している募集

私のイチオシ

最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!