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ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景篇

ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景篇
演出 西田大輔
脚本 毛利亘宏
音楽 佐橋俊彦

【東京公演】
@日本青年館ホール
2019年4月5日(金)~11日(木)
【京都公演】
@京都劇場
2019年4月18日(木)~21日(日)

しあわせカンパニー2年生を名乗りたい。

あまりにも幸福感で満たされている。わざわざ京都まで見に来た甲斐があった。去年も、座長をやり遂げた推し・和田雅成さんを見て胸をいっぱいにして帰ったけれど、今年も、役者さんと新選組の面々の熱い生き様を胸に刻みつけて勇み足で帰れる。

来年も推しさんは桜を咲かせてくれるよね?咲かせるって言って。

ミュージカル『薄桜鬼』は、オトメイトの恋愛アドベンチャーゲーム『薄桜鬼-新選組奇譚-』が原作の2.5次元舞台シリーズ。2012年から始まり、ミュージカル『薄桜鬼 志譚』風間千景篇までに11作品を上演してきた。殺陣×ダンス×歌で新選組を表現するという斬新な演出、俳優陣の熱い演技、原作の再現度......2.5次元舞台を代表する作品のひとつ。昨年の土方歳三篇より、過去に公演した作品をさらにブラッシュアップし上演する第2シリーズ・志譚を公演している。

今回は新選組の前に立ちはだかる“鬼”の頭領・風間千景のルートをベースにした、風間千景篇。新選組の興亡を、ヒロイン・雪村千鶴との関わりや鬼としての生き様を交えながら描く。

新撰組なんてのは何しろ、大河ドラマになった位とんでもない量の熱くて切ない物語を抱え込んでいる存在で。それを京都から函館まで追いかけ、しかも恋愛要素や鬼なんていう新しい要素まで入れて語るもんだから、本当に息をつく間も無く3時間があっという間に去っていく感覚。でもだからといって、駆け足でエピソードをこなしていく印象は全くなく、新選組志士それぞれのもつ志と物語を丁寧に濃く描いてくれるもんだから、毎度のことながら見ながら感心してしまうし、見るたびに新選組も薄桜鬼も好きになってしまう。見れば見るほど味わい深く愛おしい作品。

またもや和田雅成さんに惚れ直させられてしまった.......何度目?
公演を重ねていくたびに着実にいろんな部分が上手くなっていることが見て取れる。見たことのない表情を見せてくれたり、殺陣や歌、ダンス一個一個のスキルに磨きがかかったりして。ああもうこの人は稽古期間にどれほどのことを考えて練習して今これを見せてくれているんだろうと思うと、毎度のことながら惚れ直さずにはいられないんだよ。

薄ミュ風間篇の初日公演を見た時に、歌声に力みがなくふわっと柔らかくでもしっかりと最後列まで届く力強さがあって、こんなに歌える人だったかと戦慄した。和田さんが歌うのが好きなのは知ってたし、見てればわかる。私個人としてもとても好きで、松ステシリーズのライブパートも劇団シャイニングのレビューも薄ミュ志譚土方篇も繰り返し繰り返し見返していた。でも、喉に力が入ってる感じがしたり半音ズレてたりすることもあって、これほど歌える人だとは思ってなかった。なんだよ...ミュージカルもいけるやん......!どんどん挑戦しようや!!土方篇の時以上に、ただ歌うだけじゃなくて情感も込められられるようになっててもう...好き................
お芝居も、そこに立っているだけで伝わってくる張り詰めた鋭い雰囲気がまさに新選組副長・土方歳三で、榎本さんが「入室伹清風(土方歳三は部屋に入ってくるだけで涼やかな風が吹くような人だった)」って書を書いた人である説得力を感じた。その一方で、内に秘めた感情が溢れてしまう、鳥羽伏見での山崎の死や風間との戦い、近藤さんとの別れ、最終決戦なんかは感情のエネルギーがすごくて客席にいても射すくめられるくらい迫力があって。好き.............

これからも健やかに生きていてね...この仕事が好きでいられる限りは役者でいてください。できる限り長く応援させてください。心から、目が離せない役者さんだと思う。推しは最高なんだよなあ!

役者は自己表現するものだって、いつかに末満健一氏も言っていたけど、和田さんの土方さんを見ているとこれを強く感じる。役の向こうに和田さんが役者として生きる上で大切にしている信念とか人柄とかを透し見てしまって。
口数は少なくても一つ一つの言葉に熱がこもってる感じ、表立ってリーダーシップを発揮しているわけではないけど人の輪の軸にいる感じ、ひとつ譲れない想いをしっかり抱いていること、それを突き通す不器用な生き方、いたるところに和田雅成さんを感じてしまう..........エッ...はまり役すぎないか........

「紛いもんだろうが何だろうが貫きゃ誠になるはずだ」

椎名鯛造さんもカーテンコールで、この台詞が好きで役者という職業に通じるところもある、というお話をされていたけれど、本当に、そう。ちょっと前までは和田さんは「役を演じる」じゃなくて「役を歩む」って言う言い方してたけど、この言葉通り、役に寄り添って一緒に生きるようなお芝居をしようとしている人だと思ってる。振りとかじゃなく技術とかでもなく、役の感情に共鳴して涙をこぼすことができる。しっかり魅せることは意識してることは見て取れるから和田さんの自我はあると思うんだけど、それと同時に、そうやって役に共鳴できるってことは役の自我もそこにはあるわけで...どういうこっちゃ......とんでもないな...

結局、和田雅成オタクでしかないので推しへのラブレターばかり書いてしまった...それ以外のことも書きます

演出のこと。
西田大輔さんの美麗な演出が本当に好き。記憶に残る印象的な画のオンパレード。土方篇に引き続き、いたるところであらゆる使い方で魅せてくる桜吹雪も相変わらず美しい。お気に入りは蝦夷で孤軍奮闘する土方さんを囲んだ新選組志士たちが「迷わず走り抜けろ」と歌いながら手から桜を舞わせるところですね...最高の餞だな..........こういう美しい桜演出を見ると、桜を愛で桜を人生に重ねる日本人の心を持っていてよかったなと毎度思う。今回加わった演出要素も素晴らしくて、扇演出好きだったなあ......千鶴ちゃんの故郷での過去の虐殺を描くときに扇と桜の合わせ技で、炎と血で全てが真っ赤に染まるような残虐で美しい演出はビビるよね...池田屋で障子パネル使ってド派手にかましてくれたのも、最高!お前!わかってんな〜〜!シルエット見せてくるとかドキワクが止まらねえ......宴のあとの土方さんと近藤さんが変若水を飲むか飲まないかの話をしているときに密かに山南さんが耳にしてしまったように見せていた演出とか、そういう細かいところまでこだわってるんだろうなって感じも全体にあって。西田大輔さん最高だよ......来年も期待してるね。

役者さんのこと。
皆さん、昨年の土方篇から凄まじく成長してて見ているときの安心感が強かった。歌も安定してお芝居も深められていて。座組の雰囲気も昨年よりあったまって穏やかさがあって。しあわせカンパニーってこのことかって感じ。

中河内さん
あまりにも誇り高くオトナな男の中の男な風間千景で、惚れちまうだろ....中河内さんの風間は“キング”っていう評価をツイッターでお見かけしたけど、その通りだと思う。土方篇の風間は売られた喧嘩は買う自分個人のちっぽけなプライドのためだけに突っ走っちゃう若僧って印象だったから180度印象変わった。風間って...いい男だったんだな..... 殺陣でもダンスでも立ち姿でも軸がぶれなくて、それもあってか余裕と自信が端々に見て取れてどっしりとした存在感があったから、なぜそこまで新撰組や千鶴に固執して最後には土方さんに名を与えるまでの関係になったのかっていう部分が初めて納得いった。ガウチさんが踊れる人だからか「秘する花」がジャズダンスになってたりダンサーさんの出番が増えてたのも好きだったな...ラスト「来なければ迎えにいく」の言い方が慈しみにあふれた優しいものだったり、ギラギラしてたり、切迫感が滲んでいたり、ここも毎回楽しみだった

晶吾くん
お顔が良い。池田屋はひたすら双眼鏡で沖田ばっかり見てた。ひょうひょうと掴み所のない不思議な雰囲気を自然にまとっているのが素敵。ダンスの時はふわっと力抜いて気怠げに踊っていて、宴でシンメトリーになっている土方さんがガチガチに力入っているのと真逆で可愛かった。最後、蝦夷へ行く土方さんを見送ったあとの殺陣、切られてもなお笑い刀をふるう沖田の狂気が好きで目を離せなかった。晶吾くん沖田篇やろうね。

燈くん
声が鳥海浩輔。宴のあとの日替わりが可愛くて面白くてよかった。お気に入りは、舞台セットの穴にはまってしまった足を見て「えぇ〜〜↓↓」って言った回。色々な「え」があったね。

樋口くん
平助篇やって。樋口くんの平助は千鶴に矢印向きすぎだし、しっかり女の子として尊重してあげてるの伝わってきて好き...かっこいい。仙台城で千鶴の手を引く平助の優しい仕草があまりにも...あまりにも恋の始まりを感じてしまったので......早いとこ平助篇やろうな。やって。もう、樋口くんの平助が舞台上にいる時の安心感がすごいんだよな...樋口くんだからって、日替わりも安心して見てられるし。

あとむくん
槍が鋭い。びっくり。今まで見たどの槍より鋭かった。よくあんだけぶん回せるもんだ......低い声も涼しいお顔もどっしりした存在感も、初めて左之さんをやったとは思えないくらいだった。ふとした瞬間に槍に這わせている腕や手の動きがエロで最高だった。回を重ねていくたびに、別れのシーンの切迫感と情感が増していってて、見ていてとても楽しかった

輝馬くん
声量おばけ。もう相変わらずの迫力。山南さんのシーンになった途端、舞台上全てが輝馬くんのものになる。そのくらいの存在感。風間篇でも土方篇でもあまり出張らないけど、じつは山南さんっていちばん思慮深くて頭が柔らかい策士で、新撰組への想いも熱いから、もっと彼の話を見たいんだよね。仙台城に至るまでの話を見たい。できれば輝馬くんで。輝馬くんも山南篇やろうね。

岸本くん
土方篇では、なんか、どうしてもご本人の格好良さやスマートさが滲んでいて新八の人間味がなくてあまり響かなかったのだけど、人間味が増していて素敵になっていた。もっと剥けてほしいな。次も出ようね。

鯛ちゃん
よく飛ぶよく動くよく走る。あまりにも体が軽いもんだから見てて楽しい。和田さんの土方さんと鯛ちゃんの山崎の、本人たちの関係もちょっと反映されているようなひそやかな熱い絆が本当に好き。死ぬ間際の悔しいような悲しいような顔は見ていてとても苦しくなる

兼さん
強い。あの天霧に勝てる人います?一手一手が重くて、腰落として力強い体さばきが最高にカッコ良い。兼さんは歌も芝居も殺陣も何も心配ない。確実に作品を支える人なんだろうなと思う。

末野さん
不知火似合いすぎでは......似合いすぎて事案...体つきもいいしエキゾチックなお顔立ちも良い...この役者さんのこのお芝居が観たいとかそういう考えが入る余地なく不知火そのものなのでは...最高やな

さきほちゃん
公演の中でもメキメキ成長してて、歌声も安定感でてこれからがとても楽しみな女優さん。ラスト風間とキスした後の、悲しみは拭えないけれどそれを支えてくれる風間を見やる時の顔が...意思の強さと恋する少女が混ざった複雑な表情してて好きだった

本当にしあわせだった。また来年も会えますように!

乱文失礼いたしました。ここまで読んでいただきありがとうございます。

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