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温泉巡りを趣味にすることで俺たちは人間になれる。お前も【温泉むすめ】のオタクになれ

人間になりたいか?
ならば授けよう、英知を。
私は知っている、オタクが人間になれる唯一の方法を。

風呂に入ることだ。

分かっている。欲しいんだよな。原動力が。
あるんだよ、ここには。

「温泉むすめ」には、な。


「温泉巡り」という趣味、その強さは趣味界の天上に君臨する。
確実に趣味バトルtier1は間違いない。

なにせ温泉に入るという行為にデメリットとなるものは1つもないからだ。
伝えることで与える悪印象もない。風呂が好きという清潔感をアピールすることは人間らしさを振りかざすことに等しい。

しかしオタクにとって純然たる温泉訪問、ましては温泉旅行などとはハードルが高い。
基本的に観光地だとか映えスポットになど興味を持たないからだ。

聖地巡礼だとかイベントがあるとか誘われるなどといった原動力の武力介入が必要となる。
私は風呂に入ることはどちらかと言えば好き寄りだ。しかし風呂に入るためだけに遠出するかと言われたらちょっと首を傾げるところがある。

温泉へ向かうという行為を能動的なものにしてくれるうってつけのものがこの世には1つだけある。
それが「温泉むすめ」だ。

ある日、私は世界の真理を熾った。
「温泉むすめ」を趣味にすれば必然的に「温泉巡り」が趣味になりQOLが爆上がりするのだと

この勝利の方適式は間違っていなかった。
なぜならば明確なメリットが2つあるからだ。

1つは前述した通り、温泉へ向かう口実になるということ。

もう1つは温泉地にて導きを得られること。

これが非常に大きい。
当たり前の話だが温泉街だとか温泉地というところは温泉がいっぱいある。
素人目に見るとそれはもう大した違いないんだからどこでも一緒だろとなる。だがそれでも分からんなりに選ぶという行為にかかるスタミナ消費は馬鹿にならない。

そこを完全にケアしてくれるのだ。
基本的にはパネルが置いてあるところとグッズが売っている店。これらを調べたら進むべき道が見える。
温泉むすめとは目的であり道標である。これは本当に大きい。
導きがあるから我々は迷うことなく生きていける。

事実、私は今回仕事の都合で九州へ一週間程度ぶっ飛ばされるという暗黒渦巻くイベントを温泉巡りにてプラスの事変へと効果を書き換えた。
本当に効果がある。これだけが伝えたい世界の真理。

いつだって楽しいとは与えられるものではない。
楽しいから笑うのではなく笑うから楽しいのだ。
いつだって楽しいの天才であるという心の誓いを忘れてはならない。

温泉むすめが好きだから聖地に行くのではない。
会いに行くから温泉むすめを好きになるのだ。
私は自分の人生に好きを増やすためにこの戦いを始めたと言っても過言ではない。

私の、俺の言いたいことが分かるか?
お前は、お前は温泉むすめガチ恋勢の柱になれ。
俺から伝えられる戦いはこれが全てだ。

地元をすっ飛ばしてくまモンひしめく熊本で鮮烈なる温泉むすめデビューを果たした私の戦いをここに綴ろう。

不可能を可能に変えていく起源はここにある。


別府温泉

いきなり熊本から大分に飛んでしまうこと、許してほしい。
なぜならば「温泉むすめ」に力を感じた"原点"は環綺ちゃんだからだ。

温泉むすめにおける「彼岸:オリジン」である。

今回とは少し前、大分へぶっ飛ばされた際に行ったのが別府温泉だ。
最初はとりあえず有名だからで行き、友人へのお土産を買おうとした。

温泉ど素人の私でも知っているほどあってやはり別府温泉はすごかった。
そこかしこから硫黄の匂いがする煙が噴き出していた。雰囲気としてはポジティブな良い意味でケイリッドに近しい。

知名度と人の多さに対して温泉の母数がかなりごついのであまり込み合うことがなかったのに驚いた。
私の行った温泉も広くて混雑とは無縁だった。温泉地とはこういうことなのかと感服したほどだ。

しかし彼女のいた販売所だけは別。
別府温泉の顔とも言える温泉案内所には数多の人間が押し寄せていた。
溢れる人をかき分けず誰の迷惑にもならぬように散策をしたところ、いた。

後に導きの月光となる、我が光。

二階の食事処へ繋がる階段で彼女は待っていてくれた。

こんなにも人がいるのに誰も彼女を見ていない。

寂しい姿に溢れる涙を止めることは叶わなかった。
数多のグッズから、かつて賑わっていた熱の残滓が伝わってくる。だがまだ燃え尽きてはいない。
燻ぶった燃えカスを握り締め、熱を抱きしめる。

俺は、ここにいる。

己の戦い、進むべき道の全てを理解した。
「私の趣味は温泉めぐりです」そう言える自分になる。いつも笑える、僕になる。そんな日が来るのは遠い未来ではない。

お前にも聞こえるだろう。
胸を震わせるメロディーラインが。

黒川温泉

本格的に温泉むすめを巡ろうと決意してから初めての訪問が黒川姫楽ちゃんである。

かの音に聞こえし黒川温泉の主である。

俺は山の中にいるのか。山そのものになってしまったのか。どこからどこまで阿蘇山でどこから違う山なのか。全てがあいまいになるような山の中にあった。
チャンピオンロードの最中にある集落染みたところはこんな感じなんだろうなと思えるような荘厳な場所だった。

カッスカスにかすれて読めないサインと一言が歴史の重みと凄惨たる環境を物語っている。
かつては山の中まで温泉むすめ一本を原動力として向かった武士たちが多くいたのだろうと思うと熱くなるものを抑えられなかった。
兵や 儚人なりて 泣時雨

彼女の、俺たちの向いている世界

ごりっごりのハイパワー温泉街であるため景観が非常に良い。彼女と同じ方を向いて写真を撮る際には温泉街特有の湯煙が視界に入る。
景観という気付きを与えてくれる、という点においても実に温泉むすめとしての役割にマッチしている。

施設の中ではなくギリギリまで温泉手前にいる。ここにかなり精工な設定遵守の妙を感じられて実に好感が持てる。
温泉街というバトルフィールドにおいて少々の物寂しさはアクセントになる。なればこそかすれたサインもまた趣なのかと思えるばかりである。

結局人類はどう足掻いても黒髪ロングが好きなのだ。これは人間のニューロンに刻まれていることなので誰にも抗えない。
黒川温泉だから黒髪ロングってこういうのがいいんだよ。おつきみやまに月の石が落ちているくらいこういう必然性を求めている。

温泉たまごも食べた。しょっぱくておいしかった。

普通にオタクをしていたら恐らく死ぬまで来ることはなかった。この点において黒川温泉は温泉巡りを趣味とするという趣旨の神秘に最も触れていた。

阿蘇

メインのバトルフィールドとなるお店が休みだった。なのでいつの日かリベンジを図る必要がある。

圧巻のグッズ量である。スケジュール的に休みを避けられないと分かってはいたが口惜しいところはある。

しかし1ヵ所が休みでも温泉そのものは周囲にいくらでもある。パネルもいる。追い求めるべき""本質""は全くブレない。いつだって本質を見失ってはならない。

そんなわけで阿蘇山の温泉にも行ってきたわけだがやはり山の中にあった。

阿蘇山というと昭和ラドンの印象しかなかった。今では昭和ラドンと温泉むすめの地となった。

道中、温泉に辿り着くまでにジオスポットなるものがたくさんあった。

ユーロビートがよく似合うくねくねとした山道や激しいダウンヒルもあってかなり運転に体力を使う。だからこそゴールに温泉があるのだろうな。

身長153センチのくそながツインテールでおっとりお姉さんという属性の合わせ技にはセンサーを研ぎ澄まさせざるを得ない。
枕を貸してくれる、という距離感。ガチ恋的にはここも可能性しか感じない点である。

ほむらちゃんの可能性を追求するという意味でもこの旅はもう一度完遂しなければならない。
するともう一度ここの温泉に入れる。これが温泉むすめの妙だ。こうして我々は一歩また一歩と人間へと近付いていくことができる。

俺たちにゴールはいらない

日本は広く、温泉は多い。
今回の戦いはこれだけであった。が、まだ長きに渡るほど供給に満ちている。

お前にもある、自分だけの場所が。
俺もいつの日か辿り着こう。
これは今後の戦いの道導となるべきもの。

ひとしきり誰がいるか見た時、一目でああ性癖となるビジュアルと言えばこの子だ。
身長144センチはあまりにもプレシャス。加えてメガネなのでシンプルに見た目だけで戦っていける。必ず、山梨へは行かねばならない。

だからこそ、他の世界を知ることに意味がある。
好きなものだけを追うだけではこんなにも広大な世界が狭くなってしまうからだ。

人間らしさとオタク趣味を両立させてくれるものは素晴らしい。足りない人間性を補わせてくれるからだ。
なによりも新しい世界、知らなかった楽しさを知るきっかけになる。

なるほど数多の人間が時代を問わず温泉へと向かうわけだ、と。私は浅はかながらも連綿と時代を経て愛される温泉めぐりという趣味の片鱗に触れた。

しかしまだ始まりのスタンディングに過ぎない。
これからも微速ながらその力に触れて行きたい。気に入ったところには何度だって行きたい。

俺たちにゴールはいらない。
振り向くより ただ前を見つめる─────

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