無形資産はすぐには育たない
こんにちは。Kiwi PR合同会社の植田聡子です。ビジネスプランについて、個人的にご相談を受けることがあります。そんな方へのアドバイス、有形資産と無形資産を両方準備していきましょうね、という話です。
有形資産と無形資産
知的資産、人的資産、企業の基盤的資産など、財務諸表には載らないけれど重要な無形資産。ブランドや技術などもここに含まれます。
個人レベルで考えると、
有形資産→現金・有価証券や固定資産、動産など。
無形資産→スキルやキャリア、ナレッジ、人間関係、パーソナリティなど。
起業を考えている人はもちろん有形資産としての現金なども重要です。立上げに資金があってもあっという間にそれを溶かしてしまう方もちらほら。退職金を全額突っ込んで、なんて無謀な真似はおすすめできません。いくらかけるのかは慎重に考えてくださいね。
「定年したら起業しよう」の前にできること
定年になってから急に始めるのではなく、在職中から自身の定年後のライフワークのためにどんな無形資産を育てていくのかは非常に重要です。
無形資産は開業届を出さなくても、法人にしなくても育てられるわけですし、報酬を得なければ、会社の「副業禁止」の規則に抵触することもありません。
無形資産は「お金があるから手に入る」ものではないわけです。簡単に手に入るものほど価値も低いということもおわかりですよね。
一人でビジネスをするつもりだとしても、本当に「一人だけ」でできるビジネスってこの世には存在しません。必ずそこに対価を支払う顧客があって、初めてビジネスが成立します。
別に友人に物を売るのがビジネスではありません。そして、ビジネスのためにやたらと「人脈を広げる」ことに終始して、SNSで繋がりを求める方。異業種交流会などもコロナですっかり少なくなりましたが、「知り合い以下」の関係では無形資産には値しないでしょう。
スキルを伸ばすのもいいし、ITリテラシーを身につけるのもあり。なんでも外注すると高くつきますが、大手企業の管理職の方は意外となんでも部下たちが整えてくれた環境にいるから、いまだにZoomのミーティング設定もできないなんて笑えない話もありますよ。
定年の後は再雇用、だから無形資産なんて関係ないよという方。月3万円でも5万円でも年金プラスで何か稼げるというのは、社会と繋がるという意味でも決して無意味ではないですよ。まさにライフワーク、生きがいです。仕事を選ばないのではなく、なにかしら「自分の存在価値」を実感できるワークであるなら理想的です。
むやみやたらにスキルアップに手を出さない
でも、一方でやたらと民間資格取得に精を出すのも考えものです。資格ビジネスは資格を取る側ではなく、資格を付与する側のスタンスでよく考えてみてください。
ライセンスという権威を与えて、年会費を払ってもらい、更新のための講習などでまた囲い込む、協会ビジネスはサブスクモデルとして非常によくできたビジネスモデルです。いくつもの資格を保有することは、いくつものサブスクを継続することに等しいわけですから、費用対効果をよく考えておくべきでしょう。
もちろん、例えば国家資格などスキル証明が明確なもの、民間資格ながら普及している語学の資格などは費用対効果が高いスキル証明だといえますよね。
もちろん趣味としてやりたいことをやる、という好奇心は大事です。でもビジネスを視野に入れたスキルや資格取得の場合、ご自身のこれまでのキャリアと掛け算できるようなイメージで考えてみてください。
何が役に立つかは案外わからないもの
「ではあなたはどうなの?」と聞かれたら、もう本当にノープランで運だけで乗り切ってきたといっても過言ではなく(笑)
学生時代〜航空会社の頃は英語。
短い専業主婦時代はカラーコーディネートやフラワーアレンジメント。
テレマーケティング時代にWEBやITスキル。
都庁の頃は韓国語と中国語、写真。仕事では法律や出版、広報などのスキル。
ほら、全く関連ない感じしますよね。でも、それでもなんとかなるのが無形資産の素晴らしさ。
英語を学んでいたから→組織委員会でなんとか英語で仕事もできた!
WEBやITスキル→当時の知識は全く役立たないけれど、基礎があったから都庁広報でWEBや動画編集に役立てた!
韓国語→ほぼ趣味だったけど、そのおかげでK-BOOKのお手伝いもできた!
中国語→全く使うことなんてないと思っていたら、まさか中国本社の外資系企業に勤めることになった!
航空会社にいたから→旅行業界にもすんなり馴染めるベースがあった!
都庁の生協担当にいたから→中小企業の経営や会計についてひととおり見る力がついた!その前に税務もうっすら役立った(笑)起業のために必要なこともだいたいわかってた!
都庁広報だったから→報道対応、編集スキル、メディアとのリレーション、出版関連の知識などで、起業できた!ライティングの際に撮影もついでにできるくらいのカメラのスキルもできた!
組織委にいたから→IOC、IPCとのやりとりで英語での仕事経験もできて、外資系に対する恐怖心もなくなった!
都庁や組織委にいたから→行政の仕組みを身につけ、多くのネットワークが生まれ、Government Relationshipという職に役立てられた!
役立ってないのはカラーコーディネートやフラワーアレンジメント、長く習ってたお料理くらいですが、それは普段の生活の潤いとして無駄ではないということで。
ひとつを極めていないことをコンプレックスに感じている方は、こんなスキルの掛け算でも道は開いていくよ、ということをお伝えできればと思います。でも、語学は最低でも数年、写真も何年も先生について学びました。経営や会計はまだ不足していると思ったので、今も大学院でリスキリング中。
無形資産はすぐには育たないし、メンテナンスも必要。定年までの間、やることいっぱいありそうですよね。悩むよりは始めた方が吉。新しいことを始めるのに勇気が要りませんか?という問いには、「いやいや、何もしない方がこの時代リスクですよ」ということです。
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