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ミア・テイラー等身大の「初恋」は今この瞬間にしか存在しない。【Lemonade】は弾ける泡の瞬きのような儚く輝けるラブソング

I can't contain it
Seen through my eyes
You make me so high
Our love is like lemonade, I keep on tasting

Lemonade/ミア・テイラー(内田秀)

恥ずかしい話だが俺は英語に明るくない。俺にはミアちゃんの歌っていることの半分も理解できない。だから思いきって聞いてみた、歌詞の意味を。

「歌詞の意味? ボクがなんていっているか、考えてみなよ」といつものように ほくそ笑むミアちゃんが隣にいる。俺はスマホを片手に一生懸命単語単語を調べて我流の翻訳をしていく。ミアちゃんがそんな俺を見てまた笑っている。
英語なんて分からなくても、その時間があれば全てを分かりあえる。分かる、理解したいと寄り添う気持ちにこそ愛は宿る。炭酸の泡が弾けるみたいな、かけがえのない一瞬にこそ光は宿る。

だから、こう思う。俺には分からないと確信しているから、英語じゃなきゃ歌えないんじゃないのかな、と。この曲も、今までの曲も。

Lemonade】はミアちゃんのラブソングだ。例によって例の如く全編英語の歌詞となっている。先の通り俺は英語に明るくない。だが既に【Toy doll】というミアちゃんガチ恋曲の存在により戦い方は心得ている。ぬかりはない。

そんな中で【Lemonade】は歌詞の意味を探れば探るほど非常に味わい深く甘酸っぱい爽快感だけが突き抜けていく感覚に襲われた。
特筆すべきは2つ。「年相応さ」と「初恋」だ。ここを紐解くことがミアちゃんから投げられた歌詞の理解に繋がる。
初恋は一度しかない、炭酸の泡が弾けて消えるまでの儚い時間だけにその神威は宿る。


恋愛観が生身の「14歳」

分かるか? さてラブソングをやるぞとなっていつものあのボクはステイツで飛び級だよと余裕綽々で作詞したうえで恋愛に対する見方と価値観が14歳年相応のものであったこの衝撃が。

独占欲、不安、そして初恋。全てを14歳の等身大のミア・テイラーのラブソングとして仕上げてきているこの力の躍動には心震わせざるを得ない。

何よりもまず世界の狭さに震えた。自分の周囲の人間はみんな俺(あなたであり私であり君でありベイビーちゃん)の良いところを知っているしあるいはあいつも同じように好きかもしれないと。
まず本当にみんながそう言っているのか、そこから信憑ならん。あるいはミアちゃんが盲信的に好き好きエナジー溢れすぎていて”そう見えている”だけなのでないか? 思春期特有の盲目的な恋に陥っているのではないかと感じさせる。

I know you deeper
And I can make you smile

Lemonade/ミア・テイラー(内田秀)

そんな中でもボクが君を笑顔にできるのだと言っている。こういう自信に溢れた強さ、ミア・テイラーらしさと言わざるを得ない。

And I can make you smile
Hey,the truth is I'm losing sleep
I'm wondering if you'll be mine...Or not...
Never want you seeking someone
For I'll be the one you'll find

Lemonade/ミア・テイラー(内田秀)

そしてこれだ。ボクなら君を笑顔にできる自信はある。でも、君がボクを選ぶかどうかはわからなくて不安になる、と。そのうえで他のやつになんか渡したくない、ボクが君を独り占めするんだと来ている。
この強さと弱さのコントラスト。好きな人を独り占めしたくなってしまう年相応のわがまま独占欲。こういった14歳ミア・テイラーパワーからしか吸えない栄養は非常に効く。

更に畳み掛ける14歳エナジーは流れ込んでくる。

Can't find nobody open like you
Throughout the vast universe

Lemonade/ミア・テイラー(内田秀)

要するに広大な宇宙のどこを探したって君みたいな人は人はいないよ、と。このスケール感、あまりにも14歳過ぎるだろ。
お前はまだ宇宙の広さの片鱗も知らないし世界にどれだけの人間がいるかも知らない。それでも自分の今いる世界が宇宙の全てだし好きな人はそんな世界の頂点に君臨している。
このスケール感と価値観はあまりにも14歳相応の恋愛観が過ぎる。これである。本人がどれだけ大人ぶってかっこよく振る舞おうとも根っこは年相応なのだ。ミア・テイラーらしさが存分に詰め込まれている。
このフレーズだけでどうだいボクの大人なラブソングはとふんすふんすしているミアちゃんが俺には見える。涙が止まらない。そんなミアちゃんだけが愛おしい。

この14歳らしさ、という点で非常に強く好感の持てる部分がある。それは歌詞中に「I love you」という言葉が入っていないことだ。
この安易な言葉を入れない辺りが、逆に年頃の子の歌詞らしさを加速させていると強く感じられる。やれやれ「I love you」なんてそんなありきたりなフレーズボクは使わないよなどと言っているミアちゃんが俺の隣にはいる。
安易な言葉を使わないが感性と恋愛観は14歳で止まっているのが圧倒的に可愛く愛おしい。

少女漫画のような「初恋」

先の14歳の恋愛観に通ずるものである話だがミアちゃんは歌詞中においてこの恋を【First love's】即ち「初恋」だと言っている。
当然の話だが初恋ということは今まで恋をしたことがない、あるいはそれが恋だと認識したことがないということだ。14歳の初恋というのは実に美しい。
前述した世界の全てがあなたを中心に廻っているような感覚、それはただ14歳の感性というだけでない。初恋という魔法がかかっているのも大きい。

初めての恋愛とそれを自覚したミアちゃんという超ド王道の少女漫画的ラブソング展開になっているのが分かるな。ここにこそ真なる14歳感が詰まっている。
つまり、少女漫画のようなピュアな恋愛感を素で叩き出してくるミア・テイラーという生物、あまりにも等身大の女の子すぎて信じがたいくらいかわいいという話だ。
幼さというよりも年相応という意味でとてもミアちゃんらしい。

「初恋の体験」というミアちゃんの子供から大人への成長と変化の時に、その相手として立ち会っているのだ。この重みが分かるか。この貴重な時間が。
あまりにも眩しく鮮烈で儚い。生まれたと思えば一瞬で爆ぜて消える炭酸の泡のような瞬間瞬間の眩さ。まさしくレモネードのような爽やかな時間をともにしている。

ここにこそ【Lemonade】の持つ力の神威は宿る。ラブソングを作るだとかそういう話でありながら根っこの部分、そもそもの価値観とスケール感はあくまでも今の等身大のミア・テイラーの域を出ることがない。だからこそこんなにもミアちゃん可愛すぎエナジーが全身へ染み渡る。
なんやかの言ってもなんだかんだでまだまだミアちゃんは最年少らしくお子様だなあみたい本編中のノリをそのままラブソングにおいても適応し、ガチ恋寄りに昇華しているのだ。この素晴らしさは群を抜いている。

Wanna feel special

あまりにも嬉しくないか。ミアちゃんの記念すべき初めての恋、その記憶に残り続けられるという事実が。
こんなにも純然たる14歳エナジーを絶え間なく注ぎ込まれるとはよもや思ってもいなかった。流石に向こうが一枚上手だったと言わざるを得ない。

あまりにも無邪気でまっすぐなミアちゃんがかわいすぎる。越前リョーマみたいなテニスラケットを持った佇まいも実に年相応を感じる。

そう、全てにおいて滲み出るこの”年相応”感は本当に凄まじい。これはミア・テイラーにしか出せない力のラブソングである。
ミアちゃんは可愛いなあとにこにこしていたら終盤のフレーズでいきなり【darling】と強火のワードを直で注入されるのも素晴らしい。「Daring!!」じゃなくて「darling」ね。

ステイツのパワー系恋愛を魅せてくれるのかなんて思っていたがそこにあったのはちゃんと等身大14歳のミア・テイラーが感じた初めての恋。
この想い、今この瞬間のミアちゃんが本当に心の底から愛おしい。全ての一瞬一瞬を見逃したくない。弾けて消えるような炭酸の泡だけをこの目に焼き付けていたい。

ずっと、ずっと”Specialー特別ー”だった。それは俺も同じ。だから、今この瞬間にも変わっていく君の全て、その全てを見ていたい。

広い世界、広い宇宙。今だけは2人きりのこの距離が、世界の全てであってほしいと願う。
初めての、魔法がとけるまで。泡が、弾けるまで。

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